妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2003年06月30日(月) 『夢の中の魚』(小)

【五條瑛 集英社】

五條は文庫化まで待つ、ということにしていたのですが、待てませんでした。
今、私の中で五條が熱いです。
なんで、最初に読んでから時差があるのか。多分、『プラチナビーズ』(02/5/25の日記参照)を読んだ頃、嵌っている余裕がなかったんですね。

五條の初短編集。でも連作と言う感じ。
鉱物シリーズの洪が主役。鉱物シリーズではただの変態のように見えた彼が、なんともまあかっこいい。
たとえコードネームが「東京姫」でもオッケーオッケー。
目的の為なら手段を選ばない、の手段が暴力とかそういう方向じゃなくっても、洪だからなあ。普通に納得してます。

表のテーマは「洪がパクを口説き落とすまで」で、裏が「葉山は実は優秀なんです」という感じでしょう。
・・・いや、冗談ですよ。
鉱物シリーズもこれも、祖国と自分、自分が何によって立っているのか、そんなことを考えますね。

真面目な感想は本意じゃないし、求められていないような気がするのでさらりと流し。

ゲストみたいにところどころに登場している葉山。
なんだか鉱物シリーズの時よりも存在感を感じますよ。
しかし、この本から読み始めた人は、葉山って奴はなんでいっつも、不機嫌なんだ?と思いそうです。
電話がかかってきたら不機嫌、自分で電話しておいて、不機嫌。さらにディナーに呼び出されてやっぱり不機嫌。
だからおちょくられるんだよ、というのは誰も教えてくれないんでしょうね。
面白いくらいに、葉山は無愛想で不機嫌を貫いていました。でも、よく考えると鉱物シリーズの時もずっと不機嫌とか拗ねているとか怒っているとかそんなのばっかりだったような。
楽しそうにしているのは、『スリーアゲーツ』の「The Game」の時の一時くらいしか思い出せない。
たまには上機嫌の葉山というのも見てみたいです。

噂の赤いダッフルコート、着てました。可愛いなーもう。誰の見立てなの?
不機嫌さから考えて、“溺愛癖”のある上司の趣味かしら。
クリスマス生れの部下にプレゼント(嫌がらせ込み)したのかどうなのか。
嫌そうな顔して真面目に着て歩く葉山もどうなのか、と思いますが。
ところで、マフラーの色はやはり白なのかな。どこまでカワイコちゃんなんだ、お前は。

洪視点の葉山は、はなはだ頼りなく存在感の薄い外見ながら、信頼できる情報源という感じでした。

うっかり、葉山を語りすぎました。
好きなんです。
ちゃっかり、エディの影が見え隠れしていておかしいです。
「―――二人とも地獄に落ちろ」
エディがいないところでは、極めて口の悪い葉山がやっぱり好きです。たまには思い切って本人に言ってみたら?

ストーリーの方はですね、なんとも驚いたことにミステリーです。
もちろん、殺人事件じゃないです。
私的にミステリーは謎があって推理があって謎解きがあるものです。
殺人が起こって探偵が出てきて犯人が捕まる、というのがミステリーだとは思ってません。
怪獣映画、海岸の漂流物、出版社に届いた手紙・・・全て素敵に魅力的な謎でその謎解きは、さらに次の話にも繋がって―と、五條は短編で真価を発揮するのかもしれないと思いましたよ。
「ナミエ」がなんとも鮮やかな印象。
下心ありありなのはわかってるんですが、洪がかっこいいですしね。

洪とパクのコンビは初ですが、凄く面白かった。
鉱物シリーズでは見られない、素の洪が垣間見えて、うっかり洪のファンになりそうです。
これ、シリーズ化しそうな雰囲気があるんですがどうでしょう。
比佐志のこの後も気になりますしね。

それ以上に、鉱物シリーズの続きが…。待ちますけれど。待つしか出来ないともいえますけれど。


2003年06月28日(土) 『紅迷宮』(小)

【結城信孝編 祥伝社】

女性作家ミステリーアンソロジー。
五條瑛がいなければ、絶対に手を出しそうもない顔ぶれのアンソロ。
なんでここに五條がいるのか、不思議なくらいに浮いている。
女性作家はあまり読まない。いや、そうでもないか。
女性作家は苦手な文章を書く人に当たる率が高い。

唯川恵「いやな女」
柴田よしき「どろぼう猫」

同じネタが二つ。
どちらもたいした意外性もなく。それくらいの嫌な女はそこらにいるし。
「どろぼう猫」の方がその後が気になる分、面白いかな。

五條瑛「地底に咲く花」

思えば五條の短編を読むのは初めて。
短編でも五條は五條だなーという感じで、中身も重みがあってよい。
本当にキャラ作りがうまいね。
五條の女の人って素敵だ。
地底に咲く青い花のイメージも美しく、切ない余韻。

光原百合「橋を渡るとき」

一番ミステリーというか、推理小説の体裁を守っているし、ネタもいいと思うけれど、文章が苦手なタイプ。
なにが、とか、どこが、というわけでもないんだけれど、なんとなく。
唯一、重くないネタでよいとは思います。
亜愛一郎って誰の探偵だっけ。

桐生典子「まなざしの行方」

車椅子の女性の、足の描写に谷崎潤一郎の足フェチを思い出しました。
あそこまで、執拗で艶のある描写じゃないですけれど(比べるのも悪いですが)
なんていうか、ふーん・・・という感じで。
どうせならもっと、執拗な視点で書いてもらった方が濃くてよかったのに。

篠田節子「失われた二本の指へ」

なんつーか、これこそ、ふーん・・・・・・以外に言いようもなく。
意外なオチもなく。
一応、ミステリーアンソロジーなんだからさ。
これは、編者の責任か。書下ろしじゃないもんな。

森真沙子「笑うウサギ」

途中まで面白く、ウサギの謎も魅力的だな、と思ったんですけれど、やっぱりありきたりなオチに落ちつく。
誤解させておく必要ってなんだったんだろう?

小沢真理子「天鵞絨屋」

「ビロード」って漢字変換してくれないのね・・・。
時代が錯綜していて読み終わっても一瞬、なんだったのかよくわからなかった。
わかったらわかったで、やっぱりだからなんなのか・・・という気も。
事の因果関係がいまいち。

永井するみ「落花」

まあー、おもしろいけどね・・・。
ミステリーって言われると、どうしてもどんでん返しを期待しちゃうんだよ。
だからね、私は男と女のミステリーみたいなのは苦手なんだってば。

小池真理子「ロマンス」

なんか、女性作家ってペンネーム似てませんか。
字面とか音とか。わかりにくい。
なかなか面白かったと思います。
そのあと主人公はお付き合いを続けるんでしょうかね。三国さんと。

解説は、各作家の紹介みたいなもの。
もう少しつっこんだこと書いてくれればいいのに。
この人、五條の作品読んだことあるのかなーとちょっと疑惑。

五條以外は初めて読む作家ばかりだったけれど、これで長編も読んでみようとまで思う作家はいなかったな。
森真沙子のホラーは少し読んでもいい、かな。


2003年06月23日(月) 『氷の魔物の物語24』(漫)

【杉浦志保 冬水社】

最終巻。
表紙のお二人の顔色が悪いのが気になりますが、人じゃないからいいのでしょうか。
幸せに終わって良いんじゃないでしょうかね。
思い起こせば最初に読んだ頃は、活字が同人誌みたいで驚いたり、いまいち面白味がわからなくて後悔したりしましたけれど、終わってみれば面白かったんじゃないかと。

本編後ろの予告。
外伝が出るようで。
じいちゃん!?
右下の見覚えのない人、ラウグル大僧正(そんな名前だったか。じいちゃんで覚えていたよ)って書いてありますよ。
若いです!ワイルドです!!髪の毛があります!!!!
他の人々にはあまり興味が湧きませんが、じいちゃんの話にはかなり興味を惹かれますね。

でも、今のじいちゃんが好きですが。


2003年06月22日(日) 『【新しい】新しい単位 カラー版』(他)『ゴッドチャイルド6』『フルーツバスケット12』(漫)

【世界単位認定協会 扶桑社】

まさか、あの『新しい単位』の続編が出るとは思いませんでした。
しかし、出たらいいのにと思っていたのは私くらいではないでしょうか。
その上二冊きっちり揃えているのは私以外にどれほどいるのか。

今回、ネタがつきたのか前回よりも認定された単位が激減しています。
その代わり事例が増えて、少しせこさを感じます。5カラシくらいでしょうか(前作参照)。
その上、再び中途半端なサイズ。それでも前作と同じサイズならばまだよかったのですが、高さは同じで横幅が広くなるという収まりの悪さ。
本棚に収めるときのことを少しは考慮してほしいものです。

玉に傷の単位「ニッポリ」。日暮里をニッポリと読むことを初めて知りました。今まで適当に読んでました。
なので、単位の妥当性の実感はあまりわきません。

事例のスーツの男の名前が「井上道夫」だと初めて知ったような。前回にちゃんと書いてあっただろうか。
挿絵の面白さと妙に淡々とした説明が今回も面白いです。
ちなみにどんな挿絵かと言うと、


「歌うだけでギャルが失神するモテっぷり 65000Whr」

なぜ、自転車なのか。
不可解です。

しかし、私はどうしても身近にこれを流行らせたくてなりません。
しかし自分で使うかと問われれば嫌だと答えます。

+++++++++
【由貴香織里 白泉社花とゆめコミックス】

気の長い伏線が生きる時がきたようです。
まさかリフが・・・・!
と驚くようなあまり驚かないような。
意外かどうかはさておき、非常に美味しい展開で私は嬉しくてなりません。
主従に亀裂が入る瞬間、そしてそれを乗り越えて行く過程がたまらなく好きです。

ブラック・リフにときめきを覚えつつ、今後の展開も気になる限り。

ところで読切りとか、ルードヴィッヒシリーズとかそのうちまとめてくれますよね?

+++++++++
【高屋奈月 白泉社花とゆめコミックス】

大きな進展はないみたいですが、ハル君はかっこいいね。
でもキョンちゃんが好きなんだ。

師匠にひと目惚れしちゃった花ちゃんが気になります。


2003年06月21日(土) 『マークスの山 下』(小)

【高村薫 講談社文庫】

加納はママなのか。
何かと家を空けがちの合田の家を時折訪ねて、新聞を回収してたり部屋を片付けていたり、合田が帰ってきたらお風呂の準備もしてくれるし、靴も磨いてくれる。
合田のお母さんですか・・・・。加納さんも、検事の仕事忙しいだろうに。
いっそ、一緒に住んではいかがですか。
でも一緒に住んだら、お互いに話すことが無いし忙しくて顔も合わせないから気まずいのかもしれない。

合田と加納が気になりつつ、内容。

上巻からこの二人に劣らず注目していた、吾妻。ペコさんとかポルフィーリイとか呼ばれてる彼。
吾妻と林原の緊張感漂う舌戦は見せ場の一つだったと思います。

ところで、合田さんにはあだ名はないの?

ラスト、水沢を追って北岳を登るシーンでの迫力、緊迫感は最近読んだ本では味わえなかった緊張感を与えてくれました。
この小説自体が、どんどん読ませていく力があったと思います。緩みがないね。

やっぱり、思わず出てくる合田さんの関西弁での本音が素敵なんです。
高村小説の関西弁ってなんだかかっこいい。

『レディ・ジョカー』が早く文庫化しないかなーと一日千秋の思いです。
ハードカバーで読んでもいいんですけど、文庫化の時に加筆改定とか行われると悔しいじゃないですか。
両方読んでこそファン、なのかもしれませんが。


2003年06月18日(水) 『マークスの山 上』(小)

【高村薫 講談社文庫】

久しぶりの高村薫。
やっぱり面白いですわー。
今こうしている間も下巻が気になるので、簡潔にいきます。

合田刑事、ゴウダと読むのかアイダと読むのかいまだにわかりません。
検索したら、ゴウダと読むみたいですが、心情的にアイダと読みたい。
ゴウダとくると、タケシ、といきたくなるので。字が違いますけれど。

ちょっと前まで、『マークスの山』と『ホワイトアウト』を混同していました。
ついでに、高村薫と北村薫がとっさの場合わからなくなってしまいます。

合田さんには登場の時からなぜだかやられてしまいました。硬質な感じが素敵です。かっこよいです。
時折でてくる大阪言葉もまた素敵です。
元義兄のお墨付き。

あのですね、事件の行方とか真相も気にはなるんですが、加納と合田が気になって仕方がありません。
どうなんだ、お前達(何がだ)
元妻よりも元義兄の方を思い浮かべる回数が多いのはどうなのか。合田さん。
合田家の合鍵を持っていて、アイロンをかけるついでに部屋を片付け、残り香を残して行く加納さんも如何なものか。

この二人を見ているとむずむずもやもやしてきます(悪い病気が始まったみたいです)

アクの強い七課の刑事さんたちもなかなか興味深く。
急ぎ下巻を読みたいと思います(もう読み始めてますが)


2003年06月16日(月) 『破妖の剣6 鬱金の暁闇2』『ダレン・シャン8 −真夜中の同志−』(小)

【前田珠子 集英社コバルト文庫】

三分の一ほど読んで、しばらく放置されていました。
その間、1800年ほど昔の中華大陸の方へ・・・。

それはともかく。
毎回といいますか、最初から思っていたのですがどうしても厦門潤のイラストで、どれほど美貌と言われましても、普通じゃん・・・としか思えないのです。
まあ、最初に比べればきれいになりましたが。
闇主なんて、普通過ぎる・・・。
あとね、これまた最初から思っていたんですが、前田珠子の文章が読み易すぎて読み辛い、んですよ。
コバルト文庫ですからね。まあ、それは文句じゃないんですが。
(でも中学の時から読んでますけど、その時も思ってたな)

そこで思うんですが、コバルト作家は2〜3年くらいでシリーズを終えるように執筆計画を立てたほうがよいのではと。
中学生になり高校生になり大学、社会人になってもいまだ終わらないというのは、いかがなものか。
いい加減、コバルト文庫を買うのも抵抗があるというか。

本編。
双子(じゃないけど)トリックはミステリーではよくあるけれど、こういうところでやられると、驚くものですね。
それより、闇主の登場場面が最近、サブリミナルみたいですよ。出番が少ないというか、ぽっとでてぽっといなくなる。
独占欲が強いのにラスのピンチにはあまり助けに出てこないという、不思議な性格です。
ラスもあまり出番がないような。
ラスと闇主のやりとりがもっと見たいのになー(他のシーンに興味がないとも言える)

ようするに、キャラが多いんですよ。なんとかなりませんかね。今更言っても無理ですが。

++++++++
【作:DarrenShan 訳:橋本恵 小学館】


ダレン絶体絶命!!
いつもだしな。

この前、「ダレン・シャン、すっごいつまらないよね」と言われ、ちょっとばかり沈んだのですが、面白いです。ダレン・シャン。
人の意見がどうしたっていうんだ。

7巻で、「嵐の前の静けさかも」と言ったのですが本当にそうだったみたいです。
いや、びっくりびっくり。
ネタバレいきますよー。

ダレン、いきなり学校に通う羽目になって、まずびっくり。
ここで、誰かに再会するんだろうなと思ってたら、先生になったデビーと再会。
ま、ここは予想の範囲内でしたが。
見た目は子どもだけど中身は大人、なダレンの恋の悩みなんてものがあったりね。複雑だな!ダレン!!
読むほうはもっと困っているよ。見た目がうまく想像できなくて。
デビーはすてきな女性になっていました。

そして、ついに出ましたね。
スティーブ!
ダレンを助けるスティーブ。なんだよ、男前になって再登場かよ。でも、どうせ裏があるんだろ?
疑いつつも、このまま男前スティーブとしてクレプと喧嘩などしつつ、ダレン一行に加わってくれたら面白いのになーと淡い期待を抱いていたんですけどねぇ。

私、スティーブがヴァンパニーズ大王だと思っていたのですけれど。そうは問屋が卸さないみたいです。

いつも予想しない展開を用意してくれるDarren氏ですが、スティーブは予想にたがわずやはり裏切り者でありました。
この後、スティーブがどうなるか非常に気になりますね。

そして更に懐かしい顔。
R・V。
誰だそれは、と思ったら、2巻の間違った動物愛護家。
再登場してもやはりうっとうしい奴です。

続きが気になりますよー。
次は山場らしいので、誰かが死なないといいんですけれど。
(今回もさりげなく死人が。パリス元帥・・・熊と格闘ですか。そうですか・・・)


2003年06月14日(土) 『月は幽咽のデバイス』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

月と竹のイメージなんでしょうか。この表紙。
素敵ですね。

美しい竹林と言うのは一種の憧れです。地元にないから。

さて。
大掛かりな密室でありました。
あ、ネタバレします。いいですか?
解説者が殺人であると言う固定観念、先入観からラストに衝撃を受けた、と言ってはいますが、殺人じゃないというはなんとなく雰囲気でわかるかと。
雰囲気と言う曖昧なものじゃなく、まあ、伏線が無かったという言い方でもいいですが。
密室ネタは犯人がいるのかいないのか、という二択についてまず考えるものだと思います。

そうは言ってもね、部屋ごと動くとは思いませんでしたが。
警察の力でもいずれは解けたであろう事件だったな、という気がしますよ。

相変わらず、紅子と七夏の仲が険悪で怖いですー。
林さんも凄いですよね。この二人と付き合っている(いた?)んだから。やっぱりどこかが鈍いのかもしれません。

新しく阿漕荘に加わった森川くん。なんだか好きです。活躍しそうな気配は今のところ見られませんが。

紅子さんと保呂草さんの微妙な仲も楽しいです。
「貴方はね、私の飲んだお酒のお代を支払う。そのために地球にいるの。それを忘れないでほしい」
紅子サンだからこそ言えるってものですね。羨ましい。

結局プレジョンの意味はなんだったんですか・・・・。

どんどん保呂草さんは曲者になっていきますね。素敵ですが。
そしてその曲者の記述形式というのがまた、このシリーを曲者にしていると思います。
最後一行、
「もう少し、生きてみようと思う」
意味深長ですが、意外と意味は無いのかもしれないし、何かの伏線なのかもしれないし。
森作品はどこまでが伏線か分らないところが難解です。

ミステリーのシリーズ物で、完結するというのは本当はとても珍しい。
森ミステリはシリーズとしての一つの流れと謎をもっているから完結させることもできるんでしょうね。


2003年06月13日(金) 『三国志と日本人』(他)

【雑喉潤 講談社現代新書】

面白かったのですが、読み終わってさてさて、と改めてタイトルを見ると、なんだか内容と合ってないなーと思われます。
日本の書物に見る三国志、とか、日本における三国志表現、とかまあ、そんな感じです。
三国志ブームにのっとって、日本人論が語られていそうなタイトルですがそういうのはない。

古くは『日本書紀』が正史三国志の書き方にならっている、という。
だからといって、日本書紀を読もうとは思わないですが。いや、思っても読めるとは思えません。
水滸伝を下敷きにしている八犬伝にも、三国志は絡んでいるそうで。
こっちは読んでみたい。
余談ですけど、映画の八犬伝が好きでした。誰が出ていたとかさっぱり覚えていないんですが。

読み終わってみれば、日本人がいかに三国志好きで、古くからあちらこちらに三国志が登場しているといことの説明だったみたいです。
表紙に書かれている「曹操が、なぜ日本では人気なのか」の問には、折り返し部分で書かれている以上の考察も無く。まあ、そんなところが妥当なんでしょうけれど。
本国で、正当論という見地から悪役に回ってしまった曹操ですが、日本人としては曹操を嫌う理由がことさらにない、だけなんじゃないかと。

どうでもいいことですが、作者の苗字は「ざこう」と読みます。
こんな苗字もあるんですねー。どういう由来があるのかさっぱりわからない字面です。


2003年06月12日(木) 『THE MATORIX RELOADED』(映)

【監督:ウォシャウスキー兄弟 アメリカ】

ヒット、話題作の二本目というのはどうしても期待過剰または批判的な視点になってしまいますが、そういう視点はなるべく取り去って無為自然に作品を観たいものだ、と映画に限らず思います。

そんなわけで、待ってましたのマトリックス続編。
マトリックスを最初に観た時、一話完結ものの映画だと思っていたので、あのラストは驚きでした。
「え、ここで終わり?」と。
早、四年。続編はないんじゃないかと思ったりもしましたが、観ることができてまずはなにより。

まず、今回の驚き。
タンク、死んでたの・・・
私、楽しみにしていたのですが。タンクが出てくるの。
前作で生き残ったのって、結局4人しかいないんだなーと思っていたら、3人でしたよ。

代わりといってはなんですが、新キャラ続続登場。
(ザイオンもついにお目見えだったのですが、想像以下でも以上でもない風景で、前から知っているような気さえしてしまいましたよ)
一番気になったのは、預言者のボディガード、セラフ。
洋画に出てくる東洋人ってどうしても気になってしまいます。妙に素敵に見えちゃうのは身内びいきなのか、やはり東洋系の顔に馴染みがあるからなのか。
レボリューションズの予告にもいたような気がするので、楽しみです。

東洋人と言えば、キーメーカーの小さいおじさん。
てっきり日本人かと思っていたんですが、違うみたいですね。
でも作中では、日本人がモデルになっていると思います。名前はついに出てこなかったですが、義三とかそんな名前が似合いそう。
なんだか可愛いおじさんでした。

預言者役のグロリア・フォスターは、撮影中に亡くなっているそうで。
次回作はどうなっているんだろうか。

預言者はどうしてマトリックスの中で普通に生活していたのか、が今回判明。
彼女もまた人間じゃなかったのね。なるほど。

アクションは前作のような驚きやら感動は無いのですが、みどころは増殖するスミスですかね。
まるで、マグリットの絵のようでした。黒スーツの同じ顔した男がひしめいている様は。
そういえば、スミス氏はエルロンド(ロードオブザリング)でもあるんだよなあ。
スミスは前作でも魅力的でしたが、更に魅力的な敵になってました。もっと出てきても良かった(数じゃなくて出番)。

敵役と言えば、新キャラのツインズ。
本物の双子なんだね!
あれだけ増殖するスミスを作っておきながら、そこは双子を使うところが面白い。
世の中いそうもない人がいるものです。188センチの双子。

モーフィアスが日本刀を持ったので素敵な殺陣シーンを期待したのですが、なかったです。
そもそも、日本刀の持ち方ちょっと違うような気がするよ・・・。殺陣の練習プログラムはやっていないのかしら?

ネオはすっかりスーパーマンでした。
でも、もう少し圧倒的な強さを見たかったような。前作の終わりみたいな。
マトリックスを出てしまえばただの人のネオ。最終的にどうやって戦うのかな、と思っていたら最後でちらりと伏線ですか?
現実世界でも力を持つのか?

トリニティのアクションは相変わらず素敵です。
短いですが。

しかし、マトリックスは銃撃戦が一番かっこいいかもなーと今作の色々な武器での戦闘シーンを見て思いました。

ザイオンのシーンが妙に原始的なのは、マトリックス世界との対比なのかな。でも少し過剰のような気もします。

モーフィアスはへたすると、危ない宗教家か宗教かぶれになりそうなすれすれのところで、信念を貫くかっこよいキャラになっていますね。
かっこいい、といいますか、時々可愛くすら見えてるんですけれど・・・。はい。すいません。

話しが難しく観念的になってきたので、ひょっとしたら吹き替えで観た方が理解し易いかもーと思いました。
様々な謎を次回にひっぱりつつ終了。
次回、リローデッドとレボリューションズ、二本立てでやりません?きっとその頃には内容がわからなくなってますから。

映画の帰り道、黒スーツ姿の人を見ると「あ、エージェントだ」と思ったり。しませんかね?


2003年06月09日(月) 『読切り三国志』(他)

【井波律子 ちくま文庫】

素晴らしくコンパクトにまとまった三国志。小説じゃないですけれど。
新聞連載だったそうで、全50回がわかりやすく、テーマ人物ごとにまとまってます。
並び方は、時系列順。三国時代の頭から最後まで。

五丈原で孔明が死ぬところまでは、復習という気分で読んでました。
それ以降は、小説に書かれないため、ほとんど知らないことばかり。
孔明死後も面白そうだよ?
誰か書いていないんですか。
呉が滅亡するまでが三国時代なんですよ。
ほんとーに誰も書いていないんでしょうか。
三国志末期の小説がありましたら、教えて下さいませ。本当に、切に。

私としては、呉最後の皇帝・孫晧が気になりました。
あとは司馬懿。
司馬懿の小説ならありそうな気もするんですが。本当にないんでしょうか。

とっても読みやすく、三国志小説を読むのがめんどうくさい人にはいいかもしれません。


2003年06月08日(日) 『童話物語』(小)

【著:向山貴彦 絵:宮山香里 幻冬舎】

発売当時、大層な帯がついていた記憶があるのですが、誇大広告は逆効果だと早く出版社は気が付くべきだと思います。

この本が誇大広告だった、というわけではないんですが。
いやむしろ面白かった故に、もう少しこの本の本質に即したキャッチフレーズをつけてあげればよかったのに、と思います。

冒頭、これでもか、というほどに悲惨な主人公。
小公女セーラなんてものを懐かしく思い出しました。
セーラと違って、ペチカは性格悪いのですが。
まあしかし、後天的な性格の悪さなので仕方がない、と思いますが。

そこかしこに現れる守頭は小早川奈津子かと思いました・・・。コワイ。
なんでそこまでペチカを目の敵にするのかしら?と思わなくもないです。

ルージャンの成長っぷりには目を見張ります。
好きだったわりには、最初の頃のイジメ方は、好きだからこそ・・・の域を越えていたような。
最初の頃の面影もない、後半の活躍ぶり。うっかり、いじめっこだったことを忘れそうでした。
そりゃあ、ペチカも易々とは許してくれないよ。
でもやっぱり、後半のルージャンはかっこよかったです。
塔を登ったはいいけどどうやって下りるのか、と思っていたら、ペチカを背負って下りてくる。
恐ろしい。
(余談ですが塔の上にはカリン様がいるのかと・・・)

ヤヤの「誰だって、自分が思っているよりはすごい人間だよ」って言うのがやっぱり印象的。

フィツも最後、ずいぶんと逞しくなって。
ところで、おばあちゃんってのはどうなったんでしょ。
ペチカと一緒に暮らす、とか?
一番悲しかったのは、テディが死んだところでした。

全編に渡って、妙に食べ物が美味しそうだったのが印象的。

とても細かい所まで設定されていて、絵の宮山さんとの共同作業もうまくいっているのですが、町と町との距離感というのがいまいち広く感じなく、ペチカは大陸縦断しているはずなのに、そんな感じは受けなかったのが残念。

お二人のサイトで、童話物語のできる過程が載っているのですが、なかなか面白いです。
向山貴彦のサイト宮山香里のサイト


2003年06月07日(土) 『ピューと吹く!ジャガー5』

【うすた京介 集英社ジャンプコミックス】

ジャガーの新刊を本屋で探す時はよくよく心の準備をしないと、うっかり吹き出してしまいます。

今回、ジャガーなのに続いてる!詐欺だ!!
と、思わず思ってしまいました。
ジャガーのくせに続きが気になるなんて。

ピヨ彦とジャガーさんの深まる絆を温かく見守ろうと思います。


2003年06月06日(金) 『最遊記RELOAD2』(漫)

【峰倉かずや 一賽舎】

最遊記を読む人って、「なぜか最遊記読んでる(持ってる)んだよね」という言い方をする人多くありませんか?
かくいう私もなんですが。
なぜか、読んでるんですよね。
そしてなぜか、峰倉作品の大半を読んでいるんですよね。

中身中身・・・

チャリンコ三蔵御一行様!!
いいんじゃないっすか。駄目ですか。砂漠とか岩山無理ですか。
カゴもついていて便利そうですが。
ジープが可愛かったです。


2003年06月05日(木) 『HUNTER×HUNTER17』『ヒカルの碁22』(漫)

【冨樫義博 集英社ジャンプコミックス】

相変わらず脈絡のない表紙で。
いや、もうそんなことよりもね、ヒソカがいっぱい。
嬉しいです。
ヒソカって強いくせに、何かしら負傷しないと勝たない辺りがマゾですね。
ヒソカが出てればそれで満足する自分を再確認した巻でした。そんなに好きだったのか。私。

++++++++
【漫画:小畑健 原作:ほったゆみ 集英社ジャンプコミックス】

本誌では完結したという風の噂を聞いたのですが。
それはともかく、永夏の睫毛ばしばしの美形っぷりが気になる巻。
日本チームのやり取りが好きです。
勝負はどうなるのか。
碁、全然わからないのに試合に引き込んじゃうんだから凄い漫画です。

実はかなり楊海さんが好き。



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