妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2009年04月30日(木) |
『鴨川ホルモー』(映) |
【監督:本木克英 日本】
なんか大雑把な映画だなぁという印象でした。 原作の雰囲気はあると思うけど、ホルモーも結局2試合しかしなくて、凄く残念。 凡ちゃんの采配も全く見られず。 オニはちょっと顔色がつやつやし過ぎじゃないのかなぁと思いました。もう少し不気味な形のイメージだったんで。 あとべろべろばぁの店主、石橋蓮司のキャラ濃すぎるんじゃないかなぁ。もっとさりげないキャラでよいと思いました。 その点、荒川良々はよかったなぁと。 全体的に役者さんたちはよい仕事してたと思います。
私としてはあんまり笑えるシーンもなく残念。 ・・・まぁ、原作読んだ時も特に笑ったという記憶はないんだけれど。
2009年04月22日(水) |
『夜は短し歩けよ乙女』(小) |
【森見登美彦 角川文庫】
モリミー的片思い小説。 『太陽の塔』の時よりも、大分ファンタジー色が強いです。別にそんなにファンタジー入れなくてもいいんではないかなぁと思いつつ、妄想なんだかファンタジーなんだかよくわからない可愛らしさはモリミーの持ち味の一つなのでまあいいか、と。 珍しく、片思いする側の“先輩”視点だけではなく、思われる“黒髪の乙女”の視点との交互で、二人のすれ違い行き違いが楽しい。 なんだかメリーゴーラウンドのような小説。 「恥を知れ!しかるのち死ね!」などの森見的名言に、やたら共感しちゃって困った。 片思いの甘酸っぱさというより、片思いの暴走。でもやることは、偶然を装って遭遇するだけ。かわいい。
解説の羽海野先生のイラストが可愛くて、イメージ通りで、漫画化は羽海野先生にしてもらいたかったなーとしみじみ。 羽海野先生は先輩のイメージは森見登美彦本人だったと書いていたけれど、私は終始、乙女のイメージが本上まなみでした。
2009年04月13日(月) |
『クローズZERO 2』(映) |
【監督:三池崇史 日本】
続編映画は何かと批難されがちですが、続編映画の良いところ悪いところ両方出てるなという出来栄えでした。 良いところはお約束やレギュラーキャラクターの定着、新キャラの追加。 悪いところは後付感のあるストーリー。
しかし充分に1の雰囲気残してますし、源治がくどくどしてるのがやや気になりましたが、周囲のキャラも活躍して、お祭り的な楽しさを堪能したらよいと思います。 1楽しかったから、2もできちゃったぜ!みたいな。
1よりもさらに校舎が汚くなり、キレイなところは残すなという心意気が充分感じられました。 対する鳳仙はきれいな校舎、きれいな制服。 鳳仙の鳴海はお前はホモだろう・・・それはと思いましたけれど。 ゲイというのとはまた意味合いが違うんですが、女のためには死なないけど男のためには死にそうなタイプという意味での。 三浦春馬は乱闘しないんだな。
しかしこいつら卒業して何するんだろうなぁ。
2009年04月10日(金) |
『迷路の森の盗賊』(小) |
【瀬尾七重 旺文社】
児童書です。 挿絵の版画が無性に怖い。
花作りだった父親が死んで、その土地を売り払い町で一儲けしようとしていた若者が、森で追いはぎに相身ぐるみ剥がされ、さらにその森を根城にしていた盗賊たちに遭遇してしまい、そのまま追いはぎに復讐するため盗賊の弟子入りするという、児童書とは思えない展開の連続にえぇー!?という感じ。 盗賊としてめきめき腕を上げて10年、ようやく追っていた追いはぎらしき人物に出会う、という話しなんですが、主人公が改心するでもなく、わだかまりが解けるでもなく、もちろん復讐が成就するわけでもない。 ラストにはただ、ぽかんとするばかり。 老人と娘の幻を見た主人公は、追いはぎだった過去を許してやる気になったのかどうか。 許したところで、今度はここ十年の自分の所業をどうするつもりなのか。 ただただ、ぽかんとする終わり方でした。
2009年04月08日(水) |
『オレンジ・アンド・タール』(小) |
【藤沢周 朝日新聞社】
常々、藤沢周平となんらかの関係があるのか、と気になっていたのですが、読んでみてはっきりと何の関係もないな、と思いました。
表紙が黒ずみ太郎(というわけではないが)でとてもインパクト大。
「オレンジ・アンド・タール」 目の前で友人が飛び降り自殺して以来、生きている意味がわからなくなる主人公カズキ・高1。 私はカズキはもちろん、カズキが尊敬し慕っているトモロウよりも年が上なので、どちらにもあんまり共感はしないのだけれど、そんな時代もあったなぁくらいは思う。 何もかも意味なんかねぇよってトラップにかかってしまう主人公達だけれど、青いなぁと。ま、高校生だからな。 意味なんかねぇよってそりゃ、いまだに思うんだけれど、意味がなきゃいけねぇのかよとその後に思うようになった今となっては、ただひたすら早く大人になりなと。 20歳前後に読むと、何かしら救われるのかもしれない。 ただやっぱり、お前達は刹那的過ぎるよ、と思う。 でもまあ、大人になったら大人になったでまた違う理由で死にたい気分になることいっぱいなんだけれども。
「シルバー・ビーンズ」 オレンジ〜をトモロウからの視点で語った話し。 トモロウは23歳で、父親に反発してホームレスやってるんだけれど、こちらはこちらで全く共感できない。 この二編で唯一理解できるかなぁと思ったのは、父親の秘書をやっている田村。やっぱり設定の年齢が近いからか。 嫌な大人代表として描かれているけれど、それがどうした、と私は思う。 議員秘書という役柄を演じている、それがどうした、と。 国家を語ることは愚かか。 確かに田村は大した人物じゃないだろうけれど、別にいいじゃねぇかと思う。 お前は一体何してるんだよ、と始終思いました。 みんなの前から消えた後こそ、書いて欲しかったんだけれど。
で、トモロウよ、TIMはトリオじゃないよ。
2009年04月02日(木) |
『ねずみの騎士デスペローの物語』(小) |
【作:ケイト・ディカミロ 訳:子安亜弥 ポプラ社】
人間のお姫様に恋しちゃってハツカネズミの世界を追放される小さいハツカネズミのデスペローの物語。 児童書ですな。 ネズミの絵は可愛いけど、人間がちょっと怖い。
児童書にしてはちょっと変わった読み心地がしたのは、許しの物語だったからだと思います。 デスペローはハツカネズミらしからぬ行動のため裁判にかけられた時、弁護してくれなかった父親ネズミを許します。 それが優しさや愛情のためからではなく、そうしなければ自分の心を救えないから。 またピー姫も、自分の心を救うためにドブネズミを許します。
ドブネズミのロスキューロは醜く狡猾で、召使のミグも太って愚鈍。 王様は姫を愛してはいるけれど賢明とは言えず、登場するほかのキャラクターもみな美しい人物とは到底言えず、美化とは程遠い物語でした。 闇の世界にも光の世界にも身の置き所をなくしたロスキューロが哀れながら、印象深い。
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