妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【森博嗣 講談社文庫】
Vシリーズ最終巻。 いまいちよく理解してませんけど。 森ミステリは課題を出された学生のような気分になる。
最終巻でシリーズ最初に戻る、というのは、S&Mシリーズと同じ手法。 ただ、今回は本当にまるまんま、『黒猫の三角』に戻ったような気がして、ちょっとうーん・・・という気分。 若干の謎を残して次のシリーズにバトンタッチ、というのも同じか。
最初に戻るといってもループしているわけではなく、始点と終点がちょっとずれていて、螺旋というほうがしっくりくるように思う。 今後読み続けて、メビウスだったらどうしようかと、本気で思うけれど。 そんな壮大な仕掛けは理解できないよ。本当に。
一冊一冊に仕掛けられているトリックというのは、それほど斬新でもないし、突拍子も無いという感じはしないのだけれど、シリーズ全体を覆うもやっとした謎が、森ミステリの特徴だと思う。 こういう言い方で伝わるのかわからないけれど、普通のミステリは平面に描かれているのだけれど、森博嗣の場合は三次元に描かれている感じがする。
それでまあ、本書ですが、よくわからない。 何がわからないのかもよくわかっていないのですが、全ての元凶はVシリーズが保呂草潤平が書いた物語だという点に尽きると思う。
それでこの話しはいつの時点で記述されたものなんだ?と。
ラストにみんなの元を去るけれど、その後の様子もちょっとばかり書かれているあたり、ラストの約束どおりにたまに紅子の前に現れたりしてるんだろうな、とは予想されるのだけれど。 まあ、しかし、最大にして最強のロマンティスト(解説より)ぶりはなかなか良かったよ、保呂草さん。
ところで、立松くんは・・・?
2006年02月16日(木) |
『朽ちる散る落ちる』(小) |
【森博嗣 講談社文庫】
今回の表紙可愛いな。色合いが。 風船ですね。 あと毎回思うけど、題の字体が可愛い。
帯に「驚天動地」と書いてありますが、まさにそれトリックの核心とも言える言葉でございました。 私は『三毛猫ホームズ』(一作目)かなと思ってたのですが、そうですか、なるほど。
ここにきて、Vシリーズ最初の短編、小鳥遊くんご老人とお友達になる編(素直にタイトルを忘れたと言え)が絡んでくるとはなぁ。 でも、今回の話、いまいち精彩に欠けると思うのです。 次が最終巻なので、その前の準備、助走、そんな印象。
毎度毎度思うのですが、森小説は合わない人は徹底的に嫌いだろうなぁと。 私は好きは好きなのですが、それでも時々会話でムカっというかイラっとするのです。 そしてそこで、イラっとするのはあなたが物を考えていないからですよ、と言われているようで、さらにムゥとなる。
さて最後の話しで今までの話がどうひっくり返るのか、どう繋がってくるのか楽しみです。
2006年02月11日(土) |
『死のサハラを脱出せよ 下』(小) |
【クライブ・カッスラー 訳:中山善之 新潮文庫】
映画とは大幅にスケールアップ(いや原作だからアップというのもおかしいのだが)している下巻。 手に汗握るというのはまさにこれだね!という具合な、ダークとアルの砂漠行。うーん、久しぶりにハラハラいたしました。 上下通して、緩急がない。ずーっと、急。息つく暇もなく次から次へと難題が襲い掛かってくるのです。 いやはや、いささか疲れるものがありました。 砂漠を脱出したら休む暇もなくまた金鉱に戻る二人、さらに救出隊と共に再び砂漠脱出の道を閉ざされ、本当にぎりぎりの所で助かったと思ったら、今度はそのままマサルドの元へ。 どこまでタフなんだ、あんたらは。 正直、こんなにタフな奴らを読むのは初めてです。 すげぇ、と思うと共に、読者の方が疲れる。 ちょっとは休んでくれよ。
それにしても、本当に素晴らしい壮大なプロットで、こういうのは日本じゃ読めないよなぁと感心感動。 ただ残念なのは、私がいまいちアメリカ史に疎いのでリンカーンのくだりは、ぴんとこないものが。 (あ、でも小説じゃいまいち思いつかないけれど、漫画なら皆川亮二が該当するかも)
こんな骨太なストーリーが一冊物ではなくて、シリーズのうちの一冊で、しかもすでに11作目にあたるという点、作者の非凡さを痛感いたします。
でも一つ言うなら、毎度のことですけど、ダークの女ったらしをどうにかしてくれ。どうにもならない点なのは重々承知しているのだけれど。
2006年02月08日(水) |
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(映) |
映画館で予告を観ている時間、自分が何の映画を観に来たのか忘れることがあります。 これから何が始まるんだっけ?と。そういうことありません?
【監督:マイク・ニューウェル アメリカ】
いやー、今週で終わりだと言うので慌てて観に行きましたよ。 まあ、いいんじゃないですかね。こんなもんで。 この辺りの発言から、私がいかにハリー・ポッター映画に対して期待していないかが伺えるかと。 それに、原作の不死鳥騎士団ですっかり、がっくりしてるので、ハリー・ポッターに昔ほど思い入れがなくなってるんでしょうねぇ・・・。
今回またまた監督が変わりまして、ぐっと落ち着いた雰囲気になりました。 ホグワーツなんて、賢者の石の頃の遊園地じみた所は全くなくなり、落ち着いたもんです。螺旋階段も好きですが。 私はもういい大人なので別に落ち着いてもいいんですが、お子様達はあのありえない通路、仕掛けの数々がなくて残念に思ったりしないのかなぁとちらりと思ったり。
このハリーシリーズの面白いところは、原作一緒、出てる役者も一緒、でも監督が毎回違うというところでしょう。 今回の監督は不死鳥も続けて撮ったらいいと思うのですが、次回は決まってるんでしょうか。 今調べたら、次はディビッド・イェーツ氏だそうです。 どのような解釈、表現になるのか楽しみにしとります。
今回、ヴァルデモード卿がついに復活の話なのですが、案の定、特殊メイクの人になりましたね。 私はそこはあえて、役者さんそのままであって欲しかったのですが。 演技が観たいわけですよ。 まあ、仕方ないですね…。
お馴染みの面子の活躍が少々少なくて淋しい印象も受けました。 スネイプ先生もなんだか地味ですし、ドラコもいまいちですし。 ムーディ先生はなんだか愛嬌があって良かったです。 しかしお子様がたは大きくなったよ、本当に。特に双子。あまり似てなくなってきましたね。髪形変えたら双子に見えないかも。
2006年02月02日(木) |
『THE有頂天ホテル』(映) |
【監督:三谷幸喜 日本】
今年ようやく一本目の映画を観にいけました。 やはり映画館で映画を観ると言うのはよいです。しみじみ。 年末から何本の映画を観損なっていることか。
良い意味で内容のない映画でございました。 年末年始に観るにはもってこいな内容。 ホテルを舞台にした群像劇。 三谷的小ネタの連続に笑が絶えません。 まあしかし、『笑の大学』ほど大ネタはなかったです。
あれほど大量の役者を使って、くどくならない、見事役者を使い切っている配役は三谷ならではです。 役所広司&佐藤浩市のラスト付近のしぶーいやり取りにほくほくします。 あとはね、額が後退しているオダギリやら、頭頂部が禿げてる唐沢寿明やらがたまらないです。
まあでも一つ惜しむらくは、どうやら入り組んだ構造らしい新館と旧館の構造があまり生かされていなかったかなぁというあたりですかね。
新年一本目、笑わせていただきました。
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