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JIROの独断的日記
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2008年10月09日(木) 「米財務長官が銀行への公的資金注入に言及」←やるなら早くしろ。

◆記事1:(10月9日15時25分配信 ロイター)

[ワシントン 8日 ロイター] ポールソン米財務長官は8日、金融安定化法は銀行システムに資本注入する幅広い権限を財務省に与え、

必要であれば同省が銀行を保有する立場を得ることを排除しないと語った。

 同長官は、10日の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を前に開いた記者会見で、

 「最大限の効果が得られるよう、与えられたすべての手段を利用する。あらゆる規模の金融機関に対する資本強化も含む」と述べた。

 英政府は8日、国内銀行に巨額の公的資金を注入する銀行救済策を発表したが、ポールソン長官は、

 米国が講じる次の措置が、英国と同様に何らかの資本再編の形をとる可能性があるかとの質問に対し、

 直接の回答を避け、「われわれが必要とする可能性のあるすべてのことに関して憶測はしない。

 われわれは、物事を進めるための幅広い権限と手段を持っていると言えるだろう」と語った。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、政府当局者の話として、金融システムの信認回復にむけて米財務省が多くの米銀の株式取得を検討していると報じた。

 この報道に関する財務省報道官からのコメントは今のところ得られていない。

 米議会は前週、7000億ドルの金融安定化法案を承認し、財務省は銀行から不良資産を買い取る権限を得た。

 ポールソン長官は、金融安定化法は「財務省に問題のある資産の買い取りや、保証の提供、

 資本注入に向けた広範かつ柔軟な権限」を与えていると述べた。

 ただ、これが銀行の株式取得を検討する可能性があることを意味するかどうかについては言及しなかった。


◆記事2:「日本の教訓学びたい」 公的資本注入で米財務次官 (日経 11:19)

 

マコーミック米財務次官(国際金融担当)は8日の記者会見で、

 10日にワシントンで開く主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中川昭一財務・金融相が

 米側に金融機関への公的資本注入を促す見通しになっていることについて「日本の教訓はすでに議論しているし、対話の継続には前向きだ」と述べた。

 財務次官は金融危機の克服について「日本だけでなく、スウェーデンや最近の教訓からも学びたい」と指摘。

 金融機関への公的資本注入や国有化などを幅広く検討する考えを示した。

 G7会議の議題としては金融危機への取り組みに加え、流動性供給での協調や空売り規制など市場安定化策、

 預金者保護の拡充などが対象になると表明。

 G7会議終了後の10日夜には、ロシアを交えて拡大夕食会を開催することも明らかにした。


◆コメント:結局、こうなる(公的資金注入)。早くやれ。

先日から私は幾度となく繰り返しているが、もう一度要点だけ述べる。

米国が10月3日に可決し、ブッシュ大統領が署名した金融支援法案は、ごく簡単に言うと、

米政府が民間金融機関の不良債権を買い取る、ということを決めただけで、いくらで買い取るかは全く決まっていない。

財務長官のポールソンは6日、不良資産買い取り業務の責任者に、ニール・カシュカリ財務次官補を充てると決めた。

ポールソンの古巣、ゴールドマン・サックスの出身者である。

別のソースによれば、実際に不良債権買取がスタートするまでにあと1ヶ月ぐらいかかりそうだ、という。

事態の緊急性を考えると暢気な話である。その間に破綻する金融機関が出るだろうことはほぼ、間違いない。

いずれにせよ、不良債権を金融機関から買い取る価格は、元の値段よりも安く買いとることになる

(高く買い取ったら、銀行に利益が生じ、米国市民感情の反発を招く)だろう。

すると、不良債権を売った金融機関には売却損が発生し、これを埋めるには資本と取り崩すしかない。

また、米国の不動産価格は下げ止まっていないので、新たな不良債権が生まれることは明らか。

どう考えても、金融恐慌を避ける為には、米国政府が金融機関に直接公的資金を注入するしかない。

これが、私が再三主張してきたことである。


◆公的資金注入に異論はないが、アメリカに一言嫌味を言わせて貰う。

記事2を読んだ時、呆れた。

バブル崩壊後、邦銀が多額の不良債権を抱え、日本政府がこれを処理するために公的資金注入を決めたとき、

米国は、日本をせせら笑ったのである。銀行を思い切って潰すことが出来ないのか、

そんなことをしたら、モラル・ハザード(企業の自己責任意識の崩壊)を招く、と。
「つぶれるべき金融機関が退場して、はじめて金融不安が解消する。問題先送りで対応を誤り、経済全体を停滞させるだけだ」

と嘲笑したのである。それは、リーマンブラザーズを破綻させた時も
公的資金による安易な救済は行わないという政治的意思を示す、

と大見得を切ったのである。

それが、記事2は何ですか?
「日本の教訓学びたい」 公的資本注入で米財務次官

日本のやり方が間違っていなかったことが分かった、という訳である。

日本の不良債権処理をコケにしたことはすっかり忘れているようだが、一言、
あの時はご無礼いたしました。

ぐらい言って貰いたいですね。絶対いわないだろうが。


◆結論:公的資金を注入するなら、一刻も早く。

嫌味を言わせて貰ったが、ポールソン財務長官は公的資金を注入することを考えているなら、速く実行して貰いたい。

瀕死の状態にある金融機関がアメリカには多数存在するのだから、グズグズしていると、連鎖倒産して金融恐慌を招く。

それは、世界中の株価の更なる暴落を招き、世界中の家計、企業活動、金融機関にとって迷惑な話なのだ。


そもそもポールソン財務長官は、自分の今の立場を正確に認識しているのかどうか、疑いたくなる。

この人物は、2006年からブッシュ政権の財務長官を務めているが、その前はゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)だった。

辞めるときには退職金と、自己保有株式の売却でなんと500億円を手にしている。

彼の総資産は、1,000億円はあるはずだ。

自分は死ぬまで食うに困らない人だから、政策決定や実行が遅れ、

世界の庶民の生活がどうなろうが、知ったことではないのだろう、と、再び皮肉を言いたくなる。

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