外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2004年08月04日(水) 「統合交渉差し止め、UFJの異議申し立て却下」 金融庁のUFJいじめ

◆記事1:統合交渉差し止め、UFJの異議申し立て却下

UFJホールディングス(HD)と三菱東京フィナンシャル・グループ(FG)による信託部門の統合交渉に差し止めを命じた東京地裁の仮処分決定について、同地裁(大橋寛明裁判長)は4日、UFJが申し立てていた異議を退け、住友信託銀行が申し立てた交渉差し止め命令を認可した。

 UFJは同日、決定を不服として東京高裁に抗告した。UFJと三菱東京は少なくとも高裁の判断が出るまでは統合交渉全体を中断する方針で、交渉の凍結はさらに続く見通しとなった。


◆記事2:金融庁:UFJ検査忌避を告発する方針固める

 

金融庁は3日、UFJ銀行が金融検査を意図的に妨害する「検査忌避」を行ったとして、近く刑事告発する方針を固めた。他の大手銀行グループとの経営統合で、UFJを告発しても金融システム不安は回避できる見通しになったほか、UFJ自身が組織的関与を認めたため、「告発する条件はほぼ整った」(幹部)と判断した。検察当局には検査忌避を裏付ける資料を提出しており、同当局が公判維持が可能かどうか判断するのを待って最終的に決定する。


◆記事3:三井住友FGからの統合申し出も検討すべきだ-株主がUFJに催促

8月3日(ブルームバーグ):UFJホールディングスでは、三菱東京フィナンシャル・グループとの経営統合を目指してきたが、三井住友フィナンシャルグループもUFJ統合に名乗りをあげたことで、UFJの株主たちは、最良の条件を提示する統合相手を選ぶようにと促している。

ABNアムロ・アセットメネジメントや、アニマSpAなどの投資家は、UFJに対して、三井住友FGからの統合申し出にも耳を傾けるようにと望んでいる。日本ではこれまで、銀行再編が株価面でプラスにならなかったということがあるからだ。

アムステルダムが拠点のABNアムロ・アセットマネジメントで、UFJ株などに投資しているパトリック・リーマンズ氏は「最大限のメリットを株主が得られるように、少なくとも、新たな統合申し出をチェックすることは、UFJの経営陣にとって義務だ」と述べている。また、同氏は、新たな申し出を断ったのはなぜなのか説明を求め、UFJに書面を送ったという。


◆記事4:UFJとMTFGの統合、積極的評価した覚えない=竹中担当相

 

[東京 4日 ロイター] 竹中経済財政・金融担当相は、UFJホールディングス<8307>と三菱東京フィナンシャル・グループ<8306>の統合構想について、積極的に評価するコメントをした覚えはない、と語った。衆院財務金融委員会で五十嵐文彦委員(民主)の質問に答えた。

竹中担当相は、経営統合を積極的に歓迎する旨のコメントをしていると聞いている、との五十嵐委員の指摘に対し、「積極的に評価するようなコメントをした覚えはない」と述べた。その上で、統合構想について、「経営判断の問題だ。しかも統合は高度な経営判断の問題だ。よい経営を実現できるように、それぞれの立場でしっかり判断してもらいたい、というコメントをずっとしている」と説明した。

UFJグループに対する刑事告発の検討状況については、「ルールに則って、しっかりと適正に対応すべく議論を詰めているところだ」と語った。


◆コメント:全て、竹中君が仕組んでいるのでしょ?

 

間違いなく、今の時点で世界一悲惨な目に遭っている銀行は、 UFJ銀行(正確にはUFJホールディングス)だろう。四面楚歌。絶体絶命。万事休す。経営陣は発狂寸前だと思われる。

 UFJは、今年の3月期決算(銀行の決算は3月)4大メガバンクの中で、唯一、3期連続の赤字となり、頭取が辞めさせられたところだ。その上、国際業務を営む銀行として必要な自己資本比率8%を、3月末には、何とか保ったものの、このままでは、本業が儲かっていないから、段々自己資本を食いつぶす。すると、8%を割れる。公的資金注入、国有化となることが、目に見えていた。

 そこで、5月にはグループの中でも一番ましなUFJ信託(かつての東洋信託銀行)を住友信託に2000億円か、3000億円で売りつけて、それを自己資本に充てれば良いと思っていた。この段階で、金融庁に相談していたに決まっているのです。そんな大きな取引をするのに、公的資金をもらっている金融庁に事前に相談しないわけがない。絶対に相談している。そして、金融庁は、「いいよ」と云ったに間違いない。だからこそ、UFJと住友信託の相談は進んでいた。


 

ところが、金融庁のいじめが一挙に激しくなった。6月18日に金融庁から、業務改善命令を4つも同時に出されてしまった。不良債権を減らすことと、儲けをあげて自己資本比率をひきあげることと、中小企業への融資を増やすことと、を一遍にやれ。そのための方法を7月20日迄に「業務改善計画」として金融庁に提出しろ。

 そうなったら、もう、UFJ信託を住友信託に売っただけでは、自己資本が一時的に足りても、収益は改善しない。これは大きくて安定している、三菱東京に身売りする(世間に対しては経営統合といっているが、それは、世間体を考えてそういっているだけです。)しかない、と悲壮な覚悟を決めました。というのは、表向きの説明。

 実際は、銀行の数を減らしたいとかねてから考えている竹中金融相が、UFJを、身売りする以外にないところまで追い込んだのだ。UFJは金融庁の標的にされ、つぶされるのだ。と、財界の人間は皆思っている。竹中氏は段々狡猾なポーカーフェイスが身に付いてきた。

記事4を読んで下さい。自分は何も知らない。UFJと三菱東京が勝手に相談して決めたことだ、といいます。そんなわけがない。仮に統合が実現すれば資産規模では世界一の大銀行になる。

 日本は、そんなだいそれたことを、完全に民間主導でなんか出来る土壌になっていない。民間主導に偽装した竹中プランですよ。


 

しかし、住友信託はそれはないだろう。こっちとの約束の方が先じゃないか、といって、UFJと三菱東京との経営統合交渉をストップさせるように、裁判所に頼みました。東京地裁は「住友信託のいうことがもっともだ」といって、UFJと三菱東京は経営統合の交渉をしてはいけない、と、7月27日に交渉停止命令を出した。

 UFJだって、内心は住友信託にひどいことをしているのは分かっている。分かってはいるが、金融庁にいじめ抜かれて一刻も早く、三菱東京と合併して、安定したい。それで、異議申し立てをした。それに対して、本日、東京地裁は、もう一度。「UFJは間違っている。住友信託の言い分が正しい」と異議を却下。

 UFJは早く身売りをしないと、もうかっていないから、自己資本比率が下がって、国有化されてしまう。りそなみたいにね。国有化されるぐらいならば、まだ、民間の三菱東京に吸収された方がましだと考えているのでしょう。しかし、この分だと、長引きますね。

 その上に、UFJは記事2に書かれているように、犯罪者にもされる可能性が高い。刑事告発はあまりにもイメージが悪いので、7月下旬にUFJの首脳陣が金融庁を訪ねて「経営改善計画」を提出するときに、「確かに、組織的に、資料を隠蔽していました。ごめんなさい、許して下さい」とあやまりました。ところが、記事2のとおりだとすると、金融庁は、あくまでもUFJをいじめ抜くつもりですね。本人達が資料を隠蔽したことを認めたのが決め手になったというのですから、UFJの首脳にとってはヤブヘビでした。


 

金融庁にいじめられて、三菱東京に身売りするだけでも惨めです。

三菱って、スマートな感じがするけど、もの凄く官僚的な事で知られています。東京銀行はもともと外国為替専門銀行で、自由でスマートな雰囲気だった。三菱銀行と東京銀行が合併してから8年ぐらい経ちますが、三菱のガチガチの官僚的体質が嫌で、辞めた元東銀マンは多い。いまでもしっくり云っていないのではないかな。

 そんなところに、UFJは多額の不良債権を抱えて、吸収される。三菱東京にとって、UFJはお荷物だ(メリットもあるけど)から、UFJは頭が上がらない。合併会社の中でいじめられて、片っ端からリストラされるのは目に見えている。それでもそれしか道は無い、と、今のUFJ首脳陣は考えているようです。その上に罪人にされかかっている。金融庁は、いくら何でもUFJをいじめすぎだよ。

 記事3にあるように、海外では銀行同士が合併するときにいろんなところと相談してから決めるのが普通ですからね。UFJって要するに三和だから、同じ関西系の三井住友とは似ているし、商売は三菱東京より住友の方が遙かに上手いから、将来性がある。三井住友と一緒になれば、住友信託とのもめ事もなくなる。

 そのかわり、今度は三菱東京が怒るでしょうね。この辺が、いくら建前は民間企業の高度な経営判断だとはいうけれど、金融庁が全部裏で糸を引いていることは、ある程度経済界に興味のある日本人なら誰でも分かることなのだから、ちょっと金融庁は無責任な感じがしますね。散々追いつめておいてね。揉めるのが明らかなのに。後は知らんと。いうのは、ひどすぎるよ。竹中さん。もう少しいくらなんでも方向性を示してやるべきだと思いますね。私は。そのうち、誰か自殺するよ。放っておくと。


2003年08月04日(月) ロッシーニ風人生もいいかな。昨日は「ウィリアムテル」初演の日。

JIRO |HomePage

My追加