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JIROの独断的日記
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2007年06月02日(土) 「米大統領、『温暖化対策で地球規模での長期的削減目標を』」←京都議定書を離脱しておいて、偉そうですなあ。

◆記事:米大統領、温暖化対策で「地球規模での長期的削減目標を」

【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は31日、ワシントン市内で演説し、

地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出削減について、

主要8か国(G8)に中国やインドなどを加えた大排出国計15か国を集めた会議を今秋、米国で開催し、

「来年末までに地球規模での長期的削減目標を定める」と表明した。 

産業界も巻き込んで環境技術を開発、普及する重要性も強調した。温暖化対策に消極的と批判されてきたブッシュ政権が、

温暖化を焦点とする主要国首脳会議(独ハイリゲンダム・サミット)を前に、

一定の国際的リーダーシップを発揮する形となった。

大統領は「米国は、2012年に京都議定書が期限切れになった後の枠組みづくりで他国と協力する」と表明、

これまで反対してきた長期削減目標を容認する方針を明示した。(6月1日1時38分配信 読売新聞)



◆コメント:京都議定書とは何か。

京都議定書の内容が決議されたのは10年前、1997年です。米国の歴史ではクリントン政権のときです。

締結国は、二酸化炭素を始めとする六種類の温室効果ガスの排出量を、1990年を基準として、

2008年から2012年までの期間に、それぞれの国に割り当てられた目標分だけ、削減することが決められました。

EUは8パーセント、アメリカは(締結したら)7パーセント、

日本・カナダ・ハンガリー・ポーランドは6パーセントです。

だから、日本では「チームマイナス6パーセント」などと云っているのです。



◆京都議定書の発効(条約として法的効力が発生すること)条件。

但し、決議されただけです。これには84カ国が「署名」しました。

アメリカも署名はしているけれど、「締結」していない。

京都議定書が「発効」する条件が京都の会議では決められていました。

1.55カ国以上が締結すること。

2.議定書を批准した先進国(付属書1国、といいます)の1990年の二酸化炭素排出量が、先進国全体の55%以上に到達すること。

でした。

条約を締結するときには、署名の後、国家としての意思を正式に表明する手続きが必要で、これが「批准」です。

日本では条約(議定書も条約の一種です)の批准は内閣が行うけれども、国会の承認を必要とします)。

二国間条約なら、批准書を取り交わす、ということになりますが、京都議定書は国連に文書を提出します。

批准をして、初めて京都議定書の「締結国」になります。

締結国数はさほど問題ないけれど、問題は2でした。

世界最大の温室効果ガス排出国アメリカと排出量3番目のロシアが批准しない(従って締結しない)のです。



◆世界最大の温室効果ガス排出国はアメリカだが、京都議定書を離脱したのです。

上で述べたとおり、世界で最も多くの温室効果ガスを排出しているのはアメリカであり、

何と、1国で世界全体の20パーセントをしめています。こちらの資料↓を見て下さい。

これはCO2に限っていますが、世界の二酸化炭素排出量−国別排出割合−(2004年)

一目見れば明らかなとおり、アメリカと中国とロシアに「何とかしろよ」と云うのが世界の本音です。

日本は減らさなくて良いとは云えないけれど、世界第二位の経済大国なのに、CO2排出量が世界の5パーセントに過ぎないのは、

大したものだと思います。温暖化が懸念されるよりも前から「省エネ」という概念が普及していためだと思われます。

ところが、京都議定書が議決された四年後、アメリカ合衆国大統領になったブッシュは、

アメリカは京都議定書から離脱する、といいました。

理由は、「温室効果ガスと地球温暖化との因果関係に関する科学的根拠が希薄だ」というものでした。

しかし、ブッシュ政権は大統領も副大統領も石油会社を経験したことがある、「石油・石炭利権政権」でした。

大統領就任後、ブッシュはよりによって石油石炭の火力発電所を増やすエネルギー政策を打ち出しました。



◆世界最大のCO2排出国が「地球規模での長期的削減目標を」って。てめえが減らせってんだよ。

京都議定書が発効したのは2005年2月です。

それまで渋っていたロシアが議定書に批准したため、京都議定書発行条件2を満たしたからです。

それはいいのですけれども、最も真剣にCO2を減らして欲しいのは、アメリカ、そして中国です。

ブッシュ政権はCO2と温暖化の因果関係に科学的根拠がないという大義名分の元に、京都議定書を批准しなかったのです。

その後、2001年1月に発表された、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書

が、明確に(少なくとも素人には反論できないぐらい理路整然と)因果関係を認めたので、国際世論が変わり始めました。

アメリカは温暖化に関して(他の問題はここでは保留します)国際社会から白眼視されていることをわかっているので、

自分が主導して、「地球規模での温室効果ガス削減目標を決めよう」と呼びかけて誤魔化そうと言うわけです。

他国は外交的配慮から、表向きは米国の提案を「歓迎する」などと言っていますが、内心はどうでしょうね。

「てめえ、京都議定書無視しといて、よくも、いけしゃあしゃあと偉そうなことが言えるな」


と思っているのではないでしょうか。少なくとも私はそう思っています。



◆【クラシック音楽】バッハ無伴奏ヴァイオリンの為のパルティータ2番よりジーグ

特に理由はありませんが、時々非常に聴きたくなります。




ダウンロード ViolinPartita2BWV1004.mp3 (4022.2K)




美しいと思います。



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