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JIROの独断的日記
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2004年08月29日(日) 「消費者物価、4年11カ月連続マイナス」 不良債権が減少すれば、デフレは止まるはずでしたね?竹中さん?

◆記事1:消費者物価下落、0・2%に拡大=4年11カ月連続マイナス−8月東京都区部(時事通信) - 8月27日

 

総務省が27日発表した8月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値、2000年=100)は、価格変動が大きい生鮮食品を除いた指数が97.5で、前年同月比0.2%下落した。4年11カ月連続の前年割れ。7月まで5カ月連続で0.1%下落だったが、8月はマイナス幅が拡大し、緩やかなデフレが継続していることを示した。(時事通信) - 8月27日11時1分更新


◆記事2:7月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比‐0.2%(ロイター) - 8月27日

 

[東京 27日 ロイター] 総務省によると、7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年比0.2%の低下となった。前年比では6月の同0.1%の低下からマイナス幅が拡大した。

 ロイターが事前にまとめた民間予測調査では、予測中央値で0.1%の低下となる見通しだった。 (ロイター) - 8月27日9時17分更新


◆記事3:7月完全失業率は4.9%、6月の4.6%から悪化(ロイター) - 8月27日

 

[東京 27日 ロイター] 午前8時30分に総務省が発表した労働力調査によると、7月の完全失業率(季節調整値)は4.9%で、6月の4.6%から0.3ポイント悪化した。 ロイター通信が事前にまとめた民間予測では、6月から横ばいとの予測が多かった。 (ロイター) - 8月27日9時2分更新


◆記事4:銀行5グループ黒字転換 不良債権、ピークから半減 (5月25日 産経新聞)

大手銀行7グループが24日発表した平成16年3月期決算は、株価の上昇や景気拡大を追い風に、三井住友フィナンシャルグループ、三菱東京フィナンシャル・グループなど5グループが前期の巨額赤字から大幅黒字に転換した。

不良債権残高は、景気回復で企業業績が改善したことから7グループ全体で前期比32%減の14兆117億円まで縮小。ピーク時の14年3月期の約27兆円からほぼ半減した。貸し出しに占める不良債権比率も全体平均で1・9ポイント減の5%まで低下し、政府が金融再生プログラムで求めている不良債権比率を17年3月期までに半減させる目標値の4%台に迫った。


◆記事5:大手銀行を一斉に格上げ S&P、再編以来初めて。(6月23日 共同通信)

 

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は23日、東京三菱銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など、UFJグループを除く大手銀行の長期的な信用力を示す格付けを一斉に引き上げた。

 都市銀行の一斉格上げは、1999年の公的資本注入をきっかけにした大手銀行の大型再編以来初めて。景気回復と不良債権処理の加速による邦銀の経営改善が、格付けにも反映された。

 新たな長期格付けは、「トリプルBプラス」だった東京三菱銀行が一段階上の「Aマイナス」となり、財務基盤の強さにお墨付きを得た。三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ銀行なども「トリプルB」から「トリプルBプラス」に上がった。


◆コメント:不良債権処理は減っているが、デフレは進行している。

つい先日、8月24日に詳しく書いたので、ここでは詳細を省くが、要するに、竹中金融相は「不良債権がデフレの原因なのだ」という、彼の金融プロジェクトチームの木村剛という人物(本を沢山出しているから検索してみて下さい)の「理論」をそのまま受け入れた。小泉純一郎内閣総理大臣は経済のことなど分からないから、竹中金融相に任せたきりである。


そこで、竹中金融相が率いる金融庁は、銀行の尻を叩いて、不良債権残高を平成14年度3月期の27兆円から、17年度までに半減させる、と宣言した。銀行は必死でそれを実現した(記事4)。竹中政策が正しいのであれば、不良債権がこれだけ激減した以上、デフレ後退の兆し、つまり物価が上がりはじめているはずだ。

ところが現実は違う。先週の金曜日に発表された消費者物価指数は、記事1に書かれているとおり、中心となる東京都区部では、何と4年11ヶ月、下落し続けている。

ちなみに内閣府による「デフレーションの定義」は消費者物価指数が2年以上下落している状態」である。

現在もデフレが止まっていないということは、従って、客観的な事実である。更に、記事3が示すとおり、雇用の改善も認められない。


これは、先日書いたとおり、不良債権は、デフレの「結果」であるにも関わらず、「原因」なのだという、認識の誤りを、政策担当者、すなわち竹中金融相が認めようとしないからだ。政策の見直しをするべきである。

いくら、不良債権を減らしても、銀行は新たな貸出しをすれば、すぐにまた金融庁が検査に入り、下手をすれば、不良債権として認定されてしまうかもしれないから、新規貸出に結びつかないのである。

因みに、銀行の債権が優良なのか、不良なのか、を客観的に判断する計量的基準はなきに等しく、金融庁の役人のさじ加減で増やすことも減らすことも出来る。意地悪をされてやたらと何でも不良債権にされてしまったのがUFJなわけである。


◆経済動向や、政策の是非を論ずるときは客観的根拠を示すべきである。

私は、この日記を書くときには、経済問題に限らず、前半に根拠となる情報と情報源を示している。それは、自分のコメントが恣意的に事実を歪めていないことを示すためである。

しかしながら、その方針を徹底しても、理解しようとしない人には通じないようだ。

私が、竹中金融相や金融庁を批判し、ひいては彼らを登用している小泉純一郎内閣総理大臣を批判しているのは、情緒的な選択ではない。

あくまでも客観的、統計的事実に照らして、デフレ不況が継続している責任は、政策担当者である、彼らに存することが明らかなので、批判的論評になるのである。


ところが、いろいろな人がいるモノで、客観的なデータをチェックせずに、自分が勝手に抱いているイメージで天下国家を論じる(つもりになっている)人がいる。今月中に金融庁がまた、大手行に特別検査にはいることが、決まり、実に余計なことなのだが、それは、「銀行の努力が足りず、結果を出せなかったからだ」などという意見を持つ人があるらしい。

一体、何を見、何を読んでいるのであろうか?記事4をもう一度読んで頂きたい。銀行は必死になって不良債権をピーク時の半分にへらし、昨年は赤字決算だったのに、今年の3月期決算では一挙に大幅黒字に戻した。銀行員はリストラされ、その数はピーク時の3分の2になった。

記事5は、云うまでもなく世界の2大格付け機関のうちの一社が、日本の銀行の信用力の回復に太鼓判を押した、ということである。

ここまでもってくるのは、大変な努力であり、評価されるべき「結果」である。


天下国家を論じる時には、クロスチェックを怠ってはならない。


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