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2005年08月17日(水) |
何が「刺客」だ。選挙戦の本質は政策論争だろう。真面目にやれ。小泉。マスコミ。 |
◆議院内閣制では、内閣は議会の信任(賛成)を得なければならない。
一体、小泉純一郎は議院内閣制を何と心得ているか。
議院内閣制とは、「議会の信任を、行政府である内閣存続の必要条件とする統治の仕組み」である。
そもそも、アメリカの大統領制と異なり、日本では、内閣は国会に対して連帯して責任を負う。
行政権は内閣に属する(日本国憲法65条)のであり、内閣総理大臣が一人で勝手に何でも決めてはいけない(アメリカでは行政権は大統領に属する。小泉首相は、自分を大統領と勘違いしているフシがある)。
内閣総理大臣は国会が指名するのである(日本国憲法67条)。
これが、議院内閣制である。
繰り返すが、内閣は、国会の信任を得なければならない。
何か政策を実行するときには、事前にその「案」を国会に説明し、国会が納得し、採決し、賛成しなければ、その政策を実行に移してはいけないのである。
普通ならば、議会の多数党(自民党)の党首が内閣総理大臣なのだから、スムーズに事が運ばれるのだ。
今回の政変が普通ではないのは、小泉首相は自民党党首だというのに、郵政民営化に関して、自分の党からさえ、反対者が続出したということである。
繰り返すが、これは、議会の信任が得られていないのであるから、ここは謙虚に、郵政民営化法案を初めから考え直さなければいけなかったのだ。
◆ところが、議会の多数党(自民党)が賛成しないのが「けしからん」という発想になっているのが、小泉首相なのだ。
議会の信任を得られないのであるから、郵政民営化法案に不備があるのではないか、と、考えなければならないのに、小泉首相は、絶対君主の如く、「自分の案は絶対に正しい。反対した、議会(国会)のメンバーが悪い」という考え方をしている。
根本的に間違えている。
◆衆議院選挙をするからには、国政全般に亘る公約を提示するべきなのに、「郵政民営化の是非を問う選挙だ」というのは誤りだ。
衆議院の機能は参議院よりも優越している(衆議院の優越)。衆議院の意思は参議院のそれに優越するのだ。
衆議院は、国政全般に重大な責任を持っている。
衆議院選挙を行うときは、従って、各党は有権者に対して、日本国をどのように導こうとしているか、様々な分野に関して提示しなければならない。
「郵便局」だけで、衆議院選挙の投票が決せられてはいけない。
◆北朝鮮拉致、憲法改正、景気対策、年金、教育、福祉に関して、小泉首相は何も言わない。
自民党のホームページに行くと、なるべく目立たないように、「小泉改革宣言」が掲げてある。
私が特に気になるのは、北朝鮮日本人拉致問題の早期解決を目指す、と言う項目だが、1年9ヶ月前の衆議院選挙、昨年7月の参議院選挙のときから、全く事態に進展が無いのは周知の通りである。
◆炎天下、経済制裁を求めて、72歳の横田滋(めぐみさんの父君)らが5時間も抗議の座り込みをしたのに、平然としている小泉君。
6月24日、一向に動こうとしない政府に業を煮やして、北朝鮮による拉致被害者家族が、経済制裁の発動をもとめ、国会前で5時間にもわたって座り込みの抗議行動を行った。
横田めぐみさんの父、横田滋さんは72歳である。こんな事をして、身体によいわけがない。
ご本人は、自分の命が縮んでも良いから、娘を北朝鮮から取り返してくれ、と訴えているのである。
ところが、このときの、小泉首相のコメントは
「家族はつらいでしょうが、経済制裁すれば解決するという状況では現在ない。よく関係国の判断を尊重して協力していかないといけない」と記者団に語った。 (毎日新聞) - 6月24日12時56分更新
「経済制裁すれば解決すると言う状況ではない」のなら、どういう状況であるのか、内閣総理大臣として説明すべきだ。
北朝鮮なんて、国力が日本の200分の1しかない、その気になれば一捻りで潰せる国なのだ。 経済制裁が出来ないなら、どういうほかの方法があるのですか?
私には、この問題の方が、郵便局よりも遙かに重大だと思うが、小泉首相は全く関心が無い。
誘拐された同胞を救おうとしないで郵便局に熱中している男が宰相としてふさわしいのか?どうして、支持率が50%もあるのか。神秘的である。
◆景気が良くなっている、と新聞はプロパガンダ報道をするが・・・。
本当に景気は良くなっているのだろうか。
生活保護を受給者はこの5年で10万人から14万人に増えた。
自殺者は7年連続3万人を超えている。こんな先進国は、世界の何処にもない。
8月12日に今年4-6月期にGDP(国内総生産)速報値が発表された。
実質GDPは前期比+0.3%(年率換算+1.1%)。
名目GDPは前期比+0.0%だった。
実質とは「量」であり、「名目」とは金額である。
インフレの時には、経済活動の規模、モノやサービスの生産量が増えなくても、物価の上昇により、自然にもうかる。だから、名目GDPを物価上昇率(GDPデフレータ)で割って、正味の経済活動の成長はどれぐらいかを見る必要がある。インフレの時は確かに実質GDPに注目するべきである。
しかしながら、今の日本は、10年もデフレ(deflation=モノ・サービスの価格が下がり続けること)なのである。大事なのは、実際のもうけが増えること。つまり、「名目GDP」が増えているかどうかなのだ。
ところが、今年の4-6月期の名目GDP成長率はゼロ。
実質は年率換算1.1%増えている(生産量は増えている)のに、名目(金額=もうけ)が増えていない。デフレが止まっていないということである。
しかし、新聞各社は経済専門紙の日経まで、あたかも政府の機嫌を取るかのように、実質GDP成長率ばかり取り上げて、「3四半期連続のプラス!」などと、さも良いことが起きているかのごとき錯覚を国民に与えている。
アホか。GDPデフレータが前年同月比マイナス0.8%じゃ、何も意味は為さない。
小泉君はしきりに景気は回復していると思うが、不況の根源であるデフレはいまでも進行していることに着目するべきだ。つまり、小泉政権の経済政策は失敗なのだ。
◆このようなことが選挙の時には話題になるべきで、誰が誰の「刺客」か、などとふざけるんじゃない。マスコミも小泉の悪ふざけを煽るな。
今まで述べたように、選挙における投票行動は、様々な要素を考慮するべきなのである。
決して、郵政民営化一点に注目してはいけない。
ましてや、郵政民営化に反対した自民党議員に小泉首相が「刺客」を放つなどということは、選挙をオモチャにして遊んでいるのであり、言語道断だ。
それなのに、マスコミは、政策やマニフェストを取り上げても、大衆には難しくて視聴率が取れないから、亀井の刺客に東ちづるが出るらしいとか、下らないことばかり伝えている。
自分たちの使命は何か、をよく考えろ。 物事の軽重を理解出来ないのか?
◆郵貯だけで自民党支持するととんでもないことをやるぞ。
いい加減、国民は経験から学ぶべきだと思うのだが、小泉純一郎君は一旦選挙に勝つと、十分検討してから行うべき事を、独裁的にいきなり実行してしまう傾向がある。
2003年11月9日の衆議院選挙で、公明との連立与党で、絶対安定多数を確保したら、国会でろくに議論もせず、12月9日自衛隊イラク派遣をいきなり閣議決定した。
また、最も最近行われた選挙は、昨年7月の参議院選挙であったが、そのときには、増税の話など全く公約になかったのに、先日の国会でサラリーマン増税を決めた。
今回、たまたま、こういう展開になり衆議院選挙があったのは、幸いである。
ここで、はっきり、小泉政権は支持しないという国民の意思を表さないと、増税、国民の医療費負担の増加、障害者援助のカット。北朝鮮問題は打ち切り。憲法改正など、やりたい放題のことをやるだろう。
以上の点をよく考えて、9月11日に(また、随分縁起の悪い日を選んだものだ。911テロの日でしょ?)投票しましょうね。
2004年08月17日(火) 「シドニーの後、倒立からやり直した」(塚原直也)
2003年08月17日(日) 「親父さんたちは弱虫なんかじゃないっ!」(「荒野の七人」のチャールズ・ブロンソン)