妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【梨木香歩 新潮社文庫】
日常に不思議な出来事が自然に紛れ込んでいる話しが、昔から好きなので、これも読むのを楽しみにしておりました。
亡くなった友人の家の守を頼まれた、駆け出し文士の綿貫征四郎の話しです。 庭のサルスベリに惚れられたり、掛け軸から友人が帰ってきたり、犬は河童と仲良くなる、そんな不思議な事柄を、なんとはなしに受け入れる綿貫の視点のため、不思議なことも不思議ではないような気持ちになります。 私は、不思議でちょっと恐い路線が好きなので、その辺少々物足りない気もするのですが、長虫屋なんてのはちょっと不気味な存在でよかったです。 「ススキ」、とか、「サザンカ」が好きでした。 それと、「セツブンソウ」の最後の方のやり取り。
私は、ああ、そうだ、これが高堂と自分との決定的な差異なのだと悟った。私は急に、私たちの前から忽然と姿を消した高堂に対して、恨みのような思いが湧き上がるのを感じた。
というくだりなんて、好き。 「私の精神を養わない」というくだりも好きですけれど、私は悩んだり惑ったりしている人が何より好きです。
解説では、日本の懐かしい原風景があると書かれているのですが、確かに懐かしい日本を舞台にしているのに、どうしてか私には日本的な印象が薄かったです。 むしろヨーロッパの片田舎を舞台にした方が、この人の文章には合うような気さえしました。
本編に関係ないのですが解説で、本屋で偶然目にした本に我知らず手が伸びることがある、と書いてあって、本が好きな人はみんなそうなんだなぁと思いました。 そして、そういう時に出会った本は間違いが無い、というのも。 本屋での直感は大事にしたいものです。 (本当に関係ない締めだなぁ)
2006年11月12日(日) |
『死人機士団 下 魔界都市ブルース』(小) |
【菊地秀行 祥伝社文庫】
上巻で不死になってしまったせっちゃんですが、普通に、 不死のまんまで終わったよ!? え・え〜!? さすが。さすがは魔界都市。 結局どういう理屈で不死なのかもわかりませんし。 それでこそ、魔界都市(なんでもそれ) なぜなら、魔界都市新宿だから。
フランケンシュタインの話しをあまり詳しく知らないので、ぴんとこない部分が多々でいささか、残念。 今度読んでみよう。
今回は、人形少女がいつもながらいじましく可愛らしかった。 異形の巨人には愛らしい少女を、というある意味王道な組み合わせです。 まあしかし、ドッペルゲンガーがあんまり生きてなかったような気がするのですけれど、蒼城家についてはまたいずれ、触れるんでしょうかね。
いじましいと言えば、夜香くんもある意味いじましかったです。 みんな本当、せつらのこと好きだよね…。しょうがない。美しいから。 ドクターは何を思ってせつらに不死の手術を施したのか。 わかるようなわからないような。 ところでドクターって、トンブとか戸谷さんのことを女だと認識してるんですかね…?してなさげな。
ラストシーンは美しく切なく、まさに“魔界都市ブルース”という感じでございました。 非情さと甘さがほどよく今回も楽しませていただきました。
2006年11月09日(木) |
『DEATHNOTE The Last name』(映) |
【監督:金子修介 日本】
お待ちしてましたの後編です。 前編を観た時は、どうしようかと思いましたが(主にエキストラが!)、思いのほかきれいにうまくまとめて、お、と言う感じ。 ほんと、心配してたんですよ。 後編もそりゃ、エキストラが微妙なことに変わりなかったですが、登場するシーンが減りましたし。
前編を観た人は失望せずに、後編も観てやってくださいな。 意外といけるから。 前編観てない人は…、さらっとおさらい程度に誰かに粗筋聞いたらいいかも?
原作で、後半になればなるほど、ストーリーに置いてけぼりを食った、私としては映画のすっきりダイジェスト気味のシナリオの方が好きだったかもしれない。
以下は原作映画共々ネタバレしていきます。ご注意!
金子監督が、「原作には大人の視点がなかった」という指摘にとても納得。 原作での月の最期になんとなーく納得行かなかったのが、映画版の最期を見て「これだ!」と急に腑に落ちたのもその辺の理由かもしれません。 原作で月が死ぬ時って、月にとって近しい存在の人はみんな死んでいて、キラであることを突きつけるニアだの捜査本部の人たちの言葉は月にとって凄く遠い言葉のように思えて、それじゃあ月はただただ悔しさの中で死んでいっただけじゃないのかなぁと思ったものです。 多分、痛みのようなものはなかったんじゃないかな、と。
それで、映画版で、総一郎パパが「お前は正しくない」と言ったとき、それだ!それを聞きたかった!と凄く納得したしだいなわけです。 まあ、映画版総一郎がやたら強いオーラ出してたので、ただで死なないような気はしてましたが(つーか死んでないし) 原作よりもパパの影響受けてたらしい月だからこそ、可能な流れ、なんですけれどもね。
あと、Lね。Lのデスノートの使い方が上手かったね。 まあ、おかげさまで原作ではショックは受けても泣きはしなかったのに、泣いちゃったよ。総一郎とLの最後のやりとりで。
それにしても何にしても、藤原版月のキモさは半端ないね!(褒めてる) 原作の月も大概キモいですけれど、藤原版はキモイに特化してる。 いやー、あのキモさを表現できるものなのだろうか、と思っていたのですが、お見事です。お見事すぎて、今後ずっと藤原竜也が月に見えないことを祈りますが。
松山ケンイチのLは後編も甘いもの食べまくりで、ようがんばった!可愛かった!くずきりもぎゅもぎゅ食べてる所とか、角砂糖頬張っているところとか、うずまきキャンディー持ってるところとか。 そして、ひょっとこ。
細かいところはきりが無いのでこの辺で。 漫画の映像化という観点から見ると、概ね成功といえるのではないでしょうか。 映画としては、まあ、エキストラまでもう少し気を使ってくれればあんなに安っぽくならなかったのになーと思います。 続編はいらないので勘弁してください。
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