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JIROの独断的日記
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2005年01月24日(月) 自らの政策を誰にでも分かる様に説明するのは、政治家の最も重要な政治行動なのです。

◆記事:首相答弁めぐり民主・社民が一時退席…国会代表質問

 

 国会は24日、衆院本会議で小泉首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が行われ、与野党の論戦がスタートした。

 しかし、民主党の岡田代表の再質問に対する首相の再答弁をめぐって審議が紛糾、民主、社民両党議員が本会議場を一時退席し、両党不在のまま質疑が続行される異例の事態となった。代表質問の最中に野党側が退席したのは現行憲法下では初めて。

 午後1時からの本会議では、最初に質問に立った岡田氏が、首相の答弁を「不十分だ」とし、年金制度改革など9項目にわたって再質問した。

 これに対し、首相は「すでに明確に答弁している」と答えるにとどまり、その後の2度の補足答弁でも「不満があることは理解したが、私は漏れなく答弁したと思う」などと具体的な答弁を避けた。

 このため、民主党は激しく反発。社民党とともに本会議場から退席したが、河野衆院議長は議事を進行させ、自民党の武部幹事長による代表質問が続行された。共産党は出席を続けた。

 与野党はその後の本会議休憩時に打開策を協議。改めて岡田氏が質問し、首相が答弁することで事態を正常化させた。河野衆院議長は審議再開の際、「答弁にあたっては誠意を持ってきちんと対応されるよう望む」とする異例の注意を行った。


◆コメント:問題外。

 

今に始まったことではないが、小泉首相という人は、自分の政策を明瞭に、具体的に、一点の疑問の余地も無く丁寧に説明した試しがない。

 これだけで、本来、首相として、いや、それ以前に政治家として、失格なのです。

昔の総理大臣に田中角栄という人がいた。

立花隆が月刊文藝春秋に書いた「金脈問題」に端を発して、世論からバッシングを受け、さらに、ロッキード事件という戦後最大の疑獄事件で、ついに刑事被告人となった。問題が無かったとは、従って、決して言えない。

しかし、田中角栄の施政者としての実務能力は、いろいろな人が書いたものを読むと、殆ど天才的に優れていたようである。

 なにせ、小学校しか出ていないというのに、猛勉強をし、持ち前の記憶力の良さとすさまじい集中力により、必要な知識は片端から覚えてしまい、しかも忘れない。
役人の中で一番イバっていて、自分たちのことを、日本人の中で一番優秀な集団だと思っている大蔵官僚ですら、田中角栄には舌を巻いた。


◆田中角栄がインタビューを受けたときの逸話は興味深い。

 

田中角栄はとっくの昔に他界したが、その秘書を23年務めた、(個人的な印象でいうといかがわしいオヤジだが)早坂茂三氏も今年、亡くなった。
この早坂氏は、何せ一番近くで毎日朝から晩まで田中角栄のお伴をしていた人だから、彼が書いた「オヤジと私」という本は、面白い。
私は、個人的には、田中角栄や早坂茂三のような、権力欲むき出しの、ギラギラ脂ぎった人間に、好意を持てない。
ただ、この日記で何度も書いたが、「自分のムシが好かない人間は、能力がない」、という論理はおかしい。

 政治家や、政策に対する評価は、そのような情緒的な判断ではいけない。

以上を断った上で、話を進める。

 早坂氏が書いた「オヤジと私」と言う本に、非常に重要なことが書いてある。

そのまま、引用すると長くなるので要約すると、こういうことだ。


田中角栄は、新聞でも雑誌でもテレビでもインタビューを申し込まれて、断ったことがない。そして、インタビューで大体どういう質問を受けるか、早川氏が予め訊いておく。すると、田中氏はもの凄い集中力で勉強した、というのだ。

例えば、角栄が大蔵大臣在任中に、日銀法を発動して、(今は無くなってしまったが)山一証券を救済し、これにより、証券恐慌を未然に防いだという実績がある。その辺を詳しく聞きたいという質問があれば、角栄氏は早坂氏に、

「当時、大蔵省証券局がやった仕事、当時の財政・金融情勢を示す資料、戦後、節目節目の統計資料を全部集めろ。それから、山一騒動当時、関係法令がどうなっていたか全部調べて整理しろ。」と命じるのだそうだ。

今のように数字がデータベース化されて、PCでかんたんに検索できる時代ではない。全て手書きの資料や、活字だ。資料集めを命ぜられた早坂氏もさぞや大変だったと思う。

それはさておき、資料を全部揃えると、膨大な量になる。

 それを田中角栄氏は一点もゆるがせにせず、赤鉛筆で線を引きながら、2時間でも3時間でも一心不乱に、もの凄い集中力で勉強して頭にたたき込んだ、という。

インタビューの相手は「朝日新聞」のときもあれば、「週刊プレイボーイ」のこともある。

 田中角栄は、その時の世の中の情勢と、その媒体(新聞・雑誌など)の読者層を考えて、自分の説明がどのように話せば一番解ってもらえるかを、とことん研究して、インタビューを受けたのである。

何故、そこまでするかと云えば、早坂氏の言葉を借りると、

「オヤジ(田中角栄)は、あらゆる分野のマスメディアに登場する場合、自分が発言し、説明することが、政治家として一番重要な政治行動であることを、正確に理解していたから」です。

小泉さん、この本読んだことありません?


◆議会制民主主義でしたよね?この国は?

日本国の主権者は国民である。

 政治家は、国民に対して、自分が何を考えて、何をしようとしているかを正確に理解して貰うよう努力する義務があるのだ。日本国は議会制民主主義を標榜する国家なのだから、それが、本来の姿である。

小泉純一郎氏は、この一番大事な点を全く理解していない。 それこそが、彼の致命的な欠点なのだ。


2004年01月24日(土) 「医療機関の立ち入り検査へ 名義貸し問題で厚労省 」←問題の根源は厚労省が定める「標準医師数」という官僚的形式主義だ。
2003年01月24日(金) 公徳心と我慢

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