妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2010年02月24日(水) |
『哄う合戦屋』(小) |
【北沢秋 双葉社】
新人時代小説デビュー作×漫画家表紙って、和田竜の二匹目のどじょう狙いがありありと伝わってくるんですがそれなりに話題になったので狙いはまずまずなんでしょう。 なんで、志村貴子なのか不思議だけど。時代物のイメージ皆無ですが。
『のぼうの城』のような爽快さは皆無。 読み心地は真逆に近い。 軍略の天才・一徹と、凡庸な君主の出会う不幸。 あまりに一徹に人望がなさすぎて、本当に天才なのか疑問になってきた。 人心掌握が下手すぎるにもほどがある。
戦国の片隅にはこういう話しも転がってるのかもしれないなぁとは思ったが、何かいまいちすっきりしない小説でした。
【連城三紀彦 角川春樹事務所】
大どんでん返しを強調されすぎたせいか、いやそうでもなかったけど?みたいな読後感。 こんなに厚くなくてもいいんじゃないの。 ドラマ化したらよさそうな話しだなぁと思いました。 もう少し叙述トリック入ってるのかと思わせる語り口だったんだけど…。 川田のターンが凄いつまんなくてどうしようかと思った。 くどくど疑う割りになにも具体的に行動しないし、女に心酔する過程もなんか納得しかねた。 ご都合主義と取られても仕方ないのでは。 他にはあれは伏線じゃないのかよ!みたいなシーンが色々あった。メロンとか、蜂と造花とか、歯医者の隣人とか・・・。 登場人物たちが都合よく動きすぎる。なぜそのことを、警察に言わない!と思うことがやたら多かった。 んで、あの血液どっから調達したのよ。
以下、トリックに関するネタバレ。
それで結局、蘭ってなんなのよ、と。 「最後で最大の事件」に関しては、不自然すぎてすぐに偽警官だとばれてしまうし。 賢い者(という設定)同士がお互いを称えあうという寒い状況。しんどい。 全体的に、頭が切れるというのをエピソードで書かないで、そのままの言葉で表現しちゃってるところに説得力が感じられなかった。 母と子がお互いに相手が誘拐されていると思い込んでいる、という点だけ面白かった。
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