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2005年05月30日(月) ■ |
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病みのなかで |
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病みのなかで見えるものは それは病みだけではありません 雨のやんだ道端に立つ ひとりの男ではないでしょうか
その男の瞼の裏にあなたは居て 目を細めずにはいられない
病みのなかで見えるものは それは病みだけではないのです その男の名は病というけれど その男が見てるものはとてもまぶしい
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2005年05月23日(月) ■ |
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「生きていくお前」(5) |
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アパートの 更新料が払えない
5月だと勘違いしてたのに 3月末に支払えーと手紙が来た
当然 払えない
月末10日前には支払えと書いてあるので 月末ちょうど10日前に電話をかけた
「都合がつかなくて行けません。4月になると思います」 「それは困ります。もうちょっと前に言ってくれないと…」 「でもそちら19時で閉まっちゃいますよね? 開けといてもらえるんでしょうか?」 「…」
不動産屋のせいにする
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2005年05月16日(月) ■ |
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「君が欲しい」 |
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「心優しいツキノワグマが 今夜もマイクにキスをする 夜の天井からは首を突き出し 明日はまだかと歌いかける ああ、今夜もあいつのブルースが 僕の床板を踏む
君が欲しい
たわしの言葉を喉に押し込み ギターの尻尾に火をつける やかんの頭に帽子を載せて 今日はちょっぴりおどけてやろうか それともクレヨンで書いたズボンをはいて 吉祥寺の街できどってやろうか
君が欲しい 」
友部正人 「君が欲しい」 アルバム 「にんじん」 から
指を舐められたり あまく噛まれれば とたんに恋に落ちてしまふ
君が欲しい
近くに寄るたびに ペットショップの柵越しに 見つめあってしまふ
フレンチブルドッグっていうらしい
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2005年05月09日(月) ■ |
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ときどきちょっとうれしい |
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お米炊くときに注いだ水が 一回で目盛りぴったりはいった
出かけるとき玄関のドアがしまるバタンと 鍵をしめるガチャリが同時にできた
夜中ふっとデジタルの時計を見たら 00:28だった(ぜろぜろふたば)
コンビニで携帯電話料金を支払ったとき レジのお兄さんが領収書をうまく切れずちぎれてしまった
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2005年05月02日(月) ■ |
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生きていくお前(4) |
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極貧乏で 当たり屋なんかやる夢さえウトウト見てしまう わたしであるけれど 全ての国民は最低限の生活を営む権利を有する、という 憲法の条文が心の支えの私ではあるけれど
今まで万引きをしたことがないのは 数少ない自慢のひとつである
ところがスーパーのレジを通って 袋詰する台の上に 誰が置き忘れたか知らないが
ご丁寧にビニールをかぶせてある 真っ赤なめんたいこが迷子になってるではないか 価格は300円
勿論わたしは 万引きだってただの一度もしたことがないので 持ち帰るつもりなどないけれど 狙い済まして めんたいこちゃんのすぐ脇に陣取った
それを何食わぬ顔して 自分の袋へ入れてしまうか店員に引き渡すか どきどきそわそわ やきもきたらたら
いや、めんたいこちゃん300円を買えるひとが しかもそれを忘れて行ってしまう薄情者が めんたいこちゃん300円ひとつでそんなに困るわけはないだろう
いや、それとも自分と同じような貧乏人が 長いこと苦労してやっと買えた 命のめんたいこちゃん300円なのか?
いや、めんたいこちゃん300円も迷子になって いまとても心細いに違いないはずである
しかも、ここでめんたいこちゃん300円をわたしが持ち帰っても これはレジを通ってるし窃盗ではない 落とし物を拾っただけである
しかもこのめんたいこちゃん300円は何時間こうやって 陽にあたっているかも分からない 買ったひとが取りに来たとしても、悪くなってるかもしれないではないか
つまりわたしは いつ店員に呼び止められるかもしれないという危険を犯して このめんたいこちゃん300円の健康と 買ったひとの胃を守らなければならないのである
あー。いいことをした。
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