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2005年04月18日(月) |
中国の「選択的記憶」ワシントン・ポスト社説がいいことを書いている (追加あり) |
◆公平なものの見方をしている海外メディアも沢山、ある。
今日は昨日の上海の暴動の後だから、世界中のかなりの新聞が、このことについて伝えるのみならず、論説(社説)をのせているはずだと思い、あちらこちらを読んでみた。
海外の論説を読んでみた。というと偉そうだが、英語を読むのは遅いので、主だったところを斜め読みするだけだが、 感じたのは、やはり、どこの国でも、インテリはちゃんと分かっている、ということである。すこし、安心した。
昨日の上海が起きる前、先週金曜日に発売された"The Economist"誌などは、中国が日本の常任理事国入りに反対していることに触れ、それは、おかしい。どう考えても、常任理事国を増やすなら、日本抜きということは考えられない、などと書いている。
今日のFTは、「戦争が終わって、60年経っている。日本がいくら謝っても、中国は、いつまでも謝れと言う」と、日本に同情的なコラムを載せている。
全部紹介したいが、こちらもくたびれているので(昼間は働いていますので・・・)、一つだけご紹介したい。
3年、ENPITUで日記を書いているが、英語の新聞の論説をまるまる翻訳するのは、今日が初めてであることに気がついた。
一言言わせていただきたいが、翻訳というのは、他人の意見をのせるわけだが、断じて今日は手抜きをしているのではない。
冗談じゃないよ。日本語で、自分の言葉で書いた方が、よほど楽なのだ。
しかし、このワシントンポストの社説は、あまりにも我が意を得ているのと、アメリカ人にも、このように、非常に、客観的、論理的、合理的、そして、公平な(一部異論を唱えたいところもあるが)、考え方をする人物がいるということを知って欲しくて、訳して見ることにしたのだ。下手ですが、読んで下さい。
書いているのはFred Hiattという人で、元、ワシントンポストの北東アジア総局長だったそうです。
なお、昨夜、1パラグラフ抜かしてしまったので(中国は、チベットやベトナム侵攻について、子供達に教えていないという段落)、書き加えました。
原文のURLはhttp://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A61708-2005Apr17.htmlです。
◆【翻訳】中国の「選択的記憶」(ワシントンポスト社説)
国連安保理の常任理事国である中国は、日本は自分たちと同じ地位になるには、ふさわしくない国だ、と断言する。
何故だ?日本は世界で最も多額の政府開発援助を行っており、最も寛大な国連の支持者である。
半世紀以上も民主主義を維持し続け、強大な経済力を持ち、武力侵攻を禁じた平和的な憲法を守っている。
ところが、問題があるのだ。
中国の温家宝首相は先週、「日本は、自らの歴史に正面から取り組む必要がある」といった。
別の中国高官は、問題の本質は、日本政府の行為(教科書問題)が中国国民の気持ちを傷つけたことだ、と、さらに、この問題を強調した。
歴史的事実は大国の地位を決める興味深い基準である。
確かに温首相が言うとおり、日本は第二次大戦前と戦争中に、自国の軍隊が中国、韓国を初め、占領した地域で行ったおぞましい行為をなかなか認めようとしないことがある。
謝罪はしばしば、何だかモゴモゴ言っているようで良く分からなかったり、教科書では戦争中の犯罪が最小限の記述で済まされている。
しかし、これらの物事を別の角度から見ることも必要だ。
日本では、教科書の多くは政府の認定を受けるが、どの学校も、特定の教科書を使うことを、国から強制されない。
日本では、戦争犯罪の認定の是非、正しい歴史学的方法論についての議論は、終わることなく、しかも、オープンに、新聞や雑誌、また大学において行われている。
靖国神社を参拝する政治家がけしからんといってデモ行進をすることも許されるし、逆に、靖国神社を参拝しないのがとんでもない、と主張する思想も許容される。
これに対して、中国の現状はどうだろう?
中国で許される「正し」い歴史とは少なくともある時点では、ただ一つしか存在せず、その、「正しい歴史」もしばしば変化する。変化するのは、中国共産党が歴史の解釈を変更する、と決定したときだけである。
たとえば、ニューヨークタイムズのハワード・W・フレンチが昨年12月に中国に行き、歴史の教科書を見たら、1989年、天安門事件においては、大量の学生が虐殺されたのに、死者が出たとは一言も書いていない、という。
一つだけ、1998年に発行された教科書には、「当局に反抗する者は、厳罰(鞭打ち、自宅謹慎、または、禁固刑を含む)に処せられる」と書いてある。
また、もし、30万人が殺されたという南京大虐殺が事実で、日本がそれを正しく教科書に載せていないというのならば、毛沢東が1958年から62年にかけて実施した「大躍進政策」(JIRO注:「文化大革命ではない。あれは、1966年から。)の結果生じた飢饉が原因で死んだ3千万人の中国人のことは、書かなくて良いのか?中国のどの教科書を見ても、そんなことはただの一言も書かれていないのである。
ある国家が、国内問題をどのように、教育で取り扱うか、ということは、常任理事国としての資質に、なんら影響を及ぼさない。他の国との戦争で自分たちの国が何を行ったかを正直に教えない方が問題だ、という向きもあろう。
その主張が正しいかどうかには、疑問があるが、いずれにせよ、中国の子供達は中国のチベット侵攻(1950年)、ベトナム侵攻(1979年)について何も教えられていない。
そして、日本は中国軍のゲリラによって第2次大戦に敗れたのだ、と教えられている。真珠湾も硫黄島も、ミッドウェー海戦について、中国の教科書は、何も触れていない。
「自国の歴史を正しく正面から見据える」ことは、どの国にとっても容易ではない。
アメリカ人ならば、南部アメリカ連合(リンカンの大統領当選後,1861年合衆国からの脱退を宣言した南部の7州(サウス・カロライナ,ミシシッピ,フロリダ,アラバマ,ジョージア,ルイジアナ,テキサス)が結成した連邦。南北戦争開戦後,さらに4州が加わり,首都をリッチモンドに置いた。奴隷制の擁護を主張したため,英国の援助を得られず、4年にわたる戦いの末1865年敗戦とともに崩壊,連邦復帰。)のことは、考えたくない。
ロシア人はバルト諸国で行った略奪・暴行を認めようとしない。
そして、日本人は、もっぱら戦争被害者であるという立場を取りたがる(訳者注:そんなことはないと思うが。)。
しかし、それでも、歴史に関して公然と議論を交わすことが許されている国であれば、歴史的認識は次第に真実に近づいていく可能性は十分にある。
だが、(中国のような)独裁主義国家では、そのようなプロセスは期待できない。
そこでは、歴史は権力を維持するための道具として、権力者の都合の良いように改ざんされて使われるのである。
以前は中国共産党は、ロシアを悪党呼ばわりしていたが、最近は、アジアの覇者となるために、日本がちょうど良い「悪者」に仕立て上げられている。来年はアメリカが標的になるかも知れない。
いずれにせよ、どの例を見ても、中国が行っていることは、「歴史を正面から見据える」という態度とは、正反対であることは、まちがいない。
2004年04月18日(日) 「ロシア大統領顧問、京都議定書批准に反対=WWF」地球温暖化が進行すると、ロシアが消える。【追加】サマワで銃撃戦
2003年04月18日(金) 「<米国防長官>イラク側の協力なしに大量破壊兵器発見は不可能」・・・開いた口が塞がらない、とはこのことだ。