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2008年01月10日(木) |
「向精神薬:マジンドールにダイエット効果…用法外PR横行」毎日新聞精神医療取材班の報道の問題点。 |
◆記事:向精神薬:マジンドールにダイエット効果…用法外PR横行
向精神薬「マジンドール」を巡り、医師法違反容疑で逮捕された風本(かぜもと)真吾容疑者(44)が代表を務める「メディカルサロン」グループと同様に、
「ダイエット効果がある」と宣伝している医療機関が、全国で100カ所以上に上ることが毎日新聞の調べで分かった。
マジンドールの処方は高度肥満症の患者に限定されており、ダイエット目的は国の承認する用法を逸脱する可能性が高い。
副作用がある薬を安易に処方する傾向が全国に広まっていることが明らかになった。
毎日新聞が全国の医療機関のホームページを調べたところ、少なくとも北海道から九州までの108施設が、
ダイエットに効果がある薬としてマジンドールを紹介。美容整形や美容外科、皮膚科が大半で、施設のほとんどが健康保険を使わない自由診療だった。
薬価は1錠212円50銭だが、これらの施設では1錠1000円前後の高値で処方され、中には1錠3150円もする施設もあった。
毎日新聞の取材に対し、東京都内の美容外科の院長は「若い女性が『マジンドールをください』と来れば、やせ気味の人でも出す。
副作用もきちんと説明しているし、治療の選択の自由が制限されるのはおかしい」と話した。
福岡市内のクリニックの事務長も「自由診療ならば適応症でない患者に処方しても問題ないと判断している」と説明した。
風本医師は92年に製造承認された直後から「マジンドールダイエット」として宣伝し、グループの店舗を次々と拡大した。
風本医師の成功で、他の医療機関にも同様のダイエット医療が広がったとみられる。
(引用者注:以下略。全文はこちらに保存しました)
◆コメント:毎日新聞精神医療取材班のバカさ加減。
約1ヶ月前、私は毎日新聞の精神医療取材班に、質問のメッセージを送った。
(ココログではこちらです。)
ずっと待っているが、2008年01月10日(木)22時53分現在、毎日新聞から、何の回答も無い。
私の質問の直接的な趣旨は、中枢神経賦活剤リタリンを巡る毎日新聞の報道の恣意性を問い質したものだが、
リンク先から更に背景説明へのリンクがあるから、多少面倒だが、お読みいただけると有難い。
このいい加減な毎日新聞「精神医療取材班」が「リタリン問題」が片づいて、ネタに困っていたのだろう。
食欲抑制剤に関して、「向精神薬」の四文字を見て、徒に不安を煽る報道をしている。全然進歩しない連中である。
◆「向精神薬」の法的根拠
麻薬及び向精神薬取締法で定める「向精神薬」は別表第三に掲げてある。
極めて読みづらいので、上から順に説明すると、
一、別名(以下、「別名」を略す。)フェノバルビタール 抗てんかん薬である。
二、ペントバルビタール。催眠鎮静剤,抗不安剤。但し、バルビツール系の鎮静剤。処方されることはまず、無い。
三、ジアゼパム。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬。商品名「セルシン」最も効き目の弱い部類。ごく普通に処方される。
四、オキサゾラム。同上。商品名セレナール。抗不安薬の弱い奴。ごく普通に処方される。
五、クロチアゼパム、同上。ベンゾジアゼピン系といって最もありふれた抗不安薬。商品名リーゼ。弱い。ごく普通に処方される。
六、クロルジアゼポキシド。同上。抗不安薬。商品名コントール。ごく普通に処方される。初歩的な抗不安薬だ。
七、バルビタール。これは、メジャートランキライザー。抗不安薬よりも、強力な鎮静作用がある。抗精神病薬(統合失調症の患者さんの為の薬)だろう。
八、ニトラゼパム。ベンゾジアゼピン系の眠剤(睡眠薬)。商品名ベンザリン。ごく普通に処方される。私にはあまり効かなかった。
九、メチルフェニデート。リタリンですねえ。小児の多動症(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)として最近認可された、コンサータも全く同じ成分。
十、ペンタゾシン。これは、鎮痛消炎剤だ。オピオイド系つまり、アヘン系の鎮痛剤でガン患者などにつかう。精神疾患に対して処方されることはないだろう。
十一 前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの。(アルコールの濫用のされ方はすごいねえ。医薬品じゃないから、構わないんだ。ふーん。)
十二、十二 前各号に掲げる物のいずれかを含有する物
ということで、これが、麻薬及び向精神薬取締法が指定する「向精神薬」の全てである。
食欲抑制剤が「向精神薬」であるか否か、これだけでは分からない。
多分、十一に含まれるような政令が出ているのだろう(そうでなければ、麻薬及び向精神薬取締法のいうところの「向精神薬」に含まれる手続きを取っていないことになる)。
と、想像するしかない。
毎日新聞の精神医療取材班は、まず、食欲抑制剤サノレックスが向精神薬である根拠を示すべきだ。
といっても、彼らは分からないだろうから、答えを教えてやると、「添付文書」を見るのだ。
薬品には添付文書というものが必ずある。これが、サノレックスの添付文書(をウェブ上に掲載したもの)だ。
ここで、初めて「向精神薬」と書いてあることが分かる。本当は厚労省の認可書も見なければならない。
新聞は以上の基本的手続きを踏まえた上で、問題の所在を整理して、丁寧に説明するべきだ。
問題があるとすれば、第一に、この添付文書にあるように、「本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似し」ていること、だろう。
アンフェタミンてのは、覚醒剤、「シャブ」である。覚醒剤を常用している人間は食欲が無くなり痩せてくる。
だから芸能人やモデルが、痩せることを目的に、覚醒剤を使い、捕まる奴と捕まらない奴がいるのだろう(それはどうでも良い)。
しかし、同時に常識を用いるべきだ。
先日、遷延性・難治性うつ病を適用から外された、メチルフェニデート=リタリンに関しても、
毎日新聞精神医療取材班は濫用が問題だといいながら、普通に使用して問題ない多くの患者の声を全く聞かなかった。
あの薬は五十年間使われていたのである。リタリン飲んだ患者が、皆濫用者になるのならば、日本中リタリン中毒だらけだったはずである。
が実際はアルコール濫用者の方が遙かに多い(2006年リタリン乱用が原因で入院した患者は国立精神・神経センターによれば、15人。
アルコール依存で外来・入院治療を受けた人は1万7千人もいる)。
今回、毎日が騒いでいる「サノレックス」が認可されたのは、1992年。15年以上も使われている。
この薬に致命的な問題があるなら、もっと早く騒ぎになっているはずである。薬だからなんでも危ないという考え方は偏見である。
民放テレビが白インゲンダイエットを紹介して大騒ぎになったのを皆わすれたのだろうか。
このように、食べ物でも、間違えば、身体を壊すことがあるし、一方、薬は、正しく使えば安全なのである。
今回、毎日新聞「精神医療取材班」のバカどもは、全国でサノレックスの使用者が概数でいいから、何人いるのか。
その中で濫用で重大な問題となったケースがあるのか。あるとしたら何例か。パーセンテージでいかほどか。全く報じていない。
◆コンプライアンスの問題と医学上の問題を一緒に書くな。
毎日新聞は、「向精神薬」である食欲抑制剤を、無資格の人間が処方した(販売した)こと、即ちコンプライアンス(法令遵守)の問題と、
この薬剤そのものの問題を何となくごちゃ混ぜにして報道する。それが問題を分かりにくくする。
確かに医者で無いものが薬を処方してはいけない。がそのことと、薬そのものの特性とは別の問題である。
毎日新聞精神医療取材班の記事を読んでいつも感ずるのは、彼らの頭の中には「向精神薬」→「濫用」という図式しかないのではないか、という印象である。
更に書くならば、無資格医が向精神薬を処方したのが問題だ、という点を論ずるなら、
日本で向精神薬として認可されていない食欲抑制剤は、素人が海外から「サプリメント」の一種として取り寄せることが出来る。
ネットショップはいくらでもある。
食欲抑制剤に限らない。抗うつ薬の「プロザック」などは日本では認可されていない。認可されていないから、向精神薬ではない。
従って、輸入しても違法とはならない。これこそ、問題である。
こんなことは何年も前から分かっていることであるが、全然報じない。
毎日新聞精神医療取材班は、一体何を見て、何を考え、何を目的に報道しているのであろうか。
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