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2005年05月05日(木) |
心のケア相談100件超す 救急隊員も」「脱線事故で家族失った小中学生24人、心のケア実施へ」 |
◆記事1:心のケア相談100件超す 連休中も窓口開設(神戸新聞ニュース 5月3日)
尼崎JR脱線事故を受けて、兵庫県や地元市が設けた「心のケア」の特別相談が、二日までの六日間で百件を超えたことが分かった。県や尼崎、西宮、神戸市は相談窓口開設を連休中も継続し、それぞれ八日まで延長する。
県によると、こころのケアセンターなどに寄せられた相談は七十一件。本人からは「連休明けに電車に乗るのが怖い」「一人でいるのが怖い」などの訴えが多いという。家族からも「(本人と)どう対応していいのか分からない」などの相談があった。
また、現場となった尼崎市の保健所には二日までに、事故の負傷者やその家族、救急隊員らからの相談が三十二件。
そのうち頭痛、吐き気など身体症状は三件、「夜眠れない」「事故の光景が何度も浮かぶ」などの精神症状は二十九件という。
また市民が多数犠牲になった西宮、神戸市も数件の相談があり、窓口を八日まで延長する。
時間はいずれも午前九時から。電話番号は下記の通り。
- 県こころのケアセンター TEL078・200・3010(午後5時まで)
- 尼崎市保健所 TEL06・4869・3016(午後5時半まで)
- 西宮市保健所(江上町) TEL0798・26・3160(午後5時半まで)
- 西宮こころのケアセンター(戸崎町) TEL0798・63・3318(午後4時半まで)
- 神戸市こころのケアの特別電話相談 TEL078・672・1556(午後5時まで)
◆記事2:脱線事故で家族失った小中学生24人、心のケア実施へ(読売新聞) - 5月5日8時30分更新
JR福知山線の脱線事故で、親やきょうだいを亡くした小中学生が少なくとも24人に上ることが、4日わかった。
子どもたちの深い喪失感は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)につながる恐れもあり、各市町教育委員会は連休明けにカウンセラー(臨床心理士)を派遣し、ケアを進める方針だ。
同線沿線の各市町教委が公立小中学校を調査したところ、親や兄、姉が犠牲になった小学生は14人、中学生は10人だった。
阪神大震災で家族を失った遺児のケア施設で顧問を務める清水将之・関西国際大大学院教授は「学校を中心に長期的に見守る体制を築くことが重要」と話している。 (読売新聞) - 5月5日8時30分更新
◆コメント:ボーリング大会など、どうでも良い。遺された人々の心のケアに注力せよ。
阪神淡路大震災の後、PTSD(心的外傷後ストレス障害 Post-Traumatic Stress Disorder)が、日本でも知られるようになったが、元々はベトナム帰還兵症候群と呼ばれていたものだ。
人間は、極度の外傷的な猛烈なストレス(=トラウマ)を受けると、数週間から、数ヶ月後に、そのトラウマを、突然、思い出したくないのに、思い出してしまい、これをフラッシュバックというのだが、恐怖でパニック状態に陥ったり、吐き気やめまいを起こしたり、本当に倒れてしまうこともある。
今は、事故から10日ほどしかたっていないので、まだ、PTSDとは言えず、「急性ストレス反応」(Acute Stress Reaction)と呼ばれるものだが、電話相談者の言葉にある「事故の光景が何度も浮かぶ」などは、PTSDの症状とほぼ同じである。
PTSDの専門家が書いた本によると、精神的外傷となるようなストレスを受けた場合、つまり、今回の事故の現場に立ち会った人、生き残った被害者、家族を失った遺族、現場で救助作業に携わった人で急性ストレス反応を示している人は、早期治療を行わないと、PTSDに移行してしまうおそれがあると言うことだ。
記事1にあるとおり、救助隊員で電話相談に悩みを訴えてくる人も多いという。これは、今回に限ったことではなくて、この職業の人々にはしばしば起きることだ。
人を助けた人が自分が心の苦しみを負うというのは、誠に気の毒であり、何とか早く治療して欲しい。
人間、見た目にけがをしていなくても、健康とは限らない。「心の大怪我」も、肉体のそれと同様に、緊急の治療を必要とするのである。
何故なら、最近読んだのだが、極度のストレスは「脳を壊す」のだという。
「壊す」とは、脳内の神経細胞が新しく生まれなくなるということだ。日本の研究者が突き止めた。
◆PTSD、脳を「壊す」 ストレスで神経新生せず (北国新聞 2005年3月11日)
恐怖体験で起こる心の病「心的外傷後ストレス障害」(PTSD)で、ストレスを受けてから五日後に突然、脳内の神経細胞が新しく生まれなくなることを、金大大学院自然科学研究科・薬学部の米田幸雄教授(神経化学)がマウス実験で突き止めた。
ストレスが「脳を壊す」ことを明らかにしたのは世界で初めて。
PTSDの治療法の開発につながる成果として期待されている。
というわけで、何と言うことであろう。PTSDは脳を破壊するのだ。
大人を軽視して良いというわけではないが、記事2に載っている、大人ですら耐えきれぬほどの精神的苦痛を受けた、親を失った子供達のこころのケアには念には念を入れるべきである。
◆コメント(続き):政府は専門家を組織して急派すべきだ。
すっかり忘れていたが、事件が起きた日、首相官邸には対策委員会だか、調査室というものが発足したはずである。
ところが、事故から数日間は、午前と午後に行われる官房長官の記者会見で、事故に関して判明したことなどを発表しているが、4月28日(木)午前を最後に何も言わなくなっているのである。何という無関心。
小泉首相は、現在、南西アジアとヨーロッパを歴訪しており、のんびりした顔をしている。
その出先から、尼崎の惨状に対して特別な配慮をしているように見えない。本当に、この国の指導者は肝心なときに役に立たない。
前段で述べたとおり、事故現場に居合わせた各方面の人々、或いは被害者の遺族、事故で親を失った子供などは、緊急の精神医学的治療を必要とするのである。
しかも、精神科なら誰でも良いというものではない。精神科医にも専門分野が有る。その中で、PTSDの専門家は日本に少ないのだから、それだけに、このような緊急事態には、指導者の鶴一声で、彼ら専門家をまとめて、スペシャルタスクフォースとして、現地に送り込むぐらいの配慮をするべきである。
思い出した。5年前の5月3日、西鉄バスジャック事件が起きたのだ。
あの時のバスの運転士さんは、自分から数メートルの場所で乗客が少年に喉を掻き切られて、血しぶきを上げて亡くなった、そのあまりにも悲惨な光景が忘れられず、それきり、バスの運転席に座れなくなり、ついに、退職したのだった。今でも、フラッシュバックがあるという。
それは、そうだろう。ベトナム帰還兵は30年経ってもフラッシュバックがあるというのだから。
だからこそ、一刻も早い、治療の開始が必要だ、と、私は先ほどから繰り返しここで書いているのである。
人間の記憶は皮肉なものだ。
覚えたいことはなかなか覚えられないのに、 忘れたいことは、忘れられない。
2004年05月05日(水) 「米軍、イラク人負傷者射殺=仏テレビが映像」「サマワ商店街で爆発 死傷者などは不明」小泉さん何かコメントは?
2003年05月05日(月) 「人間の存在を少しでも明るく照らし出すことが、芸術家に与えられた使命だと信じています。」(カール・ベーム)