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2004年08月11日(水) |
「UFJ・三菱東京の信託統合交渉、中止仮処分取り消し 」 もはや、日本は法治国家といえない。 |
◆記事:UFJ・三菱東京の信託統合交渉、中止仮処分取り消し
住友信託銀行がUFJホールディングスと三菱東京フィナンシャル・グループの統合交渉のうち信託部門の差し止めを求めていた問題で、東京高裁(原田和徳裁判長)は11日、東京地裁決定を不服とするUFJの抗告を認め、交渉中止の仮処分を取り消した。高裁で交渉を認める逆転判断が示されたことで、信託部門を含んだUFJと三菱東京の全面統合が実現に向かう公算が大きい。
ただ住友信託は信託部門の売却撤回に対し損害賠償を求めるなど、さらに裁判で争う構えだ。三井住友フィナンシャルグループもUFJへの経営統合を申し入れており、UFJと三菱東京の統合スケジュールに影響が出る可能性がある。
東京高裁は、UFJと傘下のUFJ信託銀行、UFJ銀行に対し「住友信託銀行以外の第三者との間で、UFJ信託銀行の営業移転や合併などに関する、情報提供や協議を行ってはならない」とした、東京地裁の仮処分決定を取り消した。
理由として、UFJと住友信託との間で締結された基本合意書の独占交渉義務を定めた条項について法的拘束力を認めたものの、「信頼関係はすでに破壊され、協議の継続は不可能」と判断した。
◆コメント:こんな無茶な話があるか。
これほど、ひどい判決じゃなくて、決定だけど、いずれにせよ裁判所の判断理由を読んだことがない。
そもそも、UFJは住友信託に、UFJ信託を売却する交渉を5月に進めていた。当初、住友信託とUFJ銀行が交わした基本合意書の中には、独占交渉義務を定めた条項があった。つまり、UFJは勝手に他の銀行と交渉してはいけなかったのである。ところが、6月、UFJは金融庁の業務改善命令を受け、UFJ信託を住友信託に売却しただけでは、自己資本が足りない、収益も改善せず、9月の中間決算で赤字になる。このままでは国有化されてしまう。というので、一方的に、住友信託にUFJ信託を売却するという交渉をやめて、三菱東京と合併する交渉をはじめたのである。これは明らかに、住友信託と交わした基本契約書に定められた、独占交渉義務に違反するものだった。だから、住友信託が怒るのは当然なのである。
今日の東京高裁の決定理由でも、「UFJと住友信託との間で締結された基本合意書の独占交渉義務を定めた条項について法的拘束力を認め」ているのである。それなのに、「既に住友信託とUFJ銀行との信託関係は破壊され、協議の継続は不可能」だから、UFJは好きにしていいよ。といっているのである。
おい。バカも休み休み云え。信頼関係を破壊したのは、UFJだろう。それなのに、なんで、UFJに有利な結論になるのだ?こんな論理が通用するなら、これから、どんな契約でも、都合が悪くなったら勝手に破ってしまい「信頼関係が破壊されたから、契約の履行は不可能」で通用してしまう。契約の意味がなくなる。法律も何のためにあるか分からん。
私法の大原則、イロハのイは「信義誠実の原則」である。民法1条2項に掲げられている原則で,信義則ともいう。一般に社会生活上一定の状況の下において相手方のもつであろう正当な期待に沿うように一方の行為者が行動すること」が求められるのである。大学の法学部の坊やでも知っている(筈だ)。
今日の高裁の決定はこの「信義則」を否定していると言って良い。もはや、日本は法治国家とはいえない。そして、多分三権分立の原則も守られていない。UFJが抗告してから、今日の判断まで、異様に短時間で済んだ。金融庁の竹中は早く、UFJと三菱東京をくっつけたい。今日から竹中はアメリカの金融関係者と会うために日本にいない。妙にタイミングがあいますね。よりによって、こんな重要な決定がなされる日に金融相が外遊ですか。内閣(行政府)から司法(裁判所)に圧力がかかったと勘ぐられても仕方がない。
自衛隊のイラク派遣といい、年金改革法のごり押しといい、今日のUFJの件といい、小泉のやりたい放題ではないか。ひどいものだ。もう、俺、こんな世の中、嫌だ。
2003年08月11日(月) <日朝協議>10カ月ぶりに再開へ 拉致問題の先行解決探る ← 何をモタモタやっているんだ