妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2004年05月31日(月) 『フューチャー・イズ・ワイルド 驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界』(他)

【ドゥーガル・ディクソン ジョン・アダムス 訳:松井孝典 土屋晶子 ダイヤモンド社】

1億年後、2億年後、地球がどう変化して生物が進化するか生物学と進化論にのっとって、専門家たちが予測したもの。
とても面白く読みました。
1億年後、2億年後、生きていられるものならこんな生物を見てみたいものです。

しかし、何百万とか億年とかの単位で物事考えると全てに大らかな考えになりそうで、ちょっと危険。
500万年後には氷河期がきて、人類は滅亡しちゃうんだし・・・とか。
ただ、この本によると次ぎの大量絶滅の原因は人間が作る(現在進行形)そうですが。

さまざまな生物の姿がCGによって描かれ、克明に描写され、まるで1億年後の世界を見てるような気持ちになります。
生命の進化、弱肉強食の世界や、刻々と姿を変える地球は感動的。
インパクトのある一冊でした。

私は、象以上の大きさに進化した1億年後のカメが見てみたい。
2億年後に最高知性を持つのはイカだそうです。にわかには信じられませんが、そんなこともあるんでしょうねぇ。
イカを食べる時は2億年後のことも考えてみようと思います。


2004年05月29日(土) 『亜愛一郎の狼狽』(小)

【泡坂妻夫 創元推理文庫】

ミステリは面白いなぁ、と久しぶりに思った一冊。
奇妙な謎と軽快なテンポの短編集。
亜愛一郎という探偵の名前は知ってたのですが、いつもどこで切るんだろうと思ってました。
亜・愛一郎なんですね。

「DL2号機事件」
逆裁のDL6号事件ってここからきてたんだなぁ。名前だけですけど。
たまらなく面白いタネ明かしでした。
そんな馬鹿なと一瞬思うのですが、冒頭の羽田刑事の思考に違和感を覚えなかった読者は、そんな考え方しないよ、とは言えないのです。
うまいなぁ。

「右腕山上空」
密室というにはお粗末ですが、展開の仕方が面白いのでそんなことはあまり気になりません。

「曲った部屋」
ちょっと不気味なシチュエーション。私が虫嫌いなだけかもしれませんが。

「掌上の黄金仮面」
こんな警官大丈夫かいな・・・と。
聞いてしまえばどうってことない話です。

「G線上の鼬」
亜くんの性格がいまいちつかめないのですが、案外がめつい人のようで。
普通の推理小説なら、強引な推理だなと思うところを、亜くんだと、妙に納得。

「掘出された童話」
本格的にがめついな、と思った作品。
オチは結構好き。

「ホロボの神」
ちょっと悲しい感じが好きでした。
冒頭で、中神の「視界が開けるのを覚えた」というところ好きでした。
事件とは関係ないところですけど。

「黒い霧」
仕掛けが面白いです。
商店街でコントさながらの光景が繰り広げられるなんて、このシリーズじゃなきゃ、失笑もの。
最後も好きです。全編、オチが効いてていいですね。

全体的に強引な流れのようにも感じられますが、面白かったからそれでよし。
雰囲気が大事。私は。


2004年05月28日(金) 『バッテリー』(小)

【あさのあつこ 角川文庫】

これは本当に児童書なのか!?

というのが、本書のキャッチフレーズ(?)なんですが、冒頭あたりで私が思ったのは、

お前は本当に中学生(入学間近)なのか!?
でした。
ドライだな。巧。

いやしかし、そんなことは問題じゃない。
久しぶりに思いましたね。
すんごい面白い、と。本を読んで。
もう、ほんっとーに面白い。今年一番の当たりだと思います。まだ半年ですが。

私、中学生頃のお年頃って本当に嫌いです。
心底、中学生が嫌いなのですが、自分が中学生だった頃からなので、大人として嫌いなわけじゃないです。

主人公の巧は、クソガキなんですよ。
全然、子どもらしいところがない。
でもやたら可愛いのです。こう、苛めたい
最後泣いたときは、万歳でしたね。大人気ない?ええ、結構!

中学生は嫌いだし、少年には興味ないしな私ですが、今回は思いました。
クソガキ万歳!
と。
巧と豪の10年後が楽しみでなりません。
10年じゃなくても、中学校入学後も十分気になります。ああ、続きが、続きが読みたい。
夏に出るみたいです。

私はこんなサイトやってるのでインドアだと思われてるかもしれませんが、体育会系です。
部活はずっと体育会系でしたから。
器用貧乏で何かに秀でることはありませんでしたけれど。
巧のストイックなまでの野球への情熱。熱いです。
性格はドライですが。
天才的才能に恵まれたかったとは思いませんが、これくらいストイックに打ち込みたい。

そして豪。こっちはこっちで、気の配り方が子どもっぽくないです。
大人だ。私より大人だ。
巧はこれからもっと豪に心開いて行くんでしょうか。ぜひ、是非!!

あとは青波くん。巧の弟。名前の付け方に統一のない両親のようで。
青波くんも可愛いです。こっちも巧より大人。
誰よりも大人。苦労してるからでしょうか。
これから身体が丈夫になって、野球少年になれるとよいですねぇ。

久しぶりに惰性じゃない読書しました。楽しかったです。

解説は三浦しをん。
きっと彼女は、むふふ・・・と思いつつ読んだのではないか。そう思います。
もちろんいつもの妄想は解説にはありません。さすがに。残念


2004年05月24日(月) 『指輪物語6 二つの塔上2』(小)

【J・R・R・トールキン 訳:瀬田貞二・田中明子】

やたら長い時間かけて読んだせいで、前半よく覚えておりません。
映画とごっちゃになってて、どのシーンのことを書こうと思ったのやら。
この巻、サムとフロドの登場なし。

後半は、映画「王の帰還」の内容に入ってました。
メリーとピピン大好きですよ。
ホビットいいですよねー。
ホビットとガンダルフのやり取りがいつも好きです。

映画ではなかった、ガンダルフとサルマンのシーン。
映画でも見たかったな。重要なシーンだと思うんですけど。

次ぎの巻はサムとフロドの話になるんでしょうか。


2004年05月16日(日) 『恋人たちの森』(小)

【森茉莉 新潮文庫】

どうしても文章が読み辛いのですが・・・
文章うまいのか・・・・・・・?
なかなか勇気の要る一言を書いちゃいましたが、まあそんなところにこの人の小説の魅力はないんでしょうなぁ。
私は苦手でしたけど。

「ポッチチェリの扉」
唯一女の人が主人公でした。
んー・・・これといって感想はなく。

「恋人たちの森」
「枯葉の寝床」
「日曜日には僕は行かない」
三本とも同じ話という気がしないでもないですが。
唯一好きなのは日曜日に〜ですね。死なないから。
耽美の暗さって駄目なんですよねぇ。
世界はお前たち中心に回ってるんじゃないぞ、と。
枯葉の寝床はね、ずっとギラン視点だったら良かったのに。
どろどろとね。
森茉莉の雰囲気に合わないですが。

ひたすら読み辛いという記憶が残ってます。


2004年05月11日(火) ※おしらせ※

いつもご愛読ありがとうございます。
さて、突然ですが閉鎖・・・ということではなく、
パソコン壊れたので、しばらく更新ができません。
今月中にはニューマシン購入したいところ。
こんな時に限って妙に立て込んでたり、お金なかったりはいつもなんですが。

メッセージへのレスが遅くなります。大変もうしわけありません。
もらう機会がほとんどないので、頂いたらすぐにレスしたいのですが、少々お待ちください。

パソコン来たら、まとめて更新します。
予定
・ダレン・シャン10
・クロイヌ家具店
・指輪物語
・恋人たちの森
・・・etc

それではしばしお暇を。
            管理人・蒼子


2004年05月09日(日) 『ダレン・シャン10 精霊の湖』(小)

【Darren・Shan 訳:橋本恵 小学館】

ネタバレするので未読の方は気をつけて。
今回はアクションRPGみたいな内容でした。
ゲームにしたら面白そうですよ。

いきなり冒頭で「その日はだれかが死ぬ予感がした」とあるので、びっくりしましたよ。また死ぬのか、と。
で、読んでも誰のことだかわからなかったんですが、パンサーですか?誰かって。

今回、Darrenはまた大きな風呂敷広げました。もう畳めそうもないです。
無理無理。
誰もそんな大規模なことは求めてないんだってば。
そもそも、バンパイアマウンテンから話がおかしくなってきたんだよなぁ。

さて、引っ張りに引っ張った、ハーキャットの正体ですが、だからなんだ!という感じでした・・・
今更、カーダだったと言われても、その件はもう読者としてはけりもついて、終わったこととして処理されていますよ。
しかも、二つになった魂は一つに戻れないとか言い出すし。
いや、戻ろうよ。
元に戻らないまでも、少しは変化しようよ。主に外見
どうしてもどうしても、説明されればされるほどにハーキャットの見た目が想像できないんです!!
もっと正直に言えば、一人くらいグッドルッキングなキャラ欲しいんです!!
一瞬の期待でしたね・・・カーダ復活。
見た目なら私のほうが・・というカーダの意見に一票。
そもそも私、カーダ好きですし。
カーダ可哀相ですよ。生き返されてまた殺される。
その扱いはあんまりだ。

タイニーの時間移動能力に不審でいっぱい。
最後とか辻褄が合わなくなって来たら、全部それで済まされそうで。

で、で。
なんですか、未来の世界って
例え未来が核戦争で破壊されてようと、別にバンパイアの戦いに関係ないじゃないですか。
それともなにか。スティーブ、核兵器まで持ち出すんですか。この先。
まあ、奴は持ってきそうですが。
SF要素まで入れなくていいんだってば!!
Darren氏、いろんなことやりたくてしょうがないんですね・・・・。
その風呂敷はちゃんと畳めるんでしょうね?
突然変異で、ドラゴンが生まれちゃうんですかね。
ドラゴンは殺せないという、ダレンの倫理観がいまいち理解できません。
生きるためならなんでも殺すじゃん。パンサーはいいんかい。

なんだか外伝に引き続き、外伝みたいでした。
ところで、女性二人だけで行けるほどにバンパイアマウンテンは甘いところでしたか?
あの二人は到着できるんでしょうか。


2004年05月08日(土) 『クロイヌ家具店』(小)

【大海赫 ブッキング】

今までの二冊は本屋に一冊しか入荷していなかったのに、今回はついに平積みに。
帯も「童話作家の鬼才!」となり、復刊後は順調に売れているのでしょうか。
今月はついに新刊も出ますし。

大海氏にしては珍しくよかったね、という終わり。
そうは言っても、謎は謎のままだし、イスになった子どもたちもそのまま。
手放しに良かったと言っていいのか首をひねります。

挿絵の版画は書き下ろしたんでしょうか。
少しインパクトが薄い気がします。
いつもに比べて、ですけど。
新刊楽しみにしてます。


2004年05月06日(木) 『CASSHERN』(映)

【監督:紀里谷和明 日本】

この作品をうまく書いたレビューがあったので、抜粋。
(http://movies.yahoo.co.jp/roadshow/review/review_detail.php?id=20040429000ec)

 まず驚かされるのが視覚効果である。ほとんど全カットに過剰なまでのCG修正が施され、画面はつねにキラキラと光り輝いている。すべて見た目重視で選ばれた俳優陣もCGで修正を受け、ほとんど俳優というよりも素材の趣がある(黒髪に青い目の麻生久美子まで見られる!)。俳優と背景は融けあって見事な一枚絵となる。演技などないし、そもそも俳優は動きもしない。ひたすらキラキラ輝く画面の中で朗々とセリフを読みあげるだけなのである。何よりも驚くべきは、この絢爛豪華なCG装飾が何ひとつ説話上の機能を果たしていないということだ。つまり画面は豪奢に輝いているが、その目の御馳走(あるいは映像の暴力)にはなんの意味もないのである。

 このアクションなきSFアクションで語られるのは壮大なエディプス神話である。登場人物はみな父を倒して母と結婚したがっている。東博士が生み出した新造人間ブライ(唐沢寿明)は博士の妻である博愛の人ミドリを誘拐して世界の果てに逃げ、東鉄也ことキャシャーンは母を取り戻すためにブライと戦う。世界のためでもキャシャーンがやらなければならないからでもなく。それを見守るのはいつものように聖母キャラを演じる麻生久美子。少々幼稚とも思える女性観こそ、この映画の最大の驚きかもしれない


内容は上記の通りでした。まさにこれ。褒めてるようで褒めてない、ナイスレビュー。
ヒロインはミドリ。けしてルナではない。可哀想なルナ・・・もっと労われよ、鉄也。
ツッコミどころ満載というか、つっこむとこしかない、ある意味揚げ足取りな連中にとっては最高の映画。いや、私は違いますよ。

笑いをこらえるのに必死の二時間半でした。しかし目が疲れた。

「まずは許しあうことだ」と言ってたから、難癖つけるのはやめます。
と言うより、ヒカルちゃんに免じて許す。

世界はどう見ても、ファイナルファンタジー7でした。あそこミッドガルでしょ。
クラウド達も雪山越えたよなぁ・・・
あのロボも倒した覚えあるもの。新羅ビルで。
やたらでかい月は、きっとメテオだったんでしょう。
大画面でFF世界が観たい人はオススメかもしれません。

唐沢さんを観にいったんですが、気づけばミッチーの虜でした。
あのオールCG世界の中で、なぜ浮かないのか、ミッチー!!
誰も彼もが浮いている中、一人馴染み過ぎのミッチー。
みんなバシバシメイクして、効果もキラキラさせていてなお浮いているのに、たいしたメイクもせずに馴染む及川光博。あなたからもう目が離せない。
最後はもう一押ししてあげたかった。むしろミッチーがキャシャーンになれよ。それでいいよ。
今最も華族っぽい役が似合う人。彼には榎さんをやって欲しい。

で、本命唐沢。役名がわからないので、唐沢。
「キャシャーンがやらねば誰がやる」ってCMで言ってるから、彼がキャシャーンだと誰もが思った唐沢。
キャシャーンがやらねば俺がやる、そんな感じの唐沢さん。
どうしてもダンテ(デビルメイクライ)のコスプレに見えてなりませんでした。
誰か唐沢に二挺拳銃わたしてあげて!きっとスタイリッシュに決めてくれるから。
唐沢さんの戦うシーンの少なさが悲しかった。
でもそれを補って余りある、驚きの数々。唐沢が出てくるところはすべて唐突。
人の母親、ミドリミドリ気安く呼びすぎ。鉄也も怒れよ。
そして鶴田真由があんな役でいいのか?あんな役で・・・と言えば、TAKUROとHISASHIですけど。いい仕事してたよ、二人とも。私はちゃんと観たよ。

宮迫が出てるところは嫌な感じにハラハラします。
いつ「ギューンっ」とか言い出すのかと。いつ轟になるのか、と。
芸人は映画に出すな、と言いたい。
この人だけ何見てたんですか?あの変な人形は何??

主人公は壮絶に薄かった。印象ナシ。
もっと自己主張しろって。そしてルナ大事にしろって。
そして役に立て!!時計くらい止めろ。
キャシャーンてこんなに弱いの?って思ってしまいましたよ。
アニメ全然知らないのですが。見てみたい。

多分こちらが主人公・寺尾聡。
最後のためらいのない撃ちっぷり。意表をつきました。
「誰か一人が幸せになって終わりでいいのか」と鉄也が言いましたけど、全然いいよ。親父とミドリ、幸せになれ。
そういうことを観客に問いかけるな、と思いますが。

あとは要潤。特撮出身なだけにわりと違和感少なかった人。
それはファーなのか毛皮なのか。
そして
「俺の名前は○※△×◇!!!」
お前の名前はなんだったんだーっ!!!
気合入れて叫びすぎてなんだかわからない。せっかく唯一名乗った新造人間なのに。
調べたら「バラシン」だって。
地味だけどがんばったね・・・要。

愉快な映画でした。笑いながら観たかった。
これに懲りずまたがんばれ。キリヤ監督。


2004年05月01日(土) 『炎の蜃気楼40 千億の夜をこえて』(小)

【桑原水菜 集英社コバルト文庫】

今、最高に腑抜けてるので取りとめもないことを言うと思います。
正直あんまり読んで欲しくないくらいです。
まあ、本当に読んでほしくないことは当然書かないですけれど。
本当の本当のところは胸にしまっておきます。

最終巻、でしたね。
もうずっとずっと覚悟はしてたんですけれど、予想以上でした。自分が。
結末はもうこれしかないと思っているのですが、これしかないというか、このラストはかなり前から見えていてできれば回避してほしかったけれど。
この10年間幸せになれということだけ思ってきたのですが、どうだったのでしょう。
幸せそうでしたね。だけど涙止まらないんですよ。

いろいろと思うんですが言葉になりません。多くの言葉で人に語りたいとも思いません。
人から見たらおかしな奴ですが、とても大事なものだったんです。
私にとって小説じゃなくてリアルだったんです。
もうそういうものには今後出会わないでしょう。

先月、高耶さんの年を一つ上回りました。
もうあとは離れるだけです。

私はしばらく泣き暮らすと思うのですが、14年お疲れ様でした。そしてありがとうございました。



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