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JIROの独断的日記
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2005年03月21日(月) <バッハ>幻の結婚カンタータ 全体像復元され世界初演 21日は、バッハの誕生日です。

◆記事<バッハ>幻の結婚カンタータ 全体像復元され世界初演

 

 バッハの響きが高らかによみがえった。1728年にバッハが作曲し、昨春、日本でオリジナル・パート譜が発見された“幻の結婚カンタータ”「満ち足りたプライセの町」の全体像が復元され、20日、東京・サントリー小ホールで世界初演が行われた(同ホール、国立音大、毎日新聞社主催)。

 復元に当たった米国のバッハ学者でチェンバロ奏者のジョシュア・リフキンさんの下、スウェーデンのソプラノ歌手、スザンヌ・リディーンさん、ノルウェーのアルト歌手、マリアーネ・ベアート・キーラントさんがバッハ・コンチェルティーノ大阪と共に、軽やかで美しい旋律を繰り広げ、聴き入る聴衆に幸福な感動が広がった。このあと21日にも同ホールで、25日には大阪・いずみホールで上演される。【梅津時比古】


◆コメントバッハ抜きには西洋音楽ってのは、存在しないのですよ。

 

 素晴らしいニュースです。バッハの作品で、以前から「有るはずだが、どこに楽譜が有るのか分からない」ということで、世界中のバッハ専門家が探していたのですが、昨年亡くなった、原さんというピアニストが何故か偶然オリジナル譜を持っていた、というので、瞬く間に世界中のバッハ研究家に伝わって、大騒ぎになったのです。

バッハの曲が、彼の死後320年を経て、遠い東洋の島国で初演されるとは、驚きです。

なかなか、分かってもらえないでしょうけれど、西洋音楽史上に確実に残るほどの大ごとなんです。


◆バッハって誰?


 

 バッハが生まれたのは、320年前、1685年で、亡くなったのが1750年ですから、日本史に当てはめると、江戸時代の前期から中期に当たり、そう考えると、世界史全体から見ると、クラシック音楽の歴史はそう古くないですね。

もっとも、バッハ以前には音楽は無かったかというと、それはとんでもない話です。

 一応確認できる、最古の「西洋音楽」はグレゴリア聖歌というもので、これは、8世紀まで遡ります。

何年か前に、日本で「グレゴリアン・チャント」(「聖歌」を原語に言い換えただけ。)のCDが、異常に売れたことがありましたが、案の定すぐに飽きられました。

と、云うわけで、今の「クラシック音楽」の源流とでもいうべきものは、やはりバッハでして、音楽の父とか云われるのは、クラシック音楽をやるものなら、ピアノやバイオリンやチェロなど、バッハがオリジナル曲を書いている楽器を勉強する人はもちろん、そうじゃない人でも、「バッハを知らない」では、すまされないのです。


◆全部、バッハから出発しているといっても過言ではない。

 ポップスとかロックとか、ジャズとかやる人、そして演歌を歌う人は、「クラシックなんか関係ねえ」と思っているかもしれないですけど、全てクラシック音楽と同じ平均率という1オクターブを12に区切った音階を使っていて、五線譜という表記法を用いて書かれているのですから、源は、やはりバッハなんですよ。極論すると。

「演歌は日本人の心」なんて云う言い方、昔流行りましたけど、笑ってしまいます。演歌は西洋音楽です。


◆絵描きにとっての「デッサン」と同じです。

 ピアノ、バイオリン、チェロ部門がある「チャイコフスキー・コンクール」という4年に一度開かれる、世界的に権威があるコンクールがありますが、これなんかも、最終選考まで残れば、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲を弾くのですが、第一次予選は、バッハの作品が必ず入ります。

画家や、とにかく絵を描く人、およそ美術、造詣、デザインを勉強する人は、どうしてもデッサンの勉強をしないわけにはいかないでしょう?それと同じです。


◆バッハのトリビア

 

 バッハは「小川」の意。つまり、ヨハン・セバスチャン・小川さんなんです。

彼は、65歳で亡くなりましたが、当時としては長命でしょう。

 生涯に1000曲以上の作品(一曲演奏するのに何時間もかかる作品もあります)を書きました。相当生命力が強かったのだと思います。というのは、バッハは二度結婚して、20人の子供をつくっています。精力絶倫といって良いのではないでしょうか。 そして、もっとすごいのは、そのうち13人は早世している、という事実です。

13人の子供の死を経験して、なお平然と、作曲できる神経もすごいです。


◆おすすめCD

 

 乱暴な言い方をすると、バッハなら、何でも良いです。殆ど全て傑作です。駄作がない、というのは、バッハとモーツァルトぐらいだと思います。

しかし、あまりに膨大です。

 本当は200曲以上もある「カンタータ」ってのが、面白いのです。冒頭で紹介した日本初演もカンタータです。「カンタータ」とは、ごく大雑把に言うと、ソロの歌と、コーラスとオーケストラによる教会音楽です。最初はちょっと取っつきにくい。


◆ブランデンブルグ協奏曲というのが、良いと思うのです。

 ブランデンブルグ協奏曲というのがあります。

バッハはドイツ人。これを演奏しているのはフランス人。しかし、見事です。ブランデンブルグ協奏曲は全部で六曲、つまり6番まであるのですが、このCDのは2番から5番まで入っています。全部、楽器編成が違って面白いのです。演奏しているパイヤールという人は昔からおなじみです。安心して聴けます。

2番はコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)という珍しい形です。

協奏曲は普通独奏者が、「独奏者」と言うぐらいですから、一人です。

コンチェルト・グロッソ、というのは、何人かのソリスト群と、オーケストラとの協奏曲なのです。

ブランデンブルグ協奏曲第2番では、ヴァイオリン、フルート、オーボエ、トランペットという、非常に珍しい組み合わせの「ソリスト群」とオーケストラとの掛け合いになっています。

私はヘタクソですが、ラッパ吹きなので、トランペットが特に気になるのです。

 この曲のトランペットは、ピッコロトランペットといって、普通よりもオクターブ高い音域の楽器で演奏します。滅茶苦茶に難しいです。

 現代のピストンがついたトランペットですら、難しいのです。当時は、ナチュラル・トランペットといって、要するに単なる真鍮の管なのです。

 それを、倍音というのを用いて、吹き込む息のスピードと、唇の操作だけでメロディーを吹いたんです。そんな原始的な楽器で、このトランペットパートを吹ける人がいた、ということです。信じられません。

 このCDでは、以前にも何度か紹介した、モーリスアンドレという、不世出の名手が吹いているので、是非聴いてみてください。

 フルートのランパルという人は、昔は、「フルートといえば、ランパル」というような有名人です。

 オーボエのピエール・ピエルロも、フランスのオーボエで一番有名だった人です。つまり大変贅沢なソリスト陣を集めた演奏なんです。

あとは、そうですね。ブランデンブルグ協奏曲5番ですね。これは、今で云うところのピアノ協奏曲の先がけです。

 独奏の「チェンバロ」というピアノの前身ともいうべき楽器が大活躍します。第一楽章の終わりにカデンツァといって、チェンバロだけが延々と独奏するところがあります。動きが細かくて、チェンバロ弾きの腕が鳴ります。 とにかく、楽しいですよ。

このCDは、春先の、天気の良い日に、ヨーロッパのどこかのお城の庭でゴロンと寝っ転がって昼寝でもしながら聴いたらいいだろうな、と思いますが、実際に行けなくても、とても品がよい、高尚な気分になります。

解説なんて読まなくて良いです。ただ、聴いてください。お奨めします。


2004年03月21日(日) 週刊文春の出版禁止の理由を適用すると、今後、殆どの週刊誌は出版禁止にならなければ、筋が通らない。
2003年03月21日(金) 「にわか軍事評論家」になってはいけない。戦争はTVゲームではない。人が死ぬのだ。

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