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JIROの独断的日記
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2005年05月17日(火) 不世出の名手、モーリス・アンドレ(クラシック・ソロ・トランペット奏者)。

◆モーリス・アンドレのことなら、何度でも書きます。

 

 このところ、列車事故の話を書いていて、次第に気持ちが鬱々としてきたので、好きな音楽の話題を書きたいのです。

 モーリス・アンドレと言う人物は、フランスのトランペット奏者です。

 過去に、何度もこの場で書いたのですが、トランペットとモーリスアンドレの演奏は私がこの世で最も好きなものの一つなのです。何度も書かざるを得ないのです。

 何度書いても、音楽はやはり、聞いていただくしかない、と分かっていながら、書かないではいられない。

 5月21日がアンドレの誕生日なのですが、そのときにまた事件・事故等があると書けなくなるので、書けるときに書いておきます。



 「不世出の名手」という表現があります。以前、この表現を用いたら、「不世出?モーリス・アンドレ、メチャメチャ有名ですよ?」とレスが来て、呆気にとられました。「世に出ていない」という意味に勘違いしたらしいのです。 

 「不世出の」とは、「滅多に世に現れないほど秀でている」という意味です。

 モーリス・アンドレこそ、間違いなく、「不世出の名手」です。何十年か100年に一人出るかどうかの天才的なトランペット奏者です。


◆トランペットの高音が柔らかいのです。

 

 トランペットは音が大きい楽器です。

 100人のフルオーケストラがff(フォルティッシモ)で音を出したとき、第一ヴァイオリンの2列目の人の音は聴き取れませんが、トランペットの音は全オーケストラを突き抜けてきます。勿論pp(ピアニッシモ)で吹けば、オーボエやフルートの音の陰に回ることができます。


 モーリス・アンドレは勿論ffもppも出せます。

 出せるのは当たり前ですが、最弱音から、最強音までの音量の差(ダイナミックレンジと言います)が非常に広いのです。

 トランペットの高音の大きな音は、下手な人(私のような者)が吹くと、金属的で、刺激的、つまりうるさいのですが、アンドレは、もの凄い高音域を吹いても、柔らかい音がします。ココがすごいんです。



 トランペットと言ってもいろいろありまして、映画になった「スウィング・ガールズ」。ああいうのは、ジャズのビッグバンドと言います。

 それから所謂「ブラスバンド」、皆さんの中学や高校にも有ったと思いますが、「吹奏楽」ですね。

 彼らは、全て「Bフラット管」という楽器、一種類しか使いません。

 詳しく説明すると長くなるので簡単にいいますが、この楽器は楽譜上の「ド」を吹くと、実際には、「シのフラット」、つまり一音(長二度)低い音が出ます。

 こういう楽器は、他にもホルン、クラリネット、サクソフォーンなどがあります。移調楽器といいます(全てがBフラットではありません。クラリネットはBフラットもありますが、A管、つまり楽譜上の「ド」を吹くと、一音半低い「ラ」の音が出る楽器があります。他にもあります)。

 とにかく、ジャズ、ブラスバンドのトランペットはBフラット管だけでいいのです。

 クラシックのオーケストラや、ソロでは、何本も使い分けます。調性がいろいろです。

 勿論、Bフラットの楽器一本あれば、全ての音階を吹くことが出来ますが、楽器が良く鳴る調(キー)と鳴らない調があるのです。それで、いくつかを使い分けます。


◆ピッコロトランペットの神業

 

 クラシックのオーケストラのトランペットはBフラットの他にC管(これは楽譜上の音と、実際に出る音が同じ)、D管(一音高い音がでる)などを使い分けます。

 モーリス・アンドレは、更に高い音域の楽器を用いるのです。Bフラット管は吹きません。まず吹かない。

 何故なら、彼がレパートリーの中心にしているバロック音楽は、ピッコロ・トランペットと呼ばれる、普通より音域が高い楽器を用いた方が、音楽に合うのです。

 一番音域が高いのは、ピッコロBフラット管といいまして、普通のトランペットよりも、一オクターブ高いのです。

 これを演奏するのは、本当にしんどいし、難しいのです。

 バッハの「ブランデンブルク協奏曲第2番」は、このピッコロB♭で吹くのですが、これを、いつでも吹けますよと言う人はプロでもあまりいないのです。

 しかし、モーリス・アンドレは実に簡単そうに演奏します。どの楽器でもこれが名人の特徴です。 難しい曲なのに、易しそうに聞こえるのです。無駄な力が全身から脱けている証拠です。



 最近は、セルゲイ・ナカリャコフという、ロシアの天才的な坊や(もう、「青年」になってしまいましたけど)が登場したり、上手い人は大勢いますが、彼らとて、モーリス・アンドレの演奏に影響を受けなかったということは、あり得ない。

 モーリスアンドレがいたから、クラシックのソロトランペット奏者、などという地位が確立されたのです。(その前に、アドルフ・シェアバウムがいた?詳しいですね、貴方。分かってますから。はい。)


◆おすすめCD

 

 一枚目。これは、今年の2月5日にお奨めしたのですが、トランペット・ヴォランタリー(トランペットとオルガンのための音楽)、です。

パイプ・オルガンとトランペットは非常に音色の相性がいい。古い録音ですが、殆ど古さを感じさせません。

 このCDは、読者のuyouyoさんが絶賛してくださいました。

 トランペットを吹く方でなくても、喜んで頂けて、非常に嬉しかったです。

 二枚目は、ベスト・オブ・モーリス・アンドレというのです。一枚目に紹介したのと重複する曲もありますが、なんか、編曲もあるし、ハイドンの協奏曲の第一楽章だけとか、ごちゃ混ぜ。オムニバスっていうんですね。こういうCD。けれど、演奏が上手いことは間違いない。かなり楽しいです。

 最後は、アメリカのAmazonのサイトに行って頂きます。

 二枚組で、Trumpet Concertos(トランペット協奏曲集です。

 正確にいうと、トランペット協奏曲ばかりではなくて、例えば、以前紹介した、バロック時代のヴェネツィアの作曲家、マルチェルロのオーボエ協奏曲をトランペットで吹いています。

 しかし、バロックの頃というのは、楽器の指定が今ほど厳密ではないので、いいのです。

 例えば、バッハもバイオリンの曲をチェンバロという鍵盤楽器用に自分で編曲したり、色々なことをやっています。

 アメリカのAmazon、つまり、本家ですね。このサイトはご覧になれば分かりますが、CDを試聴出来るのです。

 一番目の曲がブランデンブルグ協奏曲第二番です。

 上から三番目が第三楽章。これを聴いてみてください。

 いきなりトランペットの細かい音の動きで始まります。先ほど書きましたが、易しそうに聞こえますが、実はものすごくテクニックが必要な曲なのです。

 ご参考までに、海外から取り寄せるときのコストですが、これは、ほぼ、14ドルですから、円換算すると約1,500円。

 送料がざっくり言って1,000円です。10日ぐらいかかります。4日ぐらいで取り寄せると、送料が19ドルを超えます。送料だけで2,000円以上するということです。

 ですから、無理にアメリカから取り寄せることはないですけど、試聴が出来るというので、書いて見ました。

 とにかく、これが、超一流のトランペットの演奏であることは、間違いありません。


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