妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2010年03月27日(土) 『シャーロック・ホームズの冒険』(小)

【コナン・ドイル 訳:延原謙 新潮文庫】

20年近くぶりに再読。
ポプラ社のシリーズ以来なので、なんか訳が古めかしいなーと思いつつ、なんかところどころ可愛い訳であった。
ま、これはこれでいいか。

それほどホームズって好きじゃなかったんだけれど、どうも記憶違いだった。
読んでたら色々思い出して、そういやあっちこっち階段数えたなぁとか、いやとにかく面白かったです。

一番有名な短編集かと思いますが、改めて読むと意外と殺人事件扱ってないんですねぇ。
ミステリーの面白さは謎の魅力に尽きるなぁと再認識。
そりゃ毎度毎度ホームズの推理は本当にそれでいいのか、と特に依頼人の素性当ての部分は思うんですが、そこはもうホームズの言うことだからしょうがない、という気分。
当たり前と言えば当たり前なんだけれど、ワトスン君はホームズ美化し過ぎじゃああるまいかと思ったり、ホームズはホームズでいつでも大歓迎なんだなぁと思ったり、ワトスン君が記述しているという点に着目すると読み方がまた変わるね。
大人になって読むと見えてくるものも変わるなぁ。


2010年03月18日(木) 『フィリップ、きみを愛してる!』(映)

【監督:ジョン・レクア/グレン・フィカーラ アメリカ】

刑務所で恋に落ちた相手に愛してるを伝えるために、何度も脱獄を繰り返す男の話、ってことで純愛ものを想像したんですが、ちょっと違う。
スティーブンの虚言癖がひたすら哀しい。
元妻も、元恋人も、フィリップも凄くいい人たちで、スティーブンのことを愛しているのに、どうしても人を謀ることがやめられない。
どうしても虚飾がやめられず、結局詐欺を繰り返し、フィリップにすら本当のことを言えず、フィリップに会いたい一心で脱獄を繰り返すようにも見えるけれど、本当に愛しているならフィリップを巻き込むような脱獄をすることもないだろうし、ずっと長く一緒にいられる方法を取ることもできるのにそうできない。
コメディータッチで描かれているけれど、どこか哀しい気分になる。
スティーブンの他者を思う気持ちの欠如が哀しい気分にさせるんだろうなぁ。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』みたいに更正してくれないかな、と思ったんですが・・・。
実話で、いまだにスティーブンが生きてるだけに、どうにか気づいて欲しいなぁと思わずにいられません。


2010年03月15日(月) 『スイートリトルライズ』『シャーロック・ホームズ』(映)

【監督:矢崎仁司 日本】

中谷さんがひたすら美しいなぁという映画。
一言で言えばW不倫の話しなんだけれど、W不倫という題材を使った人と人が一緒にいることのどうしようもない寂しさを表現してる物語なんだろうと思いました。
江國香織の小説そのままのセリフなんだろうなぁという詩的セリフの多くが、むずがゆい。
「こんなのスイートじゃない」みたいな。と、唐突な言葉だな・・・と思いつつ、そんな浮世離れなキャラとセリフをやりきった中谷美紀は本当に上手いなぁ。大好き。
相変わらず、人はいいけどどうも愚図な夫をやってる大森南朋も、セリフが少なく難しい役どころですが、好演。
しかしたまには浮気される夫の役から離れてもらいたいなぁ。今回は自分も浮気するんだけど。それもまた受身の浮気。

ぎりっぎりの清潔感をキープしてて、いい映画。
でもやっぱ共感は全然しない。

+++++++++
【監督:ガイ・リッチー アメリカ】

子どもの頃に読んだっきりだったから最初、このキャスト発表があった時「えぇー?」と思い、続いて思いっきりアクションな予告を見てさらに「うえぇー??」と思ったんですが、今、よくよく読み返すとそんなに意外でもなかった。
ホームズはもうあらゆるパロディがなされているし、今更アクションでも別に驚くほどのことでもないよね。うん。
むしろ、観てみたら案外ホームズはホームズだったし、ワトソンくんもワトソンくんだった。

ストーリーとなる事件はオリジナル。
ワトソンくんが結婚するからもうコンビ解消!って言ってる辺りのお話し。
(個人的希望としては同居時代からスタートして欲しかったけど…)
出て行くなんていやだいやだとごね、婚約者にもいちゃもんつける、ダメ男ホームズ。
ホームズ読んだことない人はえー?と思うかもしれないけど、原作ホームズはもっと性格悪いし、ダメっこですから、ロバート版なんて可愛いもんだと思う。

しかし、アクション主体とはいえ、ミステリー部分があまりにお粗末。もうちょっとがんばってくれても・・・。
結局、特殊な薬品を使った、とか、特殊な機械を使った、とかなんとかで解決されたトリックが多々ありすぎ。
特殊なもん使えばそりゃなんでもありだよ!!
一応、伏線としてちゃんとシーン挿入してたでしょ?みたいな感じで、伏線回収してくるんだけれど、あんな黒魔術みたいな物体見せられても何がなんだかわからんよ!!
と、ちらっと思いました。まぁ、いいんですけど。その辺にはあまり期待してなかったから。
ホームズって本格ミステリーかと言われると、やや微妙な部分もあるし。

とまぁ、事件としては微妙きわまるんですが、なんかもーホームズがえらい可愛かったからもうなんでもいいやーという気分。
ワトソンくんはジュード・ロウなんで、言うまでもなく男前だし。ありだと思います!
別にずんぐりむっくりしてる必要はないんですよねぇ。そういや。刷り込み怖い。
ただ、映画開始前に『アイアンマン2』の予告流れてたので、アクションシーンになるとどうにも、ホームズが社長に見えてきて、「変身したらいいよ!社長!!」と思うことしきり。

アイリーンも可愛かったけど、もうちょっと出番抑え気味でよろしくお願いしたい。
そんなにアイリーン出すなら、メアリーももっと出してくれればいいのに。メアリーは最初、地味な女優さんだなーと思ったんですがいいキャラだね。ワトソンくん、いいセンスだよ。

拳闘シーンが、なにやら香港映画みたいなだぁと思ってたんですが、エンディング曲がまたジャッキー映画かと思うような曲で、ひょっとしてその辺のイメージがあったんでしょうかねぇ。ホームズと香港映画・・・。
あの曲はどうなのかと思うけど。

名前だけ登場のモリアーティ教授でしたので、続編には出てくるんでしょうか。
別に出てこなくてもいいんだけど、続編作るならもうちょっと原作の事件取り入れてくれるとうれしいなぁ。


2010年03月01日(月) 『羣青 上』(漫)

【中村珍 小学館IKKIコミックス】

連載してた時から早くコミックスにならないかなーと思ってたんですが、昨年の打ち切りにまつわるあれこれの騒動を見て、もう読めないんじゃないかとやきもきしてましたが、さすがIKKI。ありがたい。
講談社はアフタヌーンとかいい漫画出すのにねぇ。モーニングツー編集部が悪いのか、担当が個人的に悪いのか。
それとも他の作家はそんな中でがんばってるのか。
とにかく読者としてはなんでもいいし、どこでもいいから読めればいいんですが。
(獣医師設定はなんか浮いてるなぁ・・・と思ったんだよ)
それにしてもこの印象的な字面のタイトルが苦肉とは・・・。

紆余曲折は抜きにして、この漫画の重みったら。
女二人逃避行、今にもどっちかが死にそうでとにかくその選択だけはやめてくれ!
こんなにがっつりした内容なのに、登場人物の名前が一つも出てこないということに読み終わってから気づいた。
なんというか、凄い覚悟だな、と。

今だけwebで本編が読めるのでとりあえず読め。
http://www.ikki-para.com/gunjo.html



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