妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2007年08月26日(日) |
『外資との闘い方、教えます 日本企業はなぜ負け続けるのか』(他) |
【岩田昭男 朝日新聞社】
私は外資に買収されるような企業に勤めてないのですが(今の職場が買収されたらそれはもう大変なことだな)、「ハゲタカ」のドラマ見たら俄然興味が出てきて、適当に読んでみました。
私は政治経済がまるでダメなので、知識もないに等しいから入門書的なものを選んでみました。 多分、入門書としてはそこそこいいのではないかな、と。 大雑把に、日本企業と外資の関係がわかったし。 なんとなく、客観性には欠けてたような気もしますが。
結論が、外資系企業のいいところと、日本の伝統的なやり方をうまく組み合わせて発展していこう、という物凄く無難なところに落ち着いて拍子抜けします。 闘ってないよ! そもそも、外資と闘う必要はない、ということは著者もわかっているのかもしれませんけれど。 あとは、もし勤めている会社が外資系企業になっちゃったら、もう別会社になったと思って、諦めて辞めるか、上手く折り合いをつけよ、という、なんともかんともな示唆がされてましたね。
2003年の本なので、現状はまた少しは変わっているかもしれませんが、グローバリゼーションという言葉は相変わらずよく聞くように思います。 外資の進出が社会のモラルハザードを促進しているとかそういう話しはどうかと思いましたが、ものすごく普通の話しかしてなかったような。 ま、だからこそ入門によいと思ったのですが。
よい企業の例として、キャノンとトヨタがあがってました。 明治乳業とボーデンの話しが面白かったかな。
もう少し別の本も読んでみたいですが、専門外は選ぶのが難しくてなぁ。
2007年08月25日(土) |
『夢見る星座』(漫) |
【草間さかえ BEBOYコミックスリブレ出版】
短編集でした。 表題作も好きでしたが、「されど美しき日々」が好きでした。 このいかにも重くなりそうなネタをさらっと描いてくれるのがうれしい。 『肉食獣のテーブルマナー』の中の「きっと沈んでいくみたいに亮は亮でなくなってしまう」というセリフや、この話しの中の「閉じた世界はきっと暗いよ。それは幸せとは違うんじゃないかな」というセリフに、BLに少ない倫理観を見た気がして、そうそうそう!と思いました。
BLは人として社会的にそれはいかがなのか、そんなんでいいのか、と思うことが多いからなぁ。 まあ、それが醍醐味の一つであることは否定しないんだけども。 私としてはそういう閉じた幸せ、のようなものは後味が悪くて。
どうせ夢なら幸せなのがいいです。
2007年08月23日(木) |
『肉食獣のテーブルマナー』(漫) |
【草間さかえ コアマガジン】
引き続き、草間さかえのBLです。 BLというカテゴリがあったほうがいいのでしょうか。 しかし、カテゴリを作るほどには読んでいないんですけども。
短編集です。 表題作も好きですが、「ここだけのハナシ」が好きでした。 あー、なるほどそう来たかぁと。 途中、ものすごく切ない展開をするんじゃ、と思ったので、アニヲタオチ(オチでもないが)はよかったな、と。
さらっとしてるけど、必要なことはちゃんと描いてあるところがよいですねー。 暗くなりすぎないし。 暗いBL苦手なんで。
【恒川光太郎 角川書店】
だいぶ前にオススメしてもらって、今頃読みます。 オススメしてもらったら基本的には読みますので、お気軽にどうぞ。 時間はかかると思いますが。
ホラー小説大賞受賞作です。 若干、文章表現が稚拙な部分があって、山田の悪夢再びかと思いましたが、ストーリーはしっかりしてました。 ホラーと言うより、ファンタジーな雰囲気が強いので、怖い、という意味ではホラーではなかったかもしれません。
同時収録の「風の古道」もよくできてました。
ただ文章のセンスが今後磨かれていかないと、私は読まないな。 センスなのか、ただ好みに合わないだけなのか。 風の古道のラストなんかは、好きだったから、今はもっと上達してるかもしれませんね。
2007年08月20日(月) |
『トランスフォーマー』(映)『はつこいの死霊』(漫) |
【マイケル・ベイ:監督 アメリカ】
元ネタとしてのトランスフォーマーの知識はほぼ皆無なのですが、車からロボットへの変形シーンは、子どもの頃にアニメで見たような〜と懐かしい気がしました。 気のせいかもしれませんが。 いや、でも、デストロンなどの名前に聞き覚えがあるから見てたんじゃないかなぁと思うのだけれど。
宇宙人が善と悪に別れて戦うと言う、まあ、ありきたりな話しなのですが、よくよく聞いてると意外と深いことを言っていたり、皮肉が利いていたりしながらも、娯楽に徹している様はさすが。 オートボットたちがかっこよくも、その巨体(つーか車だからね)ゆえの不器用さを発揮しているシーンは可愛くて笑える。 その車に執着しなければ、もっと手軽に戦えるのでは…と終始思ったのだけれど、そこはまあ、壊れるたびにほいほい身体を変えられるのも、正義っぽくないし、あまり深くはつっこまないでおいてあげよう。
人間サイドのキャラが多すぎてもったいないなぁと思いつつ、主人公の俳優がいい味出してたな。 大尉もかっこよかったし。 「何かのために犠牲になったことがある?」とさらっと言っていた、ヒロインが印象的でした。
++++++++ 【草間さかえ 東京漫画社】
BLとは思えない、タイトルに引かれて読みました。 なかなか“死霊”という言葉は使わないなぁと。 中身は別にホラーテイストだったりはせず、良い感じでした。 私は眼鏡はどちらかと言えば、受が好きです。はい。 今後も色々読んでみたい作家さんです。
【森見登美彦 新潮文庫】
話題のモリミーのデビュー作。 「失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ」とのことですが、女性にはいまいち受け入れられなさそうな話しでした。 でも、一部の女性陣には、この主人公のようなダメ具合はかなり放っておけない感じになることだろうとは思いますが。 モテなかった時代の、乙一とか滝本竜彦のエッセイや雑文めいた小説、と言えば分かる人にはわかりやすいかと(二人ともあんなに世のカップルを呪っていたくせにしっかり結婚してる)(共感しちゃった男性読者はどうすんだ)。 世の幸福なカップルを呪い、クリスマスに打ちのめされ、独り身の己を正当化しながらも、ホントはありきたりな幸福が羨ましいだけの自分と言うのも自覚している、というダメな男というのは、最近、多いのか? 現実にもちらほら見かけるぞ。 経験的に、このタイプの男は案外モテる。 物凄くはモテないけれど、ダメな自分を自虐してネタにできるだけの客観性と、インテリジェンスがある男が好きな女性はっけこういるんですよねぇ。 解説の本上まなみとかさ。
文章のうまさは、言うまでもないのですが、まぁ、だからどうした、って話しでもありました。 コレは確かに、ファンタジーなのかもしれませんねぇ。 (ファンタジーノベル大賞受賞作) 終盤の電車のくだりから、ええじゃないかにかけて。
嫌いじゃないけど、もっとダメでいいと思いました。
2007年08月11日(土) |
『とかげ 1〜2』(漫) |
【灰原薬 一迅社ZEROSUMコミックス】
割と絵が好み。 話しもまぁまぁ面白いと思います。 設定の割りに派手なエピソード少ないですけども、とかげをどう描いていくかでもっと奥行きが出てきたら今後面白いかと思います。
2007年08月08日(水) |
『神父と悪魔 銀の森の人狼』(小) |
【志麻友紀 B’sLog文庫】
あー・・・。 何ともいえないというか、なんというか。 率直に言って、ほんっと久々につまらないな、と思いました。 以上で。
2007年08月07日(火) |
『へうげもの1〜2』(漫)『悪の読書術』(他) |
【山田芳裕 講談社モーニングコミックス】
主人公は織田信長家臣、古田佐介。 この漫画が戦国物として一風変わっているのが、佐介が立身出世を目指しながらも、茶の湯や物欲に抗いがたい数奇者であるという点でしょう。 まあ確かに、この時代の武将達が茶器などの蒐集に執心していたという話しはぼちぼち聞きますが、それをここまで中心にしたのは初めてのような。 この時代においての名器がいったいどういう役割を果たしていたのか、がわかります。
あと、本能寺に驚きます。 ひ、秀吉!?
++++++++ 【福田和也 講談社現代新書】
福田和也と言えば、ゴー宣でよくコケにされている人というイメージですけど、本書では小林よりのりの名前がちょろっと出ていました。 肯定的な意味で。 ゴー宣でも最後には持ち上げたりしてるし。 この二人はなんだかんだと、持ちつ持たれつなんでしょうな。
いったいどういう本なのかと言うと、
一足の靴、一つのカバンを持つことが、どういう意味を持つのかという点については、非常に意識的であり、時には戦略的ですらある人が、本についてはまったく意識がない。 〜中略 読書の場合、ある本を読むことがどういう意味を持つのかということについて、まったく考えないで、そのうえでかなりとんでもない本を平気で読み、公開している方がほとんどなのではないかと思うのです。
とまあ社交的な読書について書いてある本です。 しかもどういうわけか、主に女性を想定して書かれているようでした。 ある程度読書をする人なら、軽い気持ちで好きな作家は?などと聞かれるのはけっこう面倒くさいものだということは分かると思います。 じゃあなぜそれを面倒くさいと思うのかというと、それを気軽に答えてしまうと、自分がどういう人間かが見えてしまう恐れがあることを知ってるからです。 私のように読んだ本をこうして片っ端から、blgに載せるような者でも、オフで何を読むか、とか、最近読んだ本は、などと聞かれると、けっこう神経を使います。 まあ、私の場合、いかに腐女子であることを悟られないか・・・という方向で神経使ってるんですけど。
逆に、素敵な俳優などが、山田悠介おもしろかったです、とか言った日には地の底までがっくりしてしまったり。 そんなら、いっそ、本なんて読みませんと言ってくれたほうが何倍もマシ。
ところどころ、オッサン感性を感じながらも、概ね妥当という気がしました。 お薦めされた作家をことごとく読んでなかった私ですけど。 塩野七生って女性だったんだな・・・。 高村薫だと世間知らずに見えて、京極夏彦はマニアに見えるというのも、まあ確かに、と思いますし。 休日にバイオリンを弾く刑事が、果たして本当に分かりやすいイメージなのか、と疑問ですが。 アレは相当仰け反って爆笑したんだけどな。どうして、そんな設定になっちゃうのか!?と。
2007年08月06日(月) |
『燃えよペン』(漫) |
【島本和彦 小学館サンデーGXコミックス】
漫画好き、漫画を描くのが梳き、そういう人は須らく読むべし。
漫画って小説と違って体育会系だよなぁと思う。 まーしかし、笑った。 笑いながらもそれだ!と凄くうなずいた。
【佐々木丸美 創元推理文庫】
長らく絶版になっていた佐々木丸美の著作が、去年から復刊されてめでたいことです。 ただ改めて読むと、長らく絶版なのもうなずける部分もある。 ひたすらにリリカル。 ひたすらに甘い。 主人公の涼子が、思春期の少女であることを差し引いても、文章がリリカル。 ダメな人は途中で本を投げ出すくらいに強烈です。 私も途中で遠い目になりながら読みましたが。
それでも、なんだか放っておけない作家なんですよねぇ。 解説の若竹七海も苦労して解説書いていた通り。 もう現代では生まれてこない作家でしょうね。
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