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2007年12月13日(木) |
30年間探し求めた楽譜が見つかって・・・、虚脱状態なのです/ベートーベン交響曲第6番 へ長調 作品68「田園」 |
◆恐縮ながら、今日は天下国家について書けません。わが音楽遍歴。
今日は、大変嬉しいことがあったのですが、今までの道のりがあまりにも長く、虚脱状態なので
時事問題について、どうしても書けません。
ときどき、
「お前は、音楽に関して偉そうなことを書いているが、何か楽器は出来るのか?」
というお問い合わせを、いただくか、というと、全然来ないのですが、勝手に書きます。
最初にピアノを習いました。祖母が明治28(1895)年生まれ(当然、とっくに他界しております)という、
時代の人間としては珍しく、東京音楽学校(今の芸大ですな)声楽科を出てました。当時といえどもピアノは必須ですから、
初歩を教えることは出来たのです。
しかし、どうもピアノは面白くなかったのです。
バイエル、ツェルニー、ブルグミュラーといって、ソナチネアルバムでクレメンティのソナチネをやった辺りで、
真面目に練習するのをやめてしまいました。
中学2年から、いきさつは省略しますがどうしてもトランペットを吹きたくて、安い楽器を買って貰って、但し独学は無理ですから、
なんとか先生を探しました。私の中学には(東京都杉並区ってそんなに田舎じゃないのですけど・・・)何とブラスバンドがありませんでした。
素人でトランペットを吹く人間で、個人レッスンから始めたというのは、あまりいないと思います。
この先生は、厳しかったけれど意味もなくキビシイのではなく、音楽的に当然のことを教えて下さいました。
変なことを吹くと、
「君ね。そういうのを、デタラメって言うんだよ」
「ブレスがそんなに無いくせに、ブレス取るのが遅いんだ、君は」
とか、当時のアナログチューナー(音程が揺れると針が左右に振れる)に向かってロングトーンを吹かされ、
「君ねえ、ロングトーン真面目に練習しているかい?」
とか、キビシイというか、全て当たり前のことです。注意されても少しも嫌になりませんでした。
好きなことは少々怒られても嫌にならないのでしょう(尤も、プロになるとなったら話は別。先生も容赦しません)。
音楽とは、芸術とは厳しいものなのだ。ということをこの先生に教わりました。
褒めるときは褒めて下さいました。音が良くなってきたら、
「うん。男らしい、いい音だぞ」
と、言われました。あのときの嬉しさは今でも良く覚えています。
◆リコーダーはレッスンは受けませんでしたが、独りでさらいました。
リコーダー(ドイツ語ならブロックフレーテ)は、日本の音楽の授業に採用されたのが悲劇でした。
バッハの時代には普通にフルートと言ったらリコーダーのことでした。
ヴェネツィアの貴族の間では、リコーダーを吹けるのが教養のひとつでした。
最近、日本の音楽大学にも古楽科ができましたが、ヨーロッパには音大のリコーダー科があり、プロの演奏家が、何人もいます。
断じてオモチャではなく、歴とした専門的訓練を要する楽器なのです。
さて、私ですが、小学校から中学に進むと、アルト・リコーダーを渡されます。
あれがリコーダーの中心的存在です。ヘンデル、テレマン、サンマルティーニ、バッハなどが、この楽器の為の曲を書いています。
私はこの楽器にかなりはまり、ヘンデルのソナタなどの楽譜を買ってきて練習しました。
◆昔、NHK教育テレビは、毎日夕方に楽器のレッスン番組を放送していました。
どうして、なくなってしまったのか、昔は日替わりでピアノ、バイオリン、フルート、ギターのレッスン番組を放送していました。
講師も今思うと恐ろしいほど一流の方ばかりで、ピアノは中村紘子さんだったこともあるし、弘中孝さん、松浦豊明さん、
井口先生も出てたんじゃなかったっけ(大御所中の大御所です)。
ヴァイオリンは、何と江藤俊哉さん、田中 千香士さん、徳永二男(さん、堀正文さん(この三人はN響のコンマスです)
ギターは荘村 清志さん、
フルートは小出信也さん(N響首席)森正さん(指揮者だけど元々フルート奏者)、峰岸壮一さん(新日フィル首席)、
あ、そうだ。吉田雅夫さん(大御所、全然威張らない)
◆そんな中で、一度だけ(これらの番組は半年で一区切りなんです)リコーダーの講座があったのです。
講師は花岡和生さんというオランダで勉強してきた方です。今もご活躍中です。
この先生が、番組冒頭でテレマンのト短調のソナタから第一楽章のアンダンテを演奏するのですが、
実に何とも美しい。美しく切ない音楽でした。当時のテキストにはその楽譜が載っていましたが、何十年も経つうちに、
結婚し、何度も引っ越しているうちに無くなってしまいました。
私は、楽譜を売っている主な東京の店をくまなく探しましたが見つかりません。
先生に伺うのは、今のようにネットでメールなんかありませんし、住所が分からない。
何よりも、恐れ多い。
万策尽きて、ネットが使えるようになり、先生もサイトをお持ちなのですが、やはり恐れ多い。
けれども、今日、思い切って、丁重に教えを乞いました。
なんとすぐに返事を下さいました。
ベーレンライターという有名なドイツの楽譜出版社から出ている、テレマン 12メトーディッシュゾナーテン 、
これはフラウト・トラベルソという横笛のために書かれた、「練習用ソナタ」です。
そして、ト短調ではなかった。ホ短調をリコーダー用に短三度上げてト短調にして吹いておられたとのこと。
ト短調でいくらムキになって探しても三〇年間見つからないわけです。
それが、見つかって嬉しいけど、茫然自失、の理由です。楽譜を探すのは、特にこういう地味な曲は難しい。
音大には膨大な楽譜図書館があるそうで、そういうところに行ったら見つかったのか・・・・いや、ダメでしょうね。
あまりにも安易に人に訊いて済まそうという態度は感心しませんが、私のようにムキになりすぎるのも良くないです。
それがやっとわかりました。
あー、疲れた。マニアックな話で申し訳ないのですが、今は頭の中にそれしかないので、文章にしました。
◆ベートーベン交響曲全曲演奏シリーズ:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」より第一楽章
もの凄い迫力の「運命」終楽章とちょうど正反対。のどかな始まりです。
この曲は、はじまってすぐ、4小節目に、音を長く伸ばす「フェルマータ」があります。フェルマータは指揮者が切らないとどこまでも伸びてしまいます。
作家の故・遠藤周作氏がNHKの音楽番組にゲストとして招かれ、「ちょっと、指揮をしてみませんか」という演出だったのですが、
曲がよりによって、この「田園」の冒頭でした。
遠藤さんは音楽に特に詳しいわけでも何でもありません。恐れていたことが起きました。
四小節目のフェルマータを切る、などということを遠藤さんはご存じない。移動ドで書くと、
ミファ・ラ/ソファミ・レ・ソ/ドレミ・ファミ/レーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
という悲惨な事になりました。誰が選曲したのか、あれは意地が悪い。遠藤さんが気の毒でした。
ま、それはともかく第一楽章をどうぞ。
ダウンロード BeethovenNo6First.mp3 (13140.0K)
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2006年12月13日(水) 「<三菱自欠陥隠し>改ざんの事実は認定 無罪判決の横浜簡裁」←この裁判官、ホントに司法試験通ったの?
2005年12月13日(火) 「みずほ証券誤発注問題『証券5社の手法、美しくない』金融相」云うまでもなく、同感である。
2004年12月13日(月) 「ヤフーBBの顧客情報6500件流出 最大8万6000件流出か」 Yahoo!のトップページには謝罪文一つ載っていない。
2003年12月13日(土) 「我々を今すぐ家に帰してくれ!」「我々は石油と企業の欲望のために死ぬのか!」(米軍兵士)
2002年12月13日(金) 中高年男性の自殺が急増「防止マニュアル」作成へ 待っていられないのでうつ病の症状をここに記す。