妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2009年07月28日(火) |
『大喜利猿 北海道』(他) |
【小林賢太郎・升野英知 河出書房新社】
ラーメンズの小林さんと、バカリズム升野さんによる大喜利ユニットが大喜利猿。 もう4冊目なんすねぇ。 先日出版記念ライブに行ってもらったんですが、この本は。 大喜利ってテレビの1コーナーでとか、もしくはひな壇芸人が無茶振りされてとか、なんだか芸人が嫌々やってるイメージがあるんですが、この二人はほんとにずーっと大喜利をやる。 二人ともコント職人というイメージが強いのですが、筆が早い。 そして絵も上手い。 大喜利ってやる人によってはこんなに面白いのか!という新たな発見のあるライブでした。
書籍になると、独特の緊張感がなくなってしまい、またやや回答の意味が取りづらいものもあり、ちょっと残念。 やっぱりライブがよろしい。
んで、なんで北海道が拠点なの?この二人は。いや、すごく嬉しいことなんですが。 しかも河出書房新社って文学に強いイメージの出版社からの発行もなんだか面白い。
【村上たかし 双葉社】
表紙だけでなんかもう絶対泣ける、号泣間違いない、と思って店頭で逡巡したのですが、村上たかしだしそう間違いもないだろうと読んでみました。
オーソドックスな忠犬ものなのですが、ハチ公物語よりも、フランダースの犬って感じ。 少年と犬じゃなくて、おっさんと犬。 私はどうも忠犬ものが苦手で、犬がかわいそうで本当に苦手なんですが、このおとうさんは最後までハッピーと一緒にいることを選ぶ。 ハッピーもどこにでも行けるけれどそこに留まる。 犬の悲しいまでに愚直な様が、「星守る犬」と「日輸草」には描かれていて、なんて愛しい生き物なんだろうと思う。 日輪草の奥津が犬の愛情にたじろぐのもわかる。 わたしもあとがきにあるように、奥津がもう一度犬を飼ってくれたらいいなと思います。 私としては日輪草のほうがより胸に迫りました。
しかしあまりに悲しすぎるので、『ぱじ』くらいの話しにしといて欲しい…ほんとに。
【監督:岩本仁志 日本】
映画の感想。 ジャック・バウアー!!7割 もさもさ孝之可愛い2割 鹿男・・・/石田ゆり子が!?/他1割
こんな感じで、石橋稜が一度ジャックに見えるともはやそうとしか思えず、24にしか見えなかった。 ま、24見たことないんだけど(テキトー)
原作漫画は読んだけれど、上手く脚本にしないと『L』と似たような話しになるんじゃないかなーと思ってたのだが、脚本家が一緒なのか・・・。案の定似てたし。
結城の外道っぷりは原作に及ばないが、現状の玉木宏がやる分においては充分な悪役だったように思います。 せっかく身体絞ったんだから、もちっと色仕掛けが見たかったがなー。石田ゆり子落とすくらいの。
以下ネタバレ。
確かに身体はきれいだが、やっぱり頬がこけて鹿男状態に。 役柄上今回はこれでいいけれど、次回作、というかのだめの時はもう少し丸くなって戻ってきて欲しいなぁ。 ドラマ初期頃が一番私的ベスト。
ヤンキーやったり、ダメ大学生やったり、今年は忙しい山田孝之。 今回はダメ神父。 見た目も中身ももさもさととろくさくて可愛かった。 島に上陸した時に肩から斜め掛けしてたカバンが可愛かった。何、そんな大きなバッグ持ってきちゃったの?そこに何をいれてるの?おにぎり?救急道具?? 原作の賀来が結城に対して負い目と罪悪感を持っているが故に逆らえなかったのとは違い、映画版は恩を感じている上に愛しちゃってるというのがなんともいじらしく可愛く、おバカ。その愛はきっと錯覚だよ。MW吸っちゃったんだよ。賀来も。
教会で祈るシーンも、「いただきます」ってしてるのかと思ったよ。 ひょっとしたら宗派によるのかもしれないが、普通のイメージだと指組むよね。祈る時。 とかく神父に見えない孝之でした。
で、ジャック・バウアーが主役だったなぁ。あんなアグレッシブな刑事、石原プロにしかいない。
石田ゆり子があんな死に方するなんて大変珍しくてびっくりしました。
ツッコミどころいっぱいで楽しかったです。
2009年07月09日(木) |
『プロメテウスの涙』(小) |
【乾ルカ 文藝春秋】
新作が気になる新人作家、ようやく2冊目出ました。 『夏光』は良質なホラー短編集でしたが、今回は長編。 夏の方の表紙が微妙だったのだけれど、今回はやったら怖いな。内容はここまで怖くない。 そもそももの凄く怖い系のホラー作家ではなく、恒川光太郎系の叙情ホラー。岩井志麻子のような怨念系でもない。
日本で少女の患者を受け持つ涼子と、海外で死ねない死刑囚を受け持つ裕美、二人の精神科医のパートで構成されている。 死刑囚サイドの裕美に比べて、少女サイドの涼子にやや緊張感が欠け、二人のパートのバランスが悪く感じた。 また涼子が裕美に比べてあんまり自分で考えてないのが歯がゆい。そういうキャラだと言ってしまえばそうなのだけれど、ずぼらな性格そのままに涼子に頼りっ放しじゃああまりにも、主人公の片割れとしては魅力に欠ける。
ラストはもっと怖くする方法はいくらでもあっただろうけれど、意外なほどきれいな真相。 赦すと伝えるためだけにあんなにむごく生きながらえさせるのもどうかという気もするが。まぁ、少女は被害者だからそこはいいのか。
主人公の女医二人に特に危険がないので、大変安心して読めるホラーでした。
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