妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2006年12月19日(火) 『もやしもん 1〜2』(漫)

【石川雅之 講談社イブニング】

細菌が見える青年(19歳は少年?)が主人公の漫画です。

細菌が見えるという設定も意表を突きますが、そんなことよりも、読んでて感じたのは、やたら大雑把な漫画だなぁということ。
二話目にして漫画のタイトル変わっちゃってる点も大雑把だけど、ストーリーもなんか大雑把。
まあ、細菌が見えて、しかも指で摘んじゃうあたりも凄い大雑把なんですが、それはそういう漫画なので笑いどころとしていいんですけども、二巻目で物凄いアバウトな感じにフェードアウトしていった、蛍くんにびっくりした。

しゅ、主人公の幼馴染が、え!?なにその淡白な消え方!
みたいな。
すげぇな!びっくりだ!心底びっくり。
明らかに急激にキャラ増やしすぎて動かし辛くなったんだろ!と思ったり。

脱力系とかゆる系な漫画はけっこうあるんですが、これはなんだろう。
大雑把。いや、彼岸島的大雑把と違うんですが。あれ、行き当たりばったり。
面白いんですが、なんとも得体の知れない漫画です。

学祭編、あんまり細菌関係なかったので、3巻以降は細菌がらみだといいな。
直保の影がだんだん薄く・・・いや、もともとそんなに主張しない主人公だったけど。わりと好きなんだけどなぁ。
ちなみに私は日本酒も好き。


2006年12月18日(月) 『蜘蛛女のキス』(小)

【マヌエル・プイグ 訳:野谷文昭 集英社文庫】

桑原水菜の『赤の神紋』で、蛍と奥田が演じてたものです。
読みながら、たまに脳内で蛍と奥田に変換されてました。そして、つくづく見たい〜と思いました。

それはともかくとして、思いのほか面白かったです。
監房の中のテロリストとホモってどんだけ濃い設定なんだよ、とさすがに引き気味にもなる粗筋ですが、読んだら切ないんですよねぇ。
小説なのですが、シナリオ形式に近いので、モノローグや描写がない分、あっさりしていて読みやすい。
また、モリーナの語る映画の話が素敵なんです。

バレンティンとモリーナは結ばれますけれど、それは愛情からというわけではない。
モリーナはバレンティンを愛していたかもしれないけれど、バレンティンはせいぜいが親愛なんだろうと思う。
多分、お互いその感情の齟齬には気がついていて、それでもモリーナに仲間との連絡を頼むバレンティンって、酷い奴めと思ったりする。
バレンティンは、モリーナが自分達の世界に入るのは良いことだと信じているから頼んだのだろうけれど。
結局の所、監房の暗闇の中で、お互いにお互いの世界を覘き見たのだけれど、どちらも相手の世界には馴染むことができなかった、という点がなんとも物悲しい。

モリーナ、可憐過ぎるよ・・・。切ない。
中年のホモだけど。それがなんだ。


2006年12月17日(日) 『新装版 夢幻紳士<マンガ少年版>』(漫)

【高橋葉介 朝日ソノラマ】

この単行本は実は持ってるのですが、今回の新装版には、旧版には載っていない作品がいくつか収録されてるので買わないとな〜と。
特に「クレイジーピエロ」は読んでみたかったので。
読んでよかった。
クレイジーピエロ、相当好きな話しです。
救いのない話しだけど、全然ウェットじゃないところとか。

タイトルの夢幻紳士は、冒険活劇編と青年版の中間のようなシリーズが収録されてます。
「案山子亭」が好きかな。

高橋作品はグロくて救いがないタイプの話しが好きです。
でも、「夢幻少女」のような話も好きなのですが。


2006年12月14日(木) 『びんの中の子どもたち』(小)

【大海赫 ブッキング】

今回の挿絵は彫り下ろしの新作版画だそうなのですが、私は大海氏の版画よりも『メキメキえんぴつ』の時の点描交じりのイラストの方が相当恐かったので好きなんですが…。

大海氏の児童書の何が恐いのか、ぼんやりと思うに、文章の訥々とした感じ、有体に言うと、あんまり上手くない点が不気味な印象を与えているよに感じます。
物凄く恐ろしいわけじゃないのだけれど、なんとなく漠然と恐い氏の本は子どもの頃に読むと本当に強烈なトラウマになること請け合い。
是非、小学校の図書館へ(え)

今回の不気味ポイントは、悪魔の手下がノミだって言う点ですかね。
そのノミは人間の言葉を話せても、ノミなのですぐ死にます。でも死ぬ前に必ず子孫を残していきます。
なんかその辺が不気味。

ビンから脱出する時に、血まみれになるゴローとか、怖いよ!と思う。別に血まみれにならなくってもいいじゃないかって。


2006年12月06日(水) 『ROMES06』(小)

【五條瑛 徳間書店】

関西国際空港がモデルだと思われる、“西日本国際空港”を舞台にした小説でした。
西空には世界的にも最新鋭のセキュリティシステムROMESが導入され、その全容をただ一人把握しているのが、本書の主人公成嶋です。
多分。
なんで多分かと言うと、なんだか途中から、成嶋さんの部下砂村の方がメイン・・・か?みたいな感じになってくるので。
と言いますか、五條小説の主人公パターンに砂村さんの方がマッチしてたので、そう感じただけかもしれません。

成嶋は珍しくへたれていない主人公です。
最も、最近のはあまりへたれ出てこないの増えてきましたけど。
五條的へたれキャラを愛する身としてはちょい残念。
まあ、成嶋の飄々とした天才ぶりも好きでしたが。ハル(愛犬)とのやり取り可愛いし。

テロリストとの戦いということで、派手めな話しを期待していましたが、派手なエピソードはあまりないです。
飛行機墜落とか、滑走路炎上とか。
車がちょっと炎上したくらいで(いや十分派手?)

相変わらずキャラをいっぱい出しすぎのような感がありますが、ここ最近の単発ものの中では一番面白かったかと思います。
消化不良気味な部分もあるような気もするし、06がなんなのかわかるシーンはあっさりしてるような印象。
でも、そんなもん日本の空港に仕込んでたのかい、成嶋よ!とびっくりします。
先日、実際に関空に行ってきたのですが(読んだから行ったのではなくそういう予定だったから)、ついパラボラアンテナ探しました。
ここにROMESシステムが…!(ないない)とか思ってわくわくの関空でした。

ストーリーとは別に、どうせ犬以下、と凹む砂村さんには毎度がんばれ、そんなことは・・・ないとは言わないけど、がんばれ!と応援したくなることしきりでした。
砂村さんの可哀相ぶりは、これぞ五條的へたれという感じで素敵です。

続編とかできたらいいのにな〜。



蒼子 |MAILHomePage

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