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2008年09月29日(月)
今日の怨ない








-おひつじ座の貴方(3/21〜4/19)
とりあえず基本は三倍返し。
いちど受けた屈辱は忘れないうちにメモして☆
ラッキーカラー
お歯黒

-おうし座の貴女(4/20〜5/20)
知らず知らず生き霊が発生してるかも☆
ラッキーウェブ
nixi

-ふたご座の貴方(5/21〜6/21)
真綿で締めるような手段が効果的☆
ラッキーことわざ
人の噂も75日

-かに座の貴女(6/22〜7/22)
ふとしたキッカケで髪の毛をゲット!
5寸っていうのは今で言う15cmのこと☆
ラッキーファッション
白装束のワンピース

-しし座の貴方(7/23〜8/22)
心あたり、あるでしょ?☆
ラッキーアイテム
むかしなつかし卒業アルバム

-おとめ座の貴女(8/23〜9/22)
実行前には綿密な計画をたてたほうがいいかも☆
ラッキーアクセサリー
おしゃれスタンガン

・てんびん座の貴方(9/23〜10/23)
騒音撒き散らす隣人にはそれ相応の報復を☆
ラッキー工具
おしゃれセメダイン

-さそり座の貴女(10/24〜11/21)
結婚式会場が最高の舞台になるかも☆
ラッキーソング
山崎ハコ

-いて座の貴方(11/22〜12/21)
運命の相手に出会えるかも
ここで会ったが100年目☆
ラッキーワード
先手必勝

-やぎ座の貴女(12/22〜1/19)
いじめたほうは憶えていないもの、
きちっと思い出させてあげて☆
ラッキースポット
断崖

-みずがめ座の貴方(1/20〜2/18)
着信拒否リストはもう満杯☆
ラッキー判決
証拠不充分

-うお座の貴女(2/19〜3/20)
見返す行為が結果的に
前向きな姿勢になっちゃうかも☆
ラッキーパーソン
岩窟王















2008年09月22日(月)
第一人称(4)









人混みの夕方
交差点の真ん中で転んだとき
ひとつまみの私が肩からぽろんと
剥がれ落ちてしまったときに

慌ててかばんにしまいながら
そのひとつまみの私が
ポケットティッシュのように
どこの駅前で配られていたものだったか
憶えていないことに気が付いた

それであちらこちらと
ひとつまみずつ私を剥がしてみても
途端に砕けてしまう私も
爪にはさまってこびりついている私も
広告のはさんである私ですら
どこの繁華街で受け取ってきたものだったのか
私を剥がす私の手でさえ

人通り途絶えた
深夜の交差点の真ん中では
剥がされ散って山と積もった
再生紙に埋もれながら

もう指の届くところをなくしてしまった
腕が一本
途方に暮れて立っている
















2008年09月15日(月)
お子守(4)









甥っ子4歳
ちかごろは恐竜にご執心
手をつないで行った図書館でも
恐竜の絵本ばかりを抱いてくる

なので最近の得意の日本語は
「読んで。読んで」
―読んで。読んで。
―えー。いま手が離せないんだよー。
―読んでー。
―むー。。

どれどれ、と差しだされた一冊を
ぱらちらりと一瞥、
―こ。これは

恐竜たちのかわいい絵柄とはうらはらに
なんと凄惨な物語であることか
新天地を求め遥か旅路を
大陸まで渡ってきたトリケラトプス一族
他民族が故郷を悠然と闊歩することに
耐えられない現地住民ティラノサウルス一族
ティラノサウルス一族に服従共存しつつも
恨みを持っているラプトル達、プテラノドン達、その他
生命、本能、勇気、哲学、家族、愛、大陸に吹きすさぶ風
それらが交錯し混ざり合って嵐となって
侵略と民族と差別とのはざまに
さまざまな思惑が入り乱れ飛び交い
主人公トリケラくん(兄)とトプスちゃん(妹)による
知恵の限りを尽くした交渉と戦略のタペストリー、そして
容易に予想されるべき憎しみの連鎖を残し
たったひとつの裏切りによって
哀しいまでにあっけなく訪れた終焉…
僅か20ページの平仮名だらけな文字列とイラストに凝縮された
恐竜たちの残酷、且つ雄大なドラマが
描ききってあるじゃないですか、甥っ子よ。
んじゃ、さっそく読んであげ…

これこれ、4歳児よ、どこへゆく
もういいのけ?














2008年09月08日(月)
ふたりは酔っ払ってしまった








板張りの天井から
落っこちてきたのが彼だったら
拾得物として駅員に
回収されていくのが僕だった

歌詞を忘れてあとは適当
ごまかし歌うのが僕であれば
からだごと振り回してさ
踊り狂っているのが彼なんだ

お酒であれば何杯だって注文した
請求書は見知らぬライオンが首からさげて
星空のサバンナまで持ち去ってしまった
ママさんは有線のかかるバルコニーに頬杖しながら
ズボンを穿き忘れたロミオ達を
見下ろしている呆れ顔

夏休みの夕立ちになって
道路を削るほど打ちつけてるのが彼なら
白鳥座までの打ち上げに
失敗したロケットが僕だった

黒い車で地獄まで
乗り付けたのが彼であれば
戦場を自転車で走り回って
迷惑をかけて生き延びている僕だった

それでも、まだ間に合うかもしれないと
遠ざかっていく電車を見ているのが彼だったら
向かいのプラットホームに突っ立って
もうすぐなのかもしれないと思うのが僕なのだった

昨日や今日、明日もそのあともみな
とっくにこの世とあの世で封をされて
心配事ばかりしている生活者たちの方へ向けて
超音速度で置き去りにされてしまった

ふたりとも酔っ払ってしまったのだ














2008年09月01日(月)
よこはまごっちゃ(3)








横浜に住んではみても
僕の部屋にはまだ
横浜は入ってきていないようだった

それで窓を開けっぱなしにして
風景の方からまるごと
部屋に入って来れるようにしたり
歩き回って目にする物にはひとつずつ
横浜の、という名前をつけようとしてたのだ
横浜という場所だけは知ってはいても
窓の向こう側にだけある気がしていて
触らせてもらえないみたいでくやしかった

横浜、横浜、横浜、横浜、横浜、いっそさあ
横浜とたくさん書くことで
僕のなかの横浜を
小さくしてしまいたいとも思った

海と風車のほうに
顔とラッパだけを向けて
四角いのっぽなタワーに寄りかかっている
渋谷で酔っ払ってた次の朝には
そんな背中だけをちらっと
見たような気もしたけれど

ほんとはずっと前に
横浜の方から僕を確かめに
来てくれてた、なんていうことも
あったのかもしれないな

大きな桟橋まで散歩してる道端で
ふいに会釈をくれたおじさんが
横浜だったって事に
そのときは、まだ
気付かなかっただけだったのさ