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2009年04月07日(火) |
「政策金利の現状維持、全員一致で決定=日銀金融政策決定会合」←量的緩和を余儀なくされるかも知れない。 |
◆記事1:政策金利の現状維持、全員一致で決定=日銀金融政策決定会合(4月7日12時40分配信 ロイター)
日銀は7日開催の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定した。
同時に、政府に対する証書貸付債権・政府保証付証書貸付債権の適格担保範囲を拡大するほか、地方公共団体に対する証書貸付債権の適格担保化も決めた。
◆記事2:成長見通し下方修正へ=経済は一段と下振れ−白川日銀総裁(4月7日19時1分配信 時事通信)
白川方明日銀総裁は7日、金融政策決定会合後に記者会見し、2、3年程度の経済や物価の見通しと金融政策運営の方針を示す
「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中間評価(1月時点)と比べた国内経済の現状について、
「下振れして推移している可能性が高い」との見方を示した。
2009年度の実質GDP(国内総生産)成長率をマイナス2%としている現在の見通しを、
4月の同リポートで下方修正する考えを強く示唆したものだ。
一方、白川総裁は、前年に原油や食料品が高騰した反動で下落している物価について、
「需給バランスの緩和に伴う下落圧力が加わる」と、一段の下落リスクを指摘。
「物価下落が続くと中長期的な予想インフレ率が下がり、経済に悪影響を与えることを懸念している」と述べ、
デフレスパイラルへの警戒感をにじませた。
3月企業短期経済観測調査(短観)では、輸出急減で大企業製造業の業況判断が過去最悪となったほか、
内需の冷え込みで非製造業も景況感が急激に悪化。白川総裁は「(短観は)厳しい認識を改めて裏付けた」と述べた。
◆コメント:誰も、どうしたらよいか分からない。
日銀は昨日と今日、金融政策決定会合を開き、記事1の通り、政策金利である無担コール翌日物(オーバーナイト。略してO/Nと書きます)の
誘導目標を0.1%に据え置いた。予想通りである。
先週の水曜日、4月1日に日銀短観3月分(全国企業短期経済観測調査)が発表された。
普通、「短観」で通じる。世界中のマーケット関係者の間でも「TANKAN」で通用する。
変なたとえだが、「TSUNAMI」(津波)が世界でそのまま使われているのに似ている。それぐらい注目される指標である。
短観でも最も皆が注目するのは、「大企業製造業DI」(DI=diffusion index)といって、
景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数字だが、
先週の「大企業製造業DI」はマイナス58で、1974年の統計開始以来の過去最低を更新した。
これぐらい景気がものすごい勢いで落ちこむのは、見たことがない。当たり前だ。過去最悪なのだから。
そして、景気が悪いと皆お金を使わない。即ちものが売れない。すると需要・供給の法則で物価は下がる。
全国消費者物価指数はこの通り、昨年10月から、小幅ながら、
前月比マイナスが続いている。デフレになりかけている。
物価が下がる→モノ・サービスを作っている企業、売っている企業の収益が減る。→企業は、コストを減らそうとして、
人員削減をしたり、従業員の給料やボーナスを減らす。→家計の所得が減るから、家計は支出を減らそうとする。→
更にモノ・サービスが売れなくなる。→一層物価が下がる。
これをデフレ・スパイラルと言う。
記事2に書かれているとおり、白川日銀総裁は、それが起きるかも知れないことを心配している。
つい数年前まで日本はこのデフレ・スパイラルに苦しみ、漸く脱却し、
景気が拡大を続けていたのに、アメリカのサブプライムローン問題を背景とする金融危機による影響、
特に昨年9月15日に、リーマン・ブラザーズが破綻してから、かつて経験したことの無いような速さで、
世界中の景気が同時に悪化している。
日銀は何とか、金融危機やそれによって、銀行が融資に慎重になりすぎ、
そのために、企業が必要な資金を調達できなくなり、倒産が多発する、
という最悪の状況を防ぐために、日本の中央銀行としてはかつて見られないほど、
特にここ数ヶ月は毎回新しい政策を発表している。
昨年12月には、「企業金融支援特別オペレーション基本要領」の制定等について (PDF, 100KB)
を発表して、金融機関が年越に際して資金繰りに窮しないよう手配をした。
今年1月には、1月22日「コマーシャル・ペーパー等買入基本要領」の制定等について (PDF, 108KB)
を加えた。CPとは企業が資金を調達するために発行する割引手形の一種である。これを日銀が買い取って、企業に資金が届くようにしようというのである。
更に、2月には、買い取る対象を社債にまで広げた。社債とは会社が発行する借用書であって、これを買い入れるのは、
企業に融資するのと同じだ。
2月19日 社債買入れの概要 (PDF, 88KB)
CPでも社債でも、発行している企業が潰れたら日銀は資金を回収出来なくなる。
つまり、日本の中央銀行が不良債権を抱えることになる。程度を越すと、日銀の財務の信頼性が揺らぎ、
それは、即ち日本国の信用(金融の世界で言うところの「信用」である)が低下することを意味する
非常に、覚悟の要ることだ。
3月には、金融機関の資本を増強するために劣後特約付の貸出を決めた(ココログはこちら)。
これも、資金を貸し付けた金融機関が潰れたら回収できなくなる。
日本銀行がこのように、続けざまに所謂「リスク資産」の買取を毎月新しく発表する、
ということは、異例中の異例で、如何に日本銀行が日本の景気後退を深刻に認識しているかを
端的に物語っている。
それでも、これら諸政策は著効を示さず、日銀は今年の経済成長がマイナスなのは最早明らかだが、
1月に四半期毎に発表する「展望レポート」で予想したよりも更に悪い方に修正しなければならない、
と白川総裁は述べているのである。
それが記事2の意味である。
今日は記事1にあるとおり、政策金利を据え置いた(無担コールO/N誘導目標を0.1%付近とする)。
このままでは、まだ、不十分かも知れない。遅かれ早かれ、日銀は市場に流通する資金「量」の誘導目標を決め、
意図的にインフレ気味にする「量的緩和」をまた、実施しなくてはならなくなるかも知れない。
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