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2004年06月05日(土) |
年金掛け金を5.6兆円流用しておいて、年金改革法もへったくれもないだろう |
◆記事1:年金改革関連法が成立
今国会最大の焦点である年金改革関連法は5日午前の参院本会議で、与党などの賛成多数により原案通り可決、成立した。民主、社民両党は欠席した。
参院本会議は5日未明、民主党出身の本岡昭次副議長が「散会」を宣告し、野党議員は退席したが、その後、倉田議長が「散会」宣告を取り消し、休憩に入った後、改めて再開。倉田議長の不信任決議案、坂口厚生労働相の問責決議案などを与党の反対多数で否決した後、年金法の採決に踏み切った。
民主党などは採決無効を訴えており、国会の混乱は来週以降も続く見通しだ。
年金改革関連法は、現行の年金制度の枠組みを維持したうえで、保険料負担を毎年引き上げて、最終的に固定することなどを盛り込んでいる。(読売新聞)[6月5日9時34分更新]
◆記事2:衆議院厚生労働委員会議事録 4月9日 第10号 より。「5兆6千億円流用」
○長妻委員(中略)
さて、お疲れのところ、総理と坂口大臣に年金問題について質問を申し上げます。
私は以前は、国民年金や厚生年金の掛金というのは、てっきり、年金の支払いだけに使われる、こういうふうにずっと信じてきた者の一人でありましたが、実際には、私も、実は恥ずかしながら、国会議員になって初めて、掛金が支払い以外にどんどん使われているというのを知って、ある意味愕然としたわけです。
年金不信の問題、いろいろ原因があると思うんですが、一つは、例えて言いますと、バケツの中に皆様の貴重な預かり金である厚生年金の掛金や国民年金の掛金が入っている、しかし、そのバケツに無数の穴があいていて、だあっと水が漏れている、払っても払っても水が漏れて、本来のところにもそれは行っていますけれども、なかなかそういう水漏れがとまらない、今回もとまっていない、政府の法案でもとまっていない。これが一つ私は大きな問題だと思うわけです。
先ほど何か、小さな話だというようなやじが飛びましたけれども、小さな話じゃないんです。金額でいうと、これは坂口大臣に一言で御答弁いただきますけれども、この年金の掛金が支給以外に、支払い以外に回ったお金というのは総計で大体幾らでございますか。
○坂口国務大臣 これは、もう予算委員会でも御答弁を申し上げたとおりでございますが、五・六兆円、トータルでございますけれども、そういうことです。
長妻委員 これは小さい話じゃなくて、五兆六千億円というすごい金が、年金の掛金が支払い以外に使われているんですよ。すごい話なんです。
それで、グリーンピアの話、私、国会図書館を通じて先進国を調べてもらいました。自国民の大切な年金の掛金でリゾート施設をつくった国というのは日本以外ほかにありますかと。国会図書館、調べて私に資料を持ってきました。いや、こういうことをしたのは日本しかありませんでしたと。これは、何で日本は……(発言する者あり)今、すばらしいというやじが自民党から飛びましたけれども、ちょっとこれはふざけるのもほどがあると思うよ、本当に。まじめに聞いてください。
それで、どういう法律でこのグリーンピアが支出されたか。これは、私は「なんでも福祉法」という言葉をつけているんですが、厚生年金法と国民年金法の中に、被保険者の福祉を増進するためなら掛金を使っていいという条文があるんですよ。
それで、これをお聞きしますけれども、結婚式場も福祉ということで掛金でつくられているんですが、結婚式場というのは福祉の増進ですか。(以下、略)
◆コメント:5.6兆円も使い込みをしやがって、何が改革だ。
年金改革法案の成立に当たって、野党が牛歩戦術を取ったのは、時間の無駄であるが、そんなことまでしても抵抗したくなる酷い法案であることは、確かである。法案というか、政府の姿勢の問題である。今までの問題を解決しないで、解決すれば保険料を引き上げなくてもすんだかもしれなかったのに、そういうことをしようという気配すら、なかった。いかにも狡猾、不誠実である。
言い方を変えるならば、与党が年金改革法を、まともに審議しないで成立させようとしたのは、まともに審議するとヤバい証拠であり、まともな法案であるという自信があるのなら、きちんと内閣総理大臣が国民に説明するべきなのである。
最大の問題は、今の役人に都合が良い制度、年金掛け金が社会保険庁の職員の社宅の建築費などに使いたい放題の年金制度の欠陥を、真剣に正そうとしないまま、保険料率を引き上げる法案を通したことだ。まず、無駄遣いを減らし、それでも足りなければ、年金保険料を引き上げる、というのが、常識的な行動だ。
ネット上で年金問題を調べていたら、たまたま、民主党の衆議院議員・長妻昭という人のサイトに行き着いた。そこから衆議院議員の議事録まで読んだが、いい仕事をしている。私は個人的にはどの政治家の後援会の類には属さない。ただ、この人は客観的にみて、正しい手順にのっとった、理屈の通った議論をしている。
この人のサイトを読んで愕然としたのは、国民年金や厚生年金の保険料は、当然、将来、自分に還元される年金の財源としてのみ、蓄えられているのではなくて、社会保険庁の役人に好きなように使われている、という事実である。
記事2は引用が少々長くなったが、衆議院議事録という公文書上に、5.6兆円という巨額の年金掛け金が流用されていることを、厚生労働大臣が認めている、という事実が、明確に記録されていることを示したかったのである。
原本を見たい方は、衆議院会議録に行って、厚生労働委員会をクリックして、さらに、左にインデックスが現れるので、4月9日第10号を選ぶとよい。後は、Ctrl+Fで「長妻委員」をページ内検索すればすぐ見つかる。
また、この部分の音声と画像(これは、RealPlayer。Windows Media Playerを選択するためには、衆議院審議中継を開く)も簡単に聞くことが出来る。坂口厚労相がはっきりと、「5.6兆円でございます」といっている。
我々が支払った年金の掛け金は次のようなことに使われているのだ。
- グリーンピアなどのレジャー施設。ほとんどが赤字垂れ流し。
- 社会保険事務所の建設費。18億6503万4000円(平成15年度〜16年度予算)
- 社会保険庁の幹部が乗る公用車(黒塗りの高級車)。2億8637万1000円・247(平成10年度〜14年度決算)
- 社会保険庁の職員宿舎。例えば横浜市内の高級住宅街にある宿舎は3DKで家賃\21,167。同じ場所で民間の賃貸マンションならば家賃は12万円だという。
- 社会保険庁の職員の健康診断の費用。
- 社会保険庁の職員が仕事帰りに起こした交通事故の損害賠償(全額)。
- その他、社会保険庁の事務費用全般。
これを見て、怒らない人は、自分は鈍感だと思った方が良い。
今日のニュースを読んでいたら、長妻議員が、昨日、また新たな掛け金流用を暴いたという記事を発見した。どうして、マスコミはこういうことを大きく取り上げないで、牛歩戦術は良くないとか、枝葉末節ばかり報道するかな。何度も書くが、そういうのを、Sense of Proportionの欠如というのだ。
◆記事3:<社会保険庁>掛け金から1200万円支出 職員娯楽施設に
社会保険庁が国民年金や厚生年金などの保険料の掛け金を使って、ゴルフ練習場など職員用娯楽施設の建設・維持に98年度以降の6年間で少なくとも1200万円近くを支出していたことが4日、分かった。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に対する政府の答弁書で明らかになった。(毎日新聞)[6月5日3時3分更新]
◆コメント(続き):だまっているから、政治家と役人はつけあがる。
4月9日の国会答弁の翌日なんて、新聞は、一面ぶち抜きで、「社会保険庁、年金掛け金5.6兆円を流用」と一大事件にしなければいけなかったのだ。こういう大きな問題をきちんと取り上げず、国民も、年金問題なんて、何だか面倒くさいからといって、情報を収集しないのは良くない。なにも難しい話ではないだろう。
- 国民年金は、年金支払い以外の目的、社会保険庁の役人の娯楽費にまで、ものすごい金額が無駄遣いされている。
- 政府はそれをまず正すことをしないで、保険料が足りないといって、年金改革法案を成立させた。
こういうことに対して、黙っているからいけないのだ。
2003年06月05日(木) 「大量破壊兵器に関して、アメリカで政治問題化」 だから、前から言っているだろう。