妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【北方謙三 角川文庫】
今回の主人公は、家出した教え子を追ってN市にやってきた高校教師(科目は日本史)西尾です。 今までの主人公で一番、理解しやすかったな。 今までも全く理解不能というわけではないのですが、うーんまぁ・・・そういう思考回路もあるか・・も?くらいの理解でした。
この巻、妙にみんな可愛くて、どうしたんですかね。 すっかり下村に懐かれたらしい坂井とか、女子高生にはどうも辛辣になれないらしいキドニーとか、知子にすげなくされているらしいドクだとか、久しぶりに殴り合いな社長とか。 しかしやはり、主にキドニーが妙に可愛くて、困るな。 最初の頃から結構、好きだったのだけれど。
好きになっても、次の最終巻で死ぬんでしょ!?と言いたくなるのですが…。 もう次でどれくらい死ぬのか、そればかりが気がかりで。 秋山さんもそろそろ大人しくしているのに飽きてきたらしいし。
安見ちゃんが「川中のおじさま」と言っていて、あの人おじさまと呼ばれるほど、上品なもんでもないんじゃないのか、と思いつつ可愛かったのでいいや。
シリーズ中どこかで、主人公が死ぬパターンが出てくるんじゃないかなぁと思っていたので、あまりびっくりもしなかったのですが、好きな話しでした。 高岸が今後、ブラディ・ドールでどうしてくのか気にかけつつ、人が死にまくるであろう最終巻を思うと気が重い・・・。
ところで立野さんは東京に帰ったのかな。
2007年04月01日(日) |
『白い兎が逃げる』(小) |
【有栖川有栖 光文社文庫】
お馴染み、火村&アリスの中篇集。 なかなか良質の一冊。ミステリとはかくありたい。
「不在の証明」 スリの犯人が目撃者という冒頭が面白い。 不在であったことを証明する、という発想が面白いが地味だよね。やっぱり。
「地下室の処刑」 森下くんが拉致監禁!というわくわくシチュエーションです。 そんな私のわくわくはさておき、ミステリにおいて警官のレギュラーキャラが、犯人・被害者、以外の使い方だってできる、という好例でありましょう。 そのうち、このテロ集団と火村先生が対決することもあるかもね、という話しですがその時は派手にお願いしたい。 意外な動機、というのだが、どうもどこかで見たことあるような気がしてならない。
「比類のない神々しいような瞬間」 勤勉なミステリファンなら、タイトルでにやりとするのかもしれないですが、私のようなはるか彼方昔にしかクイーンを読んだことがない者は、そんな記述あったかなぁ?といったもんで。 それにしても、相変わらず先生は休講しまくりのようです。 こんな助教授に給料払ってていいんでしょうか。いっそ警察の方から給料払った方がいいんじゃないでしょうか。 犀川先生を見習ってもらいたいものですね。 ダイイングメッセージが別の証明をする、というひねりはよいですね。 へぇと。
「白い兎が逃げる」 カメがウサギを追い越す、というのが気に入った、のだろうなぁ。 正直、北海道の人間には新幹線だのなんだのを使った鉄道系のトリックは、非常にぴんと来にくいものがある。 へぇ、そうなんだねぇという感じで。 まあでも、時刻表トリックじゃなく、あくまで心理的トリックだったのでそういうひねりは面白い。 トリックと関係ないけど、火村先生が 「俺は、お前が苦吟しているのを見ると、新しい発想が浮かぶ。告白すると、いつもありがたく思っているんだ」 というシーンで、みんなそれには気づいてましたけどね、と思った読者多数という気がします。 ついでに求婚でもして、いい加減結婚でも何でもしたらいい。この二人。
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