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2006年11月10日(金) |
「テロ対策特措法の改正案が成立 3度目の期限延長」時限立法がほとんど「自動継続」 |
◆記事:テロ対策特措法の改正案が成立 3度目の期限延長へ
11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法を1年間延長する同法改正案は27日午前の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。
これを受けて政府は31日の閣議で、インド洋への海上自衛隊の派遣期限を11月1日から5月1日まで半年間延長する基本計画を決定する方針。
米英両国などはアフガニスタンでのテロ掃討作戦の一環として、インド洋で武器や麻薬などのテロ関連物資がテロリストの手に渡るのを防ぐ海上阻止活動を行っている。
テロ特措法は海自の補給艦、護衛艦各1隻がインド洋で外国艦船に洋上給油活動を行うための根拠法となっている。
テロ特措法は2001年(平成13年)9月の米中枢同時テロを受け、2年間の時限立法として同年10月に制定された。
15年に2年間、昨年10月にさらに1年間円延長しており、今回の延長は3回目となった。(10/27 11:20)
◆コメント:当初成立時に違憲ではないかとの反対論を押し切って成立した時限立法だった。
テロ特措法の何たるかは、内閣がこの法案(の延長)を閣議決定した10月6日に、詳しく書いたのでご参照頂きたい。
この法律は、もともと、2001年10月から2年間の時限立法だった。
期限が来る度に延長して今回は3回目である。
要するに、911テロの後、犯人はアフガニスタンに潜むテロリストであるとアメリカが主張し、テロリスト殲滅を宣言した。
小泉はブッシュの機嫌を取るために、テロ特措法を強行採決した。
同盟国アメリカが戦闘行為を行うのを後方支援しているのだから、この法律は違憲である。
「後方支援」とは具体的には、何をしているかというと、対テロ闘争を続けている(ことになっている)外国の軍艦に、
海自の艦船が、無料のガソリンスタンドの役割を果たしているのだ。
9月28日の段階で、給油対象国11カ国、給油回数681回、要したコストは100億円以上にもなっている。
◆政府インターネットテレビで安倍首相がにこやかに説明しているのを聴いてみる。
首相官邸ホームページの中に、政府インターネットテレビがあり、1chのライブトーク官邸は、週に一度更新され、
安倍晋三内閣総理大臣が国民に親しみを込めて語りかけている。
最新のライブトークでは、テロ特措法について、「一応」説明している。その、冒頭を文字に起こしてみる。
こんにちは、安倍晋三です。
9.11テロ事件から5年が経ちましたが、テロとの戦いは今も続いています。
今日は世界の平和のために、日本がどのような貢献をしているのかについて、お話をします。
- インタビュアー(以下Q):テロ対策のための法律が延長されましたね。
- 安倍首相(以下、A):はい。国会で、テロ対策特別措置法が成立しました。これを受けて、これを受けて政府は、インド洋に派遣している海上自衛隊の活動を延長することを決めました。各国は協力して、アフガニスタンを拠点に活動を続けるテロリストを取り締まっています。
- Q:海上自衛隊はどのような活動をされているのでしょうか?
- A:インド洋で、テロリストの取り締まりに当たる各国の艦船に、海上で燃料を補給しています。艦船を港に戻すことなく、燃料を補給することができるので、取り締まり活動に欠かせない役割を担っています。洋上の気温は40度。甲板の上では70度以上となり、目玉焼きができるほどだそうです。そうした厳しい環境の中で任務にあたっています。
(以下、観艦式の感想なので、省略)
音声だけをアップする。
エンピツをお読みの方はこちらからお聞き下さい。
せいぜい4分程度なので、読者もご自身でお聞きになることをお勧めする。
◆日本が支援している諸国のアフガニスタンでの成果、燃料補給に要したコスト、いつまで延長を続けるつもりなのか、等に関して説明がない。
お聞きになればわかるとおり、安倍首相の説明は、当然ながら、政府に都合の悪いことには触れないで、
「厳しい環境の下、海上自衛隊の自衛官がいかに頑張っているか」、という「美談」に終始している。
しかし、アフガニスタンを拠点とするテロを取り締まっている、というが、
具体的には如何なる成果を各国の軍隊は達成しているのか、全く分からない。
上で私が書いた100億円もの費用が税金で賄われているのに、その件にも全く安倍首相は言及していない。
911テロ直後はウサマビンラディンがアフガンに潜んでいるといい、アメリカの派兵の中心はアフガニスタンだった。
今は一体何の意味があるのか。アメリカの活動が泥沼化しているイラクが問題で、
アフガニスタンのテロリストの話など、ずいぶんと長い間聞いたことがない。
「アフガンテロを取り締まる各国の艦船に無償で燃料を補給すること」が日本の国益に即しているのか。
◆外交的駆け引きとしても稚拙である。
私は、交戦中の同盟国の後方支援が違憲であるという立場を絶対に変えない。
が、百歩譲って、というか、あくまでも仮定上の話として、私が海自のインド洋派遣に賛成したとして考えても
(くどいようだがこれは、仮定であり、実際に私が賛成することは、ない)、
テロ対策特別措置法を、あたかも定期預金か何かの自動継続のように簡単に延長するのは、
外交的な駆け引きの観点からも、愚の骨頂だと思っている。
日本の海上自衛隊から給油を受けている艦船は、今や日本の燃料補給を「当然、そこにあるもの」と見なしているに違いない。
人間最初は他人の親切に感謝するが、すぐに忘れる。
適当な例えかどうか分からぬが、「青空文庫」を利用している人は大勢いるが、皆、無料であることを当然と考えているので、
青空文庫に礼状を出したり、せめてものお礼として幾ばくかでも、お金を贈る人はまず、いないだろう。
問題となっている分野は全く異なるが、自衛隊による各国への無料燃料補給も、人間心理としては、同一である。
安倍晋三内閣総理大臣は、しきりに世界に貢献しているというが、世界は「日本が貢献している」と認識しているか、甚だ疑問である。
それどころか、こういうことをすると、世界にナメられる。
日本は、「時限立法なのだから、期限が来たら、海自の補給艦は一旦引き揚げる」と宣言して、
実際に一旦、海自の艦船を全て帰国させるべきである。
その上で、国民に、今までの活動実績(燃料を補給した相手国、回数、量。相手国からの反応)を報告し、
国会で、活動継続が必要か否かを十分に議論した上で、今後の方針を決定するべきである
(これは、一般論であり、私は、何度でも書くが、海自の活動は違憲であり中止するべきだ、と考えている)。
こうすると、今まで燃料補給を当たり前だと思って受けていた諸国も、有難さがわかるだろう。
安倍晋三内閣総理大臣は日本を世界に誇れる国にするために、自衛隊の海外派遣が必要だ、と考えているようだが、
現実には、海自による燃料補給は、全く逆の効果をもたらしている可能性すらあるのだ。
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