妄言読書日記
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※ネタバレしています
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ゴールデンウィーク突入と共にPCも勝手に休暇に入ったらしく、全く使えません。 メーカーもゴールデンウィークに入ってしまい、修理に一ヶ月(多分以上)はかかりそうです。
そんなわけでして、しばらくは全く更新はもちろん、メールもチェックできません。 帰ってきたら、まとめて更新しますので(彼岸島も含め)しばしお暇いたします。
いやホント今回は参った…。
2006年04月29日(土) |
『ひまわりの祝祭』(小) |
【藤原伊織 講談社文庫】
『テロリストのパラソル』に続いて、読むのは二作目。 テロリスト〜は面白かったし、所々ツボに入ったのですが、総合的にそれほど好きではなかったので、本書も買ってからしばらく寝かせてありました。 そんな本書ですが、早く読んでおけばよかったー!と思うくらいには面白かった。 いきなり藤原伊織が好きな作家にランクインしそうな勢いです。
妻が自殺して以来、すっかり引きこもりになって、ドーナツと牛乳を主食として生活している秋山くんが主人公です。 もうこの二行だけで駄目っぽさ全開で、私的にはツボです。 そんな秋山君とゴッホの幻の「ひまわり」を巡る話しですが、なんとも人間臭いハードボイルド。 キャラのせいかもしれません。 でも、そのキャラも一人ひとりみるとみんな現実離れしています。
才能溢れる元デザイナーで、天才ギャンブラーで、射撃の名手の主人公、荘子が好きな新聞配達の青年、なんか色々凄いし、とにかく優雅(と描写される)原田氏・・・。 こんな浮世離れしたキャラが多くいるのに、読んでいる間は、それほど非現実的だと感じなかったのは、解説にあるように、「美しく正確な日本語」で端的に描写されているからかもしれません。 私はそんな氏の文章が好きです。
それにしても原田氏は某ミラージュの某N氏をなんとなーく髣髴とさせて困ったなぁと思いながらも、大変にツボでありました。 後半は死ぬんじゃないか死ぬんじゃないかと気が気ではなかった。 この人をめぐる爺様二人の三角関係には正直度肝を抜かれました。 魔性のゲイがここにも・・・。
大変楽しく読ませていただきました。
2006年04月27日(木) |
『愛罪 Uxoricide』(小) |
【五條瑛 双葉社】
久しぶりに革命シリーズ第五弾。 久しぶりと言ってもね、まあ、一年に一冊というのはわかってるんですが、それでも早くでろ〜と思いますね。
前の巻のことはあっさりと置き去りにして、新たな面からの切り口。 毎回そういうやり方とはいえ、えっと、桑田さんはどうなったのかなぁ?と思ったりします。 彫翔も全く出てこなかったし。 割とレギュラー陣の出番が少ない巻だったかな。
もう、正直なんの話しなんだかよくわからんのですが。 それでも、五冊目、折り返しに到達したわけですねぇ。
長谷川家が中心の巻でしたが、私としては、すみれの中学生活のほうが面白かったな。 最初と最後にちょろっと出た、嘉瀬と一紀は前にも言ったけど、やっぱ先生と吾郎ちゃんだよな。
「一紀、俺についてくるか? 「当たり前でしょう」 「どこまでも?」 「ええ」
はいはいはいはい、という感じでございました。二人で死にそう。
あとは他に、釜崎と立石のいい感じで、どんどん五條瑛の罠に落ちているなぁという気もしますが、サーシャの誘惑に抗えない人々と同じで、私も四の五の言わずに付いていこうと思います。
そんなサーシャですが、今回は出番少な目。ついでに亮司も少なくて寂しい。 変な小道具はなかったけど、 「兄です」 には吹いた。笑った。 どんな嘘をつくんだお前は!! 多分、笑うところじゃないんだけど、いけしゃあしゃあと兄貴面していて可笑しかったです。
どうでもいいことですが、最近は亮司のビジュアルイメージが小池徹平になってます。え、可愛すぎ?
若干真面目な感想を言うと、この巻、後半文章が変わった気がするんですよ。 なんとなくおざなりな感じが。いや、あまりはっきりとはいえないんですが、なんだか、上滑り感が。 ただの気のせいかもしれませんが、ラストの長谷川父の告白シーンもなんだか緊迫に欠けたと思う。もっと密な文書ける人だと思うんだけど。
エナはどこに行っちゃうんでしょうねぇ。 ハーシーが気の毒・・・つーか、ヤスフミ!生きてたのかい!
今後の展開がさっぱり読めません。楽しみにしています。
2006年04月24日(月) |
『感謝知らずの男』(漫) |
【萩尾望都 小学館文庫】
おススメしていただいたので読んでみました。 バレエ短編集と書いてあるのですが、連作ですね。
「感謝知らずの男」 こういう話しって、普通はお互いに和解するものなのですが、しない。 モリスとミリーは明らかに善良とは言いがたい、押し付けがましい人間なのだけれど、じゃあかといって、善意を押し付けられるレヴィに感情移入するかと言えば、しきれないものがあって、双方にむかって、何故そうなる!と問いたい。問い質したい。
「オオカミと三匹の子ブタ」 レヴィがちょっと大人になった(精神的に)話し。 ジュンという子がものすごいリアルだなぁと。 悪気はないけど、言葉に毒がある子。 一番始末に悪い。
「狂おしい月星」 こういう話しって(以下同上) 萩尾先生はものっすごいリアリストなんですかね。 レヴィにはミツグでいいじゃないか、ミツグで、と言いたくなる。
「海賊と姫君」 ようやく、少女漫画らしい話でほっとします。
「ジュリエットの恋人」 こちらも少女漫画らしい話しでした。 別に少女漫画らしさを求めているわけではないのですが、素直によかったね、という感じで終わる方が好きですよ。
2006年04月21日(金) |
『11人いる!』『ふしぎ道士伝 八卦の空1』(漫) |
【萩尾望都 小学館文庫】
萩尾先生、実は初。 どうなの、それは漫画好きとして、と言われるのは承知ですよ。 いいじゃないか、今読んだんだから。 まあしかし、避けては通れない道ですよね。
しかし、萩尾先生が今も現役であることを考えると、漫画の歴史って本当に浅いんだなぁと思います。
10人のはずの試験用宇宙船に11人いるという、タイトルどおりの話しで、ある程度予想の付く話ではありますが、面白かったです。 思いのほか青春だなぁみたいな話しで意外です。
続編の方はがらりと話しがかわってしまって、ちょっと残念。 で、ショートショートみたいな「スペースストリート」のフロルとタダが可愛くて好きでした。 最近、ほのぼのしたのが好きで、これも寄る年波ですかね・・・。いや違う!違うよ!!
全然関係ないのですが、「11人いる!」というタイトル聞くと、『極道一直線』を思い出さずにはいられません。5巻で終わりだと思っていなかったから結構ショック受けてるんですよ。ま、萩尾作品には全く関係ないんですが。 そのうち、ポーの一族も読まないとなぁ。
+++++++ 【青木朋 秋田書店】
三国志時代だと書いてあってついつい。 読んでみたら三国志末期でした。曹操の孫の代。 そして、ことさら三国志時代は感じなかったり…。 うんまあ、ボニータだなぁという感じの、ゆるーい奇談です。 別に悪い意味ではないんで。 中華な『陰陽師』という雰囲気。 管ちゃんがかわいいから、あま、いいかなぁという気分。
2006年04月18日(火) |
『ダ・ヴィンチ・コード 下』(小) |
【ダン・ブラウン 訳:越前敏弥 角川書店】
うん、まあ、面白かったよ(渋々) 私はそもそも、これの前の『天使と悪魔』が面白いようだ、という巷の噂を聞いて、へぇじゃあ文庫化したら読むかね、と思っていたら、これがあれよあれよと世界中で大ブーム。
私は前から知っていた、という見苦しい主張をしてみました。
与太話はともかくとして、上巻で言ったように、謎の壮大さとは裏腹に、物語はたった一日のなかで展開していきます。 正直なところ、歴史的、学術的薀蓄を話しの中に盛り込むのは上手いが、物語りを構築するのはあまり上手くない気がしましたよ。あとキャラクター作りとか登場人物の動かし方とか。 でもこれだけの薀蓄を飽きさせず読ませるのは凄いことなのでしょう。
おそらく、あちこちで同じことが言われているように思いますが、ダ・ヴィンチの謎じゃなくて、ソニエールの出した謎ですよね…。 映画楽しみにしてます。
2006年04月17日(月) |
『とりぱん1』『学校怪談1』(漫) |
【とりのなん子 講談社モーニングコミックス】
先日、新聞に書評(というほど大げさなものでもないが)が載っていて、気になったので読んでみました。
あ、ちなみに、新聞の書評を特に贔屓にはしていません。あくまで参考。 実際に読むところまでいく本は本当にまれです。
帯に 「ちょっと変わってて、少しクールで、割と背が高い、北の町に住んでるイトコからの手紙、そんなような漫画です」 と書いてあるのが上手いなぁと思います。 エッセイ漫画で、おもに庭にやってくる野鳥の観察が内容ですが、それは、作者の生活の中心がそれだから、という気もします。 なんだかとてもいとおしい気持ちになる漫画でした。 バードテーブル立てたくなります。 我が家にもあったのですが、風でなぎ倒されました・・・。 作者の住んでいるところ並には、自然にあふれてます。 アオゲラが本州以南にしかいないと書いてあって、ちょっと寂しい。 ・・・アカゲラはいるんですよ。めったにお目にかかれませんけど。
モーニングはセンスがいいなぁ。
+++++++ 【高橋葉介 秋田文庫】
高橋葉介(マイ)ブームは今年いっぱい続きそう。 短編ホラー38本立て! いやぁ、おもしろいです。 高橋氏のホラーは、SFチックで、じめっとした怖さはないので、持っていても平気なんでしょうね。 伊藤潤二も好きですけど、所持できない・・・。 (あの人のホラーはコメディと紙一重なのはわかってるんですが、やっぱ怖いよ)
2006年04月16日(日) |
『SPIRIT』(映) |
【監督:ロニー・ユー 中国】
久しぶりに可もなく不可もない映画だった。 大して期待せずに、観に行ったのですが、目立った粗もなくツッコミどころもなく(別に残念なわけじゃありませんよ)、よいのではないでしょうか。 ジェット・リーのアクションがこれでもかーこれでもかーというほど、色々なバリエーションをつけて見られます。まあ、そこはいささか食傷気味にならないこともないですが、飽きるよりはよいですね。
実にベタなストーリーでしたが、ベタであるが故の強みが良い方に転がった映画だったと思います。 ま、実際にいた人物を元にしているからこそ、飛躍が少なかったのかもしれません。 最後の戦いでは、涙してもいいと思います。泣いてませんけど。
心配していた中村獅童くんが、とてもいい役を与えられていて、ほっといたしました。 よかったよかった。見せ場満載じゃないですか。
フォの友人のジンスンがとてもいい奴だった。
さて以下は、この映画を観た人が共通して抱くだろう疑問なんですが、なんですか、あのエンディング曲は。 二本公開バージョンのエンディング曲なんでしょうが、合っていない。 歌も合ってないけど、エンディングロールの長さとも合っていない。 ざっと検索して調べたら大人の事情が絡んでいるっぽいのですが、そんなことは知らないよ。パンフにも何も触れられてないし。 そして、どうやら日本公開版はけっこうカットされているらしいですね。
せっかく褒めようと思ったのに、水を差されましたよ。 しかも映画自体の出来栄えとは無関係のところで。嫌だなぁ。
2006年04月15日(土) |
『ひよこはなぜ道を渡る』(小) |
【エリザベス・フェラーズ 訳:中村有希 創元推理文庫】
大好きな、トビー&ジョージシリーズの見納めです。 本当に洒落た英国ミステリと言う感じで、毎回翻訳されるのを楽しみにしていたのですが、5作しかなくて残念です。
それにしても、このシリーズは翻訳が上手い。 原題『Your neck in a noose』なのですが、それを作中のジョージのセリフである『ひよこはなぜ道を渡る』にしたのなんていいセンスだなぁと思う。 で、毎度毎度表紙もかわいいし。
で、中身ですが、ジョージがほとんど出てこなくて、二人の軽妙なやり取りが少ないのが最終巻なのに寂しかった。 ジョージの謎解きへの絡ませ方が、いつもよりも精彩を欠く感じがする。 だからこその、最終巻なのかなぁという気もしましたが。 そうだね、ジョージをもうそっとしておいてあげるのがいいのかしら、なんて思うんですが、トビーと一緒にいる限り安寧はないんじゃないかな。
さて、このシリーズの難しい所は(推理する側としての)探偵役が率先してミスリードしていくところでしょう。 トビーがありきたりな迷探偵であれば、読んでいる側としても、ああ、またあさっての方向へ行っちゃって、と思えばいいのですが、トビーの推理は全部間違っているわけではない。半分くらいはあたってる。 でも最後の最後の詰めで間違ってる。 読者としては、トビーの自信満々な推理のどこが違うのかわからず、仕方ないからトビーの後を付いて歩く感じ。 こういうパターンの推理小説って他に見たことないな。
最後の最後に、ジョージがこそっと、トビーの間違いを指摘してみせるところがまた、粋でいいんですよねぇ。 今回そこのシーンが甘い。 でも、明らかな事件現場に明らかな自然死の死体が一つ、というシチュエーションはフェラーズらしいユニークさ。
全五作、楽しませていただきました。
2006年04月14日(金) |
『夢幻紳士 冒険活劇篇1』(漫) |
【高橋葉介 ハヤカワコミック文庫】
祝復刊であります。 少年版夢幻魔実也くんの物語。 青年版とはかなり違います。 なんだかとっても懐かしい雰囲気で、それだけで意味も無く笑みを浮かべてしまう。 そんな私は、少年探偵団とともに子ども時代を過ごしたものの一人です。
少年版の魔実也くんはなかなか元気ですねぇ。 お父さんお母さんも出てきて、青年版の限りなく人外の魔実也くんとは大きく違います。
書下ろしを読むと、ほんと高橋氏は若いなぁという気がします。 プロフィールから察するに50なんですが。 あ、まあ、50なら今の時代わりと若い方に入るのかな。
今後他の著作も復刊して欲しいなぁ。
2006年04月13日(木) |
『夢幻紳士 幻想篇』『夢幻紳士 逢魔篇』『月光ゲーム』(漫) |
【高橋葉介 早川書房】
夢幻くん、新シリーズです。 といっても、私、前のシリーズもほとんど全くと言っていいほど読んでませんが。 だってだって、絶版なんだもん!
いやしかし、ほんと面白いよねぇ。 ミステリ風なホラーというか、ホラーなミステリーというのかわからないけど、この手の作品大好きなんですよね。
女の子だっていうのは薄々、というか諦め混じりに悟ってましたが、前半夢を見せてくれてありがとうという気分。 そんなに知ってるわけじゃないけど、夢幻くんが男に優しいわけがない。
++++++ 【高橋葉介 早川書房】
新シリーズの二冊目。 幻想篇から面白い続き方をしているので、幻想篇を読んでから読むのを推奨します。 色男っぷり全開の一冊。 いいよね、色男。二枚目とか、男前とかじゃない。色男。
幻想篇もそうだったけど、こういうあとがきをさらっと書くセンスが好きだ。
+++++++ 【原作:有栖川有栖 漫画:鈴木有布子 マッグガーデンブレイドコミックス】
火村に引き続き、江神シリーズも漫画化。 個人的には、火村より江神シリーズの方がミステリとしての完成度は高いと思っているので、どうなるかなと思ってたのですが、よくできてました。 キャラの顔の見分けが微妙にできないところがあるんですが、まあ、本作はクローズドサークルにしては、登場人物多いから仕方ないかな。年代もみんな同じだし。
学生アリスもかわいいし、江神さんも適度にかっこよいしで良い出来栄え。 有栖川作品、漫画に向いてるのかも。 セリフが気障だから。
2006年04月12日(水) |
『ブロークバック・マウンテン』(映) |
【監督:アン・リー アメリカ】
いや、困ったな。どうしよう。 なんと感想を述べたものか。 気軽な気持ちで観に行ってしまったら、思いのほか打撃を受ける内容でした。 エンディングロールが終わった後も、もうしばらく暗闇の中で考えさせてくださいという気持ちになる。 この観終わった後のどうしようもない感じは、昔観た『桜桃の味』という映画にちょっと似てる。あれはまあ、意味がよくわからなかったというのもあったんですが・・・今観たらもう少し理解できそうですけど。
激しい映像も激しい言葉もないし、どちらかと言えば言葉少なめの、静かな映画です。 随所に映る、きれいだけど物悲しい気持ちになる青空と、峻厳な山の風景がこの映画の全てのような気もする。
これは男同士の愛を描いた映画なのだけれど、愛っていうのはどういう形でも美しいとか尊いとかそういう話しではない。 表面的に見れば、ジャックとイニスの20年に及ぶ愛情はけなげであり、二人にふりかかる別れは悲恋と言える。 だけどだからといって、この二人の姿は美しいのか、純粋なのか、と言えばそれはやっぱり違うと思う。 そもそも、愛情が美しくて善良であるという価値観をこの映画に持ってくることが違うんじゃないかと。 善か悪しかない二極化の価値観がこの二人を楽園から追放したのではないか。 それなら、観る側はイニスが妻を欺くことも、ジャックが他の男で餓えを満たそうとすることも、二人の愛の間では美しいものとして観るべきなのか。
私には二人の二十年は、どうしようもなく惨めで醜いものに見える。そして悲しくてもどかしく見える。 それはなんの報いなんだろうと、ずっと思っていた。
ただ、最後にイニスの娘が父を結婚式に招待しにくるシーン、あれがあって少し救われる気持ちになる。
二人の理想郷で、楽園だった、山の光景は美しいのだけれど、楽園と呼ぶにはあまりに険しく、厳しい姿をしていたと思う。 あの山は優しくもなければ、癒しもしない。結局、二人があの山に戻っていけないことの暗示のようにも見えた。
最後に一つ不満なことは、イニスとジャックを男と女に明確に分ける必要があったのかと言う点。
いずれにせよ、気の滅入る映画でした。いい映画ですけど。
2006年04月11日(火) |
『ダ・ヴィンチ・コード 上』(小) |
【ダン・ブラウン 訳:越前敏弥 角川書店】
最近、文庫化したからーという理由ではなくて、貸してもらったから読みました。 なんだかんだと、結局ベストセラー本って読むことになるもんです。
ベストセラーになったものだから、昨年、ダ・ヴィンチにまつわる、いろいろな特集番組をやってて、それを見ちゃった身としては、絵の謎や、シオン修道会については結構聞きかじってしまっているので、あまり驚きがない。 最初に読んだ人、あまり有名になる前に読んだ人は、もっと次々あらわれる情報を楽しめたんじゃないかなーと思う。
とは言うものの、まだ上巻を読んだだけなので、総評にはならないのですが、今のところは、ふーんという段階。 なんだか展開が速いんだか遅いんだか。 とても読みやすく、テンポはよいのですが、テンポがよいわりに、話しが進まない。 もう少し、重厚感があったほうが、内容に合うような気がしますが、どんなオチがつくのかわからないのでこれもまた、判断は保留ですな。
主人公のラングドンがなんだかへたれの雰囲気で、いい感じだ。 映画化には向いているんじゃないかな。
2006年04月03日(月) |
『銀河英雄伝説外伝 千億の星、千億の光上下』(小) |
【田中芳樹 徳間デュアル文庫】
絶対に読んだことがないはずなのになぜか、読んでいる間ずっと猛烈に読んだことがあるような気がして悶々としてしまいました。 いや、でもやっぱり読んだことがあるような気がするんだよなぁ。 文庫以外のものに収録されたことありましたっけ、この話し。
シェーンコップがクローズアップされている外伝でございます。 でも主役といえるほどではないあたりが、シェーンコップ、日陰の男と言う感じであります。 十分に華のある人であるはずなのに、このポジションにいるシェーンコップ氏はなかなか興味尽きぬ人です。 だけど、10年経った今だから言える、“薔薇の騎士”って凄い名前だよね! 帝国センスをばりばりに感じるもの。 シェーンコップがつけた名前じゃないけれど、それにしても薔薇の騎士って! ヤンあたりはその名前の恥ずかしさだけで入団を拒否しそうだよ(そもそも入団できませんけど)
この話しの主役は、グリンメルスハウゼン・・・じゃなくって、十代ハルトさまとキルヒアイスなのかなぁと。 この二人が揃っているとなかなか半端じゃない華があって、他がかすむ。
十代ハルトさまが珍しくぼやいていて、可愛かったです。 あぁ、キルヒアイスがいるラインハルトは可愛いのになぁ。
グリンメルスハウゼン(76)にたじたじしてるハルトさまが物珍しく。 おじいちゃんとか、おばあちゃんとかいかにも苦手そうだよな。 キルヒアイスは老若男女分け隔てなく得意そうだけど。 その点、おじいちゃんキラーなヤンはグリンメルスハウゼン(しかし名前長いよ)と気が会いそうな気がいたします。
後半の第六次イゼルローン要塞攻撃の時に、ヤンがちょろっと活躍したりしなかったりな感じで登場していますが、“大佐”って似合わないなぁと改めて思います。 自分にもっと地位と権限があったらよかったのかなぁなんて、ちらっとでも思うヤンが珍しいような気もするし、ひょっとしたら戦場に出るたびにそんな思いに駆られてたのかもしれません。
未読の外伝が残すところひとつになってしまいました。 寂しいなぁ。
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