妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
【樹生かなめ 大洋図書SHYノベルス】
またも、ボーイズラブなのです。 今回は、弁護士とか刑事とか、は関係ないです。 この間読んだ、法律事務所に〜と同じ作者です。気に入ったのかと言われると、そうではないのですが。 話作りとか、文章に難がありまくりですから・・・。 まあ、ボーイズラブを読んで文章に感心したためしはないです。
今回の内容は、銀行のエリート社員25歳×左遷され離婚されその上不能な45歳、です。 私としては、受なら不能でも大して支障はないんじゃないか、と思ったりもしますけど。 それに、話の内容としても、あんまりその設定を生かしきれていないような気がいたします。 不能より、ぎっくり腰の方が辛いだろうし・・・。 ラストあたりで、治るのかなと思ったら、治らないし、ぎっくり腰まで背負うし、という枯れっぷりは、黄昏ててよいのではないでしょうか。 しかし、岩井は45歳だけど、30代に見える、スマートなおっさんです。 私としては見た目も中身同様に枯れていて欲しかった。 ワイシャツとかよれてて、女子職員に嫌がられるような、そんなオヤジで、受。駄目ですか。 そんな需要がないものを、商業誌に求める私が間違いですか。
それにしても、この二人は結局くっついたんだかくっついてないんだか、これからだろ!というところで終わっています。 小田原くんの介護生活はこれからも続くのでしょうか。 不能が治ってもぎっくり腰ではやることやれないのではないでしょうか。 ところで、小田原君の出番があまりに少ないように感じたのですが。
まあしかし、こんな覇気のないボーイズラブ(ボーイズというのもどうなのかという)は初めてでありました。こんなのもたまにはいいのではないですか。 私は美少年に興味ないんですよ。
2004年11月21日(日) |
『ヤサシイワタシ1・2』(漫) |
【ひぐちアサ 講談社アフタヌーンコミック】
『おおきく振りかぶって』のひぐちアサの描く、恋愛物。 恋愛物とは書いてあるけれど、内容はもっと深くて広いです。 可愛い感じの表紙とは裏腹に、なかなか衝撃的というか、ショックな内容でありました。
弥恵というのはたまらなく嫌な女、というよりも嫌な人間ですが、ここまでいかないけど、こういうタイプの人はいるな、と。 弥恵みたいなのと出会って、嫌い、で終われればそれでよいけれど、芹生くんや、弓為さんのような人は、ただただ辛いばかりのような気がします。
なかなかに重いので、一度読んだだけでは消化できませんね。 澄緒ちゃんは可愛かったです。
【監督:ジェームズ・ワン アメリカ】
ネタバレ注意ですよ。 この映画は事前情報は何も知らないで観るのが一番良いと思います。 面白かったですよ。
『セブン』meets『CUBE』と言われる本作は、まさにその通りでした。 ラストにあっと驚く、とか、意外な犯人とか言われると、だいたい予想がつくものでして、これも例外ではないのですが、それでも面白かったです。 周到に用意された伏線や、練られたシナリオというのは、上手くできればできるほど、筋と言うのが明確に見えるものでして、そういう意味では、かなり最初から見えていましたが、ラスト20分ほどはやっぱり、口が開いてました。 次から次へと畳み掛ける映像の上手さは、時折どぎついような気もしますが、観客を追い詰めるのに十分な力量。 堤幸彦っぽいけど、それよりも計算が行き届いている感じで、デヴィッド・フィンチャーよりももう一歩進んだ感じがいたします。
さて、そろそろネタバレしていきます。
見る前から、部屋の中に犯人がいるんだろうなとあたりはつけていました。 だって、意外な犯人って言われたらそう考えるでしょう。 観始めてからは、ゴードン医師が担当している患者のことを「ずっと最前列にいる」と言ったので、まるわかりでした。
だけど、ラストは、元刑事がどう動くのか、母と娘がどうなるか、そして中の二人が結局どうなるのか、その辺はもうめまぐるしく状況が変わるのでずっとはらはらです。 うーん、怖かった。 刑事には、令状を取れ!!ともの凄く思いましたけど。 彼はシンのことが好きだったの?(そういうことじゃないだろう)
ただ一つ気になるのは、医師とアダムがどうして選ばれたのかということ。 殊更命を粗末にしていたわけでもない二人がどうして? そして、ゼップの方も。 ゼップだけシチュエーションがずいぶん、甘すぎるんじゃないかと思うのですが・・・。
犯人の「生きることの大切さを教える」という目的が、他の作品と違って特異なわけですから、そこは厳密にしておいて欲しいところ。
2004年11月18日(木) |
『魔界都市ブルース 童夢の章』(小) |
【菊地秀行 祥伝社文庫】
カラー扉の人形少女が可愛い。でも本編にはいない。あれ。
「白髪頭の戦士」
せつおばあちゃんが、素敵な話でした。 こういうキャラは珍しかったように思います。 と思ったら、あとがきで『百鬼夜行抄』(今市子)の中の話に触発されたと書いていました。 おそらく「逢魔の祭」かなと思います。 この話好きですねー。 今市子、好きです。この間『懐かしい花の思い出』と『孤島の姫君』を読んだのですが、感想書くの忘れてました。面白かったです。 菊地と関係ない話になってしまいました。
「ベビー・フェイスの無頼漢」
せつらがパパになる話ですね。おかしかった。 予想通り、せつらを詰るメフィストが大変おかしかった。 そしてさらに、「いま、はじめて気がついたんだけど――おまえ、男だったのか」と言ってのけるせつらには、大笑いします。 酷い。あんまりだ。冗談にしろ本気にしろ。 ドクターも大ショックだったことでしょう。 せつらもドクターも赤子には弱かった、と知ってほっとします。 もう二人で育てちゃえよ。
今回は珍しく、毒気の少ない内容になっていたと思います。 相変わらず菊地の解説は、解説になっていないので、別に載せなくても良いんじゃないかと思うのですが。
2004年11月16日(火) |
『それでも、警官は微笑う』(小) |
【日明恩 講談社】
作者の名前、音読みだと思っていたら“たちもり めぐみ”さんだそうで。 難しいなぁ、日本の苗字。
最近は刑事物を中心に読んでいるというのは、前にも言いましたが、これが一番私好みだったかもしれません。 ちょっとキャラクターがみんな、いい人すぎるような気もしますけど、それもまた小説の楽しさと言えますか。
舞台は池袋署、強行犯係。 武本刑事は、31歳巡査部長。いかにも刑事と書いてデカと読め、といった感じの刑事さん。とても生真面目、だけど考えるのは苦手で無骨。忍耐力はあるので、発作的に何かすると言うことはない人。 現代日本では絶滅しかけている武士を感じさせる人です。武本の武はもののふの武。 潮崎くん曰く「清々しいまでにシンプル」。確かに。 かっこいいです。刑事を目指すなら武本刑事です。
その相棒は、潮崎くん。28歳、警部補。 キャリアじゃないけど、ちょっとした曰くありのため、警視庁の治外法権と呼ばれ持て余されて、我慢強い武本さんと組まされる。 ミステリマニアで、薀蓄王。 でも可愛いから何でも許す。
こんな二人が大規模な拳銃密売組織を追う話ですが、二人の刑事の成長物語という色合いの方が強いかもしれません。 武本さんも潮崎くんも非常に真面目で、心根が優しいがゆえに、いろいろなことで悩んだり罪悪感を感じたりしつつ、お互い励まして捜査していく姿にほろりとします。
そして刑事ではないけれど、元動物のお医者さんの麻薬取締官、宮田さんもまた二人と同じように捜査していきます。 冒頭の武本さんと宮田さんの出会い方には、びっくりしますけど。 私はまたボーイズラブ買ってしまったのかと、確か帯にはメフィスト賞と書いてあったはずなのに・・・とちょっとばかり戸惑いました。 宮田さんも可愛い人でした。メガネで白衣で動物のお医者さん。完璧です(何が)
最後もなかなか好きでした。 みんなが結局何かをちょっとずつ失って、その分もっと軽くなった。そういう前向きなラストはいいですね。 林は今後出るのでしょうかね。
ラスト付近で、流しの下から引きずり出される潮崎くんが可愛いです。 首根っこ持ったまま公園に引き摺っていく武本さんも、デリカシーがなさすぎて素敵です。
次の話で、潮崎くんが無事にキャリアになっているのを読むのが楽しみ。 一旦、刑事を辞めて、試験を受けなおすというのは、なかなか盲点でした。そういうのも有なんだなぁ。
ところで、潮崎くんはミステリマニアなので、時々色んな刑事を引用してくるのですが、全部分からないのが悔しい。 わかったもの、合田刑事、緑子、安積さん、鮫島。ドラマでは太陽にほえろと、あぶない刑事ネタがちょっと。 わからないのが、リンカーン・ライム・・・と思って今調べたら、『ボーンコレクター』でしたか。ああ、そういやそんな名前だった。映画は観たけれど、読んでいないと覚えていないものですね。 それと、岩崎白日夢。翔んでる警視シリーズの警視なのか。 百舌は、逢坂剛のシリーズらしい。 これで、潮崎くんの引用は全部だったはず。見逃しがあったら教えてくれると嬉しいです。 読んでいないものはこれから読んでみようかな、と思います。
【監督:星護 日本】
三谷幸喜脚本の舞台が映画化したもの。 舞台、見てみたいですよ。こっちまで来てくれないんですよねぇ。
一応、これから観る人は読まないほうがいいと思いますよ、と断ります。 笑って笑って、笑いながら泣ける映画でした。
まあ、とにかく役所広司は上手いです。 稲垣吾郎は、まあ、あの通りなのですが、椿役としてはハマっていると思います。吾郎ちゃんははまり役に当たると、面白い。
検閲する向坂の、細かいツッコミが、三谷らしい。 なんで、どうして、という目の付け所が、三谷幸喜そのもの。あの人自身がそもそも細かい。
検閲しながらどんどん、よくなる台本を最後には上演して終わるものだと思っていたら、椿に赤紙が届き、二人が別れるところで終わります。 最後の検閲シーンの、役所が本当に上手い。 笑いながら憤るってのを、あんなに自然にやるとは。 そしてラストの「お肉のために」で、笑いながらも泣いてしまいます。 にくらしいまでに、うまい作り。
走り出したら止まらない向坂のシーンが可笑しくて、映画館であんなに笑ったのは初めてです。 もう、なんなのあの人差し指。
本当に上手い出来の映画です。BGMも良し。
【中嶋博行 講談社文庫】
第40回江戸川乱歩賞受賞作、だそうです。 現役弁護士による、本邦初のリーガル・サスペンスだそうですが、そんなことはどうでもいいです。
検察のお仕事ってどんな感じなのか知りたくて読んだのですが、こんな感じなの・・・?
検察・警察・弁護士という組織間の対立、法曹界が内包する危うさ、そして検事って捜査をして、その上起訴もできると言う点で力があるんだね、ということがわかりました。 検事ってそんなに人不足なの?
内容はいかにも法曹界に身を置いている人の、観点だなというストーリー。 正直、法曹界のことがぴんとこない一般人には、なぜそこまでに危機感を覚えるのか、検察権力にこだわるのかは、上手く理解できません。 まあ、そういう世界なんだろうなぁというくらいの理解。
小説としての面白さを考えると、可もなく不可もない話だなと思います。 まずタイトルが面白そうじゃないのがいけない。そして、p22の“ボタンを押しつずけ”の誤字に面食らってしまいました。 いまどき見ないよな。こんな誤字。
主人公の女性検事は、文句の付けようもなく、普通に活発で強気なキャラでした。まあ、好きか嫌いかで言えば好きな方に入るけど、もう一ひねり欲しい。 そのもう一ひねりが、事務官の伊藤君との関係なのかもしれない。 いいんじゃないの。仲よさそうで。
どうせならやっぱり、ストレートに普通の殺人事件にしてもらった方が、最初の話としてはとっつきやすいな、というのが正直な感想です。
2004年11月08日(月) |
『法律事務所に恋が咲く』(小)『美女が野獣4』『輝夜姫25』(漫) |
【樹生かなめ 角川ルビー文庫】
一応注意として、この本はボーイズラブなので、感想も品がない方向に向きますが、怒らないでください。
まあ、弁護士だから? 読んだ理由ですけど。 それだけじゃなくて、裏の粗筋がおかしかったから。
〜略〜「僕は鹿に狂わされた・・・・・」って、なんで、鹿!?
私が聞きたいよ!! そんなわけで、なんか私が知らない鹿プレイとかあるのかと思ったよ。どんなだ。あんまり考えたくないな・・・。 ええ、当然そんなけったいなプレイがあるわけでも、鹿と・・・とかそういうこともなく。 と言いますかね、鹿と弁護士がどう繋がるんだ!?って思いますよね。
中身はですね、美貌の弁護士×奈良から上京した純朴青年、です。 粗筋には“天才弁護士”って書いてますけど、ボケた弁護士です。ちょっと、頭の方は大丈夫ですかってなもんです。 あんまり考えずに買ったから、うっかり弁護士攻だった。しまった。逆が好きなのに。
なかなか久しぶりに、馬鹿なボーイズラブ読んでしまいました。 いいんじゃないでしょうか。純朴青年のために、奈良っぽい藁葺屋根の一軒家を建てて、鹿を用意する、アホな攻。 よいのではないでしょうか。そんなことがあっても。 まあ、奈良県民が怒るかもしれませんけど。 奈良=鹿。しかたないのかも・・・はっ、駄洒落じゃないですよ!
しかしボーイズラブを読むと、いい具合に常識が破壊されて良いですね。 現実的なものより、小説としての常識といいますか。そんな話運び、ありますかい!というツッコミも虚しくなるのがこのジャンルです。 いい男が二人いる、やることやるに決まってんだろ!みたいな勢い。 素敵だと思います。
この作家さんは、わりとキワモノなところを進んでいる人のようですね。 では、この鹿はたいしたもんでもないんだな。カップリング的には普通だったものな。どうせなら、親父受を読めばよかったな・・・(誰も聞いてない)
++++++++++ 【マツモトトモ 白泉社花とゆめコミックス】
次で最終巻らしいです。 わにちんとエイミ、そしてシモーヌはどうなるんでしょう。
と、名前だけ並べると学園モノとは思えないな。
このまんまーがいいですね。
離婚=不幸じゃないっていうのは、本当にそうだと思いますよ。 片親の友人がけっこういますけど、別に楽しそうにしてますし。いや、外から見て分からないもろもろはあるでしょうけど、少なくとも不幸ではないと思う。
+++++++++++++ 【清水玲子 白泉社花とゆめコミックス】
これはいつ、どこまでいったら終わるんでしょう。 もうすぐ終わるんでしょうか。 月に行ったら終わる?
ミラーとサットンがうまくいくといい、と心密かに思っています。
2004年11月03日(水) |
『DEATHNOTE4』『ONEPIECE35』『ラブミーテンダー2』『幻月楼奇譚』(漫) |
【漫画:小畑健 原作:大場つぐみ 集英社ジャンプコミックス】
気がつけばもう4巻。進むの早いですねー。 この辺はぽつぽつと本誌で読んでいたのですが、ミサ登場あたりは知らないので、へぇという感じ。 ミサに恋してた死神(今回の背)がちょっと可愛い。 でも、リュークが一番可愛い。 ミサと月は案外、お似合いじゃないの?(適当な物言い)
Lの「はじめてのお友達」発言は、本気半分、計算半分という気がいたします。でも、月もお友達はいままでいなかっただろう。
この頃、すっかり打倒Lに燃えてしまって、月は本来の目的をどうするつもりなのか。 まあ、もともと暇つぶしだったわけだから、いいのかな。Lという格好の相手が見つかって。
++++++++++++++ 【尾田栄一郎 集英社ジャンプコミックス】
気がつけば、35冊。長いっすねぇ。 そりゃあ、本棚を圧迫するさ。 今回はちょっといつもと流れが違う感じ。 ウソップがんばれー メリー号はどうなるんでしょうか。そしてロビンちゃんがいなかった、この巻・・・ちょっと寂しい。
++++++++ 【木々 幻冬舎コミックス】
1巻が出てからはや2年。やっと出ましたか。 木々さんの漫画は結構好きなんだけど、なかなか出なくてなー。 しかし、トライアングルラブコメディって書いてあるんだけど、トライアングルどころじゃなくなってきてます。 沙英はやっぱり一樹が好きなのでしょうか。沙英の守備範囲が広すぎてようわかりません・・・。 次が、いつ出るかわかりませんが待っております。
+++++++++++ 【今市子 CHARAコミックス】
これは、今市子さんらしい、ちょっとミステリアスでホラーな内容プラス、軽くホモという、とても美味しい一冊でした。 面白かったです。 味噌屋の若旦那と幇間という取り合わせもなかなかいいですね。 男前で器用貧乏で素っ頓狂な若旦那、素敵でした。 芸なしだけど曲者の与三郎もよかったですよ。 でも、幻月楼の女将も好きです。
この一冊で終わりなんでしょうか。かなり惜しい気がいたします。 市子さんのこういう、ホラーでミステリーな話が好きですね。
|