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2004年07月29日(木) |
バッハとヴィヴァルディの命日は同じだったとは、気がつかなかった |
◆バッハの同時代には大作曲家が大勢いるんです。
昨日なんですがね。ヴィヴァルディが1741年7月28日没。バッハは、1750年7月28日没。
今では、バッハが音楽の父なんて言われているけど、当時はヴィヴァルディの方が人気があったんですね。イタリアが音楽の中心地だったからね。一番人気があったのが、これはドイツ人だけどテレマンという人。
「パッヘルベルのカノン」という曲、好きな人が多いと思うのですが、パッヘルベルは、バッハの先生です。
バッハもね、なんか面倒くさそうに思われてるけれど、きれいなメロディーが多いですよ。ブランデンブルグ協奏曲というのがあります。これの2番、3番、5番。休日の朝、とかおすすめですね。
クラシック嫌いな人が多いのは、学校の授業で無理矢理好きでもない歌を歌わされたり、作曲家の生まれた年を覚えさせられたり、いきなり楽譜の書き方をやらされたり、要するに「お勉強」だという意識が刷り込まれちゃったのだと思うのです。残念です。
私が音楽教師だったら、片っ端からきれいなメロディーの曲とか、楽しい曲を聴かせますね。で、感想文など一切書かせない。好きな言葉ではないが、「情操教育」というのが有るとすればそういうことだと思うのですね。で、人それぞれ好みがあるが、クラシックはきれいなメロディーの宝庫なのです。何百年もの長い間の評価に耐えて現代にのこっているわけだからね。
そういうのを聴いて、じーんと感動する、という経験を子供の頃にしないから、段々人間が殺伐としてくるのだと、私は「独断的に」判断しています。クラシック聴くのに知識はいりません。
清水和音っていう、私と同い年ぐらいの上手いピアニストがいる。この人なかなかユニークでね。若い頃、世界有数のコンクール、ロン・ティボー国際コンクールで優勝したので、NHKがインタビューしようと自宅を訪ねたらいなくて、散々探し回ったんだけど、なかなか見つからない。学校にもいない。やっと見つけたら、友達のうちで麻雀してたのね。それから、学生時代チンピラとけんかして歯を折っちゃったり。面白い人ですが、今ではいい大人ですから真面目にピアニストをやっている。
それで、彼がリサイタルをやるときには若い人、子供にも聴いて欲しいといって、500円の席を用意するのです。全部500円じゃ破産しちゃうけどね。一部。それで、クラシックのコンサートに行くと大抵プログラムがあってそこには、曲目解説といって、七面倒くさいことが書いてあるのが普通なんだけど、清水さんは、そういうのを配らないのです。先入観や理屈抜きで、音楽だけ聴いてくれというわけですね。いいですね。
◆バッハとリヒテルとヤマハ
で、バッハを聴いて、割といいではないか、と思ったら、平均率クラヴィーア曲集っていうのを聴いてみてください。これは、24曲からなる曲集が1巻と2巻とあって、全部聴いたらとても長いけれども、一つ一つはそんなに長くない。どこから聴いて、どこで止めてもいいです。気が向いた所を聴けばいい。
このCDでピアノを弾いているのはスヴャトスラフ・リヒテルという名人です。「18世紀のモーツァルト、19世紀のショパン、20世紀のリヒテル」といわれるぐらいの、超大ピアニストです。
この人が嬉しいことに、日本のヤマハの楽器をずっと気に入って弾いてくれていました。このCDで使われているのも、勿論ヤマハのピアノです。以前、書いたけど、リヒテルというのはすごく真面目で、誠実な紳士なのです。これぐらいの大名人になったら威張っている人も多いのに。
リヒテルはあるとき、「私のピアノを作ってくれている人たちにお礼がしたい」というので、しかし、飛行機は大嫌いなので長いこと船に乗って、日本の浜松のピアノ工場にやってきました。ここのピアノ技術者達が苦労に苦労を重ねて、リヒテルの満足がいくほどのピアノを作ったのです。
リヒテルは大ピアニストだから、普段は超一流のホールで欧米の着飾った紳士淑女を聴衆としているわけです。それに比べたら、ヤマハにはホールが無くて会議室を急遽会場にしたぐらいだし、聴衆は作業服を着た、日本人のピアノ職人ばかりです。
ところが、リヒテルは云いました。「私にとって、今日ほど緊張する演奏会はありません。何故なら、今日の聴衆は、最もピアノを愛している人ばかりなのですから。」・・・・。聴いてみたかったな・・・。
音楽の父バッハの代表作を、20世紀指折りのピアニストが、日本人が作ったピアノで演奏するこのCDを聴いていると、浜松で演奏したときのリヒテルの真摯な様子が想像できるような気がします。永遠の名盤です。
2003年07月29日(火) 「星の数は地球上の砂粒の10倍 豪天文学者ら」 億、兆、京、さてその次は・・・