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JIROの独断的日記
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2004年11月10日(水) 「『成功させないといけない』=ファルージャ総攻撃、小泉首相が支持」 一般市民が殺されているのですが・・・。

◆記事1:市中心部制圧の勢い ファルージャ攻防続く ザルカウィ容疑者らは逃亡。(共同通信)

 

【ワシントン9日共同】イラク中部ファルージャの中心部に到達したイラク駐留米軍とイラク部隊は10日、武装勢力と激しい市街戦を続けた。米軍などは北と西の3方面から進撃しており、現地司令官によると、中心部を含む同市北半分を制圧する勢い。

武装勢力は押される形で南部に集結し反攻の構えで、戦局の焦点は南部攻防戦に移った。ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ容疑者らは逃亡したもよう。 米軍は現地時間9日午後6時半(日本時間10日午前零時半)現在、米兵10人とイラク兵2人が死亡したと発表した。


◆記事2:「成功させないといけない」=ファルージャ総攻撃、小泉首相が支持

 

 小泉純一郎首相は9日午前、イラク駐留米軍などによるファルージャ総攻撃について「成功させないといけない。治安の改善がイラク復興のカギですから」と、事実上の支持を表明した。

その理由として「テロリストグループが混乱させようと動いていますから」と指摘した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 政府は、武装組織との戦闘がイラク全土に及ぶ可能性はないと判断。サマワで活動する自衛隊撤退などは考慮しない方針だが、首相の踏み込んだ発言は今後、波紋を呼びそうだ。(時事通信) - 11月9日13時2分更新


◆記事3:本日の国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)の議事録(私が衆議院TVから起こした暫定版)

民主党 岡田代表:次にイラク戦争、自衛隊派遣の問題について、時間も非常に限られておりますが、申し上げたいと思います。

 まず、総理はファルージャにおける米軍の攻撃に対して、これを「成功させなきゃいけない」と云われました。

 私は、この言葉も非常に違和感を感じました。

 ファルージャの人口は30万と云われています。前回4月の戦いでは800人の市民が命を落としたと伝えられています。市街戦ですから。今回は空爆もやってますし、多くの市民の犠牲が出る可能性がかなりあります。

 そういう中で、簡単に、こういった問題について、それを「賛成する」とか「支持する」、そういう風に断言して良いのか。やはり命を落とす市民のことも考えながら、もう少し違う言い方があったんじゃないか、そう言う思いが私はひじょうにするわけですが、総理はその点、いかがでしょう?

小泉首相:私は、イラクの暫定政府がファルージャにおける治安の回復というものを、重視している。そして、来年1月の選挙に向けて、ファルージャにおいての武装勢力、何とか選挙を妨害しようとする勢力、テロリストグループ、これを排除しようという強い意志を固めて、今回、非常事態宣言をしてファルージャの作戦を展開している。

 この作戦というのは、治安を回復するために、極めて重要だと思っています。だからこそ、これは、成功させなければいけない。成功させない、失敗すると云うことは、あの地域が、謂わば、武装勢力、テロリストグループの拠点になってしまう。

 1月のイラクの議会を作るための選挙の支障となる。だからこそ成功させなければいけない。

 また、「成功させなければいけない」という言い方がいけないと岡田さんは批判しますが、「失敗してもいい」なんて、云えるわけ無いでしょう。「成功させなければいけない」といってはいけないのでしょうか? 治安回復のために成功させなければいけない、と私は今でも思っていますよ。「成功させなければいけない」っていう、違う言い方は、どういう言い方が適当なのでしょうか?


岡田代表: 総理は議論をすり替えておられるのですよ。

 問われているのは、こういう市街戦という形でファルージャの街に2万人の兵力を投入して、そして攻撃をすることがいいことかどうかが問われているんですよ。

 総理は「攻撃がある」ことを前提にして、それは攻撃があることを前提にすれば失敗するのは困る、そりゃ、そうなるでしょう。しかし、攻撃そのものが問われているんです。

 そして、総理はイラク暫定政府のアラウィ首相の発言を引用されますが、しかし、一方で大統領は何といっていますか?

 大統領は、ファルージャをこういう形で攻撃することは、「馬の上にとまっているハエを拳銃で撃ち落とすようなものだ。馬は死んでしまう。ハエは逃げる。」
 現実に今、そうなりつつあるじゃありませんか。テロリストグループはもう既に逃げている、そういう報道があるじゃないですか。つまり、こういうやり方が本当に良かったのかどうか、そのことが、問われているんです。わたくしは、そのことを申し上げているんです。


◆記事4:議事録続き、自衛隊のイラク派遣に関して

岡田代表:そこで、自衛隊のサマワにおける活動について、総理は「サマワは『非戦闘地域』である」と云われました。「非戦闘地域である」と断定された、その根拠は何なのでしょうか。

小泉首相: 根拠といえば、「戦闘が行われていない」だからこそ「非戦闘地域」である。

岡田代表: じゃ、総理、お訊ねしますが、その議論の前提としてイラク復興支援特別措置法における「非戦闘地域」の定義を言ってください。

小泉首相:イラク特措法に関して言え、と。法律上。ということになればですね、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」なんです

岡田代表:私は、イラク特措法における「非戦闘地域」の定義を言ってくれ、といったんです。

小泉首相:それは、定義は文書を持ってくればすぐに言えますよ。でも、党首討論ですから、考え方を言っているんです。私はイラク特措法というのは「自衛隊が活動するところが『非戦闘地域』である」これが、イラク特措法の趣旨なんだということです。

岡田代表: 総理、この問題については、私は前に一度総理に官邸で申し上げたことがあるんですよ。

「非戦闘地域」の定義は、「現に戦闘行為が行われておらず」、ここまでいいですね?「かつ、そこで実施される活動の期間を通じて」つまり、1年間です。「戦闘行為が行われることがないと認められる地域」なんです。

 ですから、私が総理に訊いたのは、これから一年間、サマワにおいて戦闘行為は行われない、と、そういうふうに言う根拠は何ですか、と訊いているんです。どうです?


小泉首相: それは将来のことを100%見通すことはできません。「非戦闘地域」でなくなった場合には、これは、自衛隊は、特措法に基づいて、撤退しなけりゃならない。しかし、「特措法上の定義について何か」と問われたから、「自衛隊の活動している地域は非戦闘地域である」これは、法律の趣旨なんだと。将来、「組織的、計画的、継続的に戦闘が行われるかどうか」これは将来、100%いつ、どうなるか、断言することは出来ません。しかし、はっきり申し上げますが、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域なんだ」これがこの法律の趣旨です。

岡田代表: まあ、まともに議論する気が段々無くなっていくんですが、総理ね。このイラク特措法の中で「非戦闘地域」について敢えて「将来戦闘行為が行われることが無いと認められる地域」と書き込んだのには、非常に思い意味があるんですよ。

 そして、この定義は政府がお作りになったんですよ。総理がお作りになったんですよ。さっき総理は今戦闘行為が行われていないと言われましたが、しかし、本当にこれから一年間、新たに、自衛隊が12月14日以降派遣されて、1年間戦闘行為が行われない、という説明が総理はできなかったじゃなですか。そうであれば、これはやっぱり、法律上「非戦闘地域」と言えないのです。

 だから、私達は、12月14日以降、引き続き自衛隊をイラクに派遣することには、法律上の問題がある、といっているんです。そして、この法律のこの部分は憲法につながる話ですから。憲法上の疑義もある、そのことを申し上げているわけです。

 それでは、もう一つ申し上げたいと思いますが、自衛隊員の皆さんの安全の問題です。時間もないのでまとめて申し上げますが、まず、8回にわたる迫撃砲又はロケット砲の攻撃がありました。そして、一番最近のロケット砲は鉄製のコンテナを貫通するほどの危険な状態だったということを言っておきます。
 同時に今まで自衛隊を守っていたオランダ軍が来年3月15日をもってサマワ又はムサンナ州から撤退する可能性が高い。そのあと、どうするのでしょうか。一体誰が自衛隊を守るのでしょうか?(後略)。


◆コメント1:ファルージャ総攻撃に関して。既に主たる目標は既に逃げたというのに・・。

 

 ファルージャ総攻撃を行うのは、ここにいわゆる反米武装勢力の中でも最も凶悪なザルカウィ派の拠点になっているからだという理由によるのだが、もともとはファルージャが特別に凶悪な街なのではなく、今でも、30万人の一般人が暮らしているところなのである。

 そのなかに、テロリストグループが潜んでいるからと言って、街全体を2万人の兵力で囲んで総攻撃を加えている。どこにテロリストがいるか、正確には分かっていないので、無茶苦茶に町中を砲撃、銃撃している。

 しかし、ファルージャ総攻撃が行われることは、遙か離れた日本の一般新聞にも何日も前から載っていたほど知れ渡った情報である。ザルカウィ派が知らない訳が無いし、おめおめと捕まるわけがない。案の定、記事1では、すでにザルカウィ派は逃亡した後だという。それにもかかわらず、米国のラムズフェルドはファルージャが全滅するまで攻撃するようなことを言っている。無駄ではないか。これ以上のファルージャ攻撃は一般人を殺戮することを目的としている、と見なされても、抗弁できまい。


◆日本の新聞は、肝心な時に現地の悲惨な写真を載せないな。

 

 日本の新聞はいつもロイターやAPの写真を載せているくせに、こういう時にはどうして、現地の写真を載せないのだろうか。もっとも、今のファルージャには西側のマスコミは英国のThe Times(アメリカの雑誌のTimeではない)の記者しかいないらしい。それでもアルジャジーラの英語版はインターネットですぐにチェックできる。

 この画面を一目見れば分かるだろう。子供が殺されている。'Scores of civilians' killed in Falluja(ファルージャで市民の死者多数)という見出しである。

 記事は、9歳の男の子が銃弾に斃れ、血を流しながら死んでいくのを、父親は、ただ見ていることしかできなかった。通りでは銃撃戦が繰り広げられている上、テロリストが怪我の治療を受けられないようにするために、米国軍がファルージャの病院を占拠して、誰も入れないようにしているからだ、という。何という残虐な行為であろうか。

◆【追加】(08:21)治療受けられず死亡相次ぐ。イラク・ファルージャ住民。米軍の制圧作戦で病院機能が停止。電気水道も止まったまま。(今朝の産経新聞速報より)

 繰り返すが、ザルカウィ派が逃げてしまったことは、既にほぼ明らかである。戦闘員でない、一般市民を殺傷することをテロリズムというのだ。従って、今やファルージャでは、米軍自身が「テロリスト」になっているのだ。

 記事3を読んで頂ければ分かるが、今日の党首討論で、小泉首相は、「ファルージャ攻撃が成功しなければならない、失敗しても良いと言えるか?」などと、例によって的はずれの頓珍漢な答弁をしているが、民主党の岡田代表がいうとおりで、この作戦自体が、人道上問題である。

 平和国家を標榜する日本の宰相が、イラクの一般市民が殺されている、今回の攻撃計画を肯定するべきではない。


◆コメント2:国会答弁を読むと、小泉首相の非論理性がよく分かる。

 

 衆議院のホームページをみると、審議の模様がオン・デマンドで見られる衆議院TVというセクションがあり、記事3と記事4は今日の党首討論を私が文字に起こしたものである。いずれ、議事録として、衆議院のサイトに掲載されるが、時間がかかる。待っていられないので自分で文字にしたのである。プロの仕事ではないので、多少、読みにくいかも知れないが、首相の発言を活字で一字一句確認すると、下手なマンガやドラマより、余程面白い。

 「自衛隊が活動するのが非戦闘地域、これが、この法律の趣旨」というのはすごい。この人の頭はどういう構造なのであろうか。

 また、岡田代表が指摘しているとおり、イラク復興支援特別措置法は、政府与党が強行採決で成立させた法律であり、そこでは、自衛隊が活動するのは、「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域、と規定しているのにもかかわらず、小泉首相は、「将来何が起きるかはわからない」と自分で作った法律に根本的な問題があることを自ら認めている。しかも、そのことに気が付いていない。

 私は、過去にこの日記で何度となく、小泉純一郎内閣総理大臣は論理的思考が出来ない人だと書いたが、その意味がおわかり頂けるのではないかと思う。論理が無く情緒的な選択で政策を決定するから、こういう問題(自衛隊を派遣してしまい、引っ込みが付かない。現地はますます危険になっている)が生ずるのである。


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