初日 最新 目次 MAIL HOME「馴れていく」


ごっちゃ箱
双葉ふたば
MAIL
HOME「馴れていく」

My追加

2005年03月28日(月)
ライナス








ライオンの仔のぬいぐるみ
動物園につれてってもらったときに
買ってもらったやつ

ずっといっしょ
どこへでも旅行先にも
持っていっていたあのコのことを

テレビで仔ライオンを見ていて
思い出した

名前はライちゃん
ライナスの毛布とは関係なし
ライオンだからそのまんま

こういうのを思い出すと
いつのまにか気付かぬうちに
どこかにいってしまったような気がするのだ

ゴミになったのかと思うと
たまらなく悲しくなるので

どこかもっと小さい子どものところへ
行ったとかんがえるのがよい














2005年03月21日(月)
電話をするまで









午後かけようと思いたった
少し先延ばしにしてしまったが
今日の午後くらいが丁度いいはずだから

午後に電話するのであるから
とりあえずは食事を摂ることにして
ひとまず落ち着こうとした

どんなふうに話すかを考えた
やはり自然な感じがいいだろう
内容を決めておくと尚いいだろう

午後になったので電話を見たが
やはり夕方頃にしようと決めた

まだ今日は外にでてないから
頭が回っている気がしないので
とりあえず散歩でもして
すっきりしたほうがいいに違いない

それとも少しくらいぼんやりしてるくらいが
勢いがついていいのだろうか
いや、やはり頭がすっきりしてるほうが
自然な感じになるに違いない
内容を決めておくと尚いいだろう

それでとりあえず買い物をしてきた
陽も暮れてきてついに覚悟を決めようと
部屋の中をぐるぐる歩き回った
電話を手にするのには成功したが

いつの間にか空腹になってるのに気付いた
大切な電話をするのに
空腹だというのはきっとよくない

それで夜かけることに決めた
やはり自然な感じがいいだろう
内容は既に決めてある

ついでにこれは夢だと思いこむことにした
夢ならあれこれ考えることなどない
そうだ夢だうっかりしてた
それでは夢の電話をかけることにしよう

この世のものとは思えない電話は
心臓なんて軽く押しつぶすことができるのではないか

電話を手にとった
番号を押した
すると呼び出し音が鳴った
鳴ってることが意外ですらある

相手は出なかった
また明日、電話をかけることに決めた













2005年03月14日(月)
3月よたび









めずらしく目次なんか見てみたら
ごっちゃは2002年にはじめたらしいので、えっと
ひーひーふー、で
まる3年が経ったのですね


中学生のときに
表紙の厚い青いノートを持っていました
好きな歌の歌詞を書きためていました
なんでそういうことをしてたかって
そういうことをしたがる年頃だったからだと思います

主にさだまさし氏の歌詞だったけれど
歌詞だけじゃなくてその横に
ライナーノートを書いていました
ライナーでも何者でもないくせにね
歌詞から想像できる文章や
その歌の登場人物のことを想像した文章やなんかを
へこへこ書いていたことを
目次を見ていて思い出したわけです

あぁ、やってることは全然変わってないわけね
あぁ、ないない

ときどきメールなんかももらっちゃって
モニター越しにお礼を言ったりしてます

読んでくれてありがとう










2005年03月07日(月)
おとなたち







十二歳の夏も病棟にいた
4階には整形外科と
小児科と婦人科、産婦人科があって
(これは4という数字に関係している)

小児科ではなく
おとなだらけの整形のほうにいたので
喫煙室(面会の部屋ともいう)に出入りしている
こどもはぼくくらいのものだった

周りのおとなたちからは随分
よく果物やらお菓子やら頂いた
ひとつ全部食べきらないうちに
「はい次々。これもこれも」といった感じで

可愛がられていたように思う
周りが不愉快になるようなことを言ったり
遠慮するようなことがあれば
よく熱心に叱ってもくれていた

喫煙室にときどきだったけれど
物静かなおばさんが煙草を吸っていた
他のおとなと話してる様子はなかったけど
ぼくとふたりのときはよくニコニコおしゃべりした

その様子を見ていたのか
ある日とつぜん仲の良かったおじさんが
あのおばさんとはあまり仲良くせんほうがいいよ、と言った
あのひとはこころが病気で変な神様を信じてるんだ

おじさんに言われて
おばさんのことを悪く思う様になったわけではない
ただ、言われたことを素直に
受け止めただけだと思う

やさしい口調でいつも
嬉しそうに話を聞いてくれるおばさん
婦人科に長く入院していると言っていた
それから会っても挨拶くらいしかしなくなった