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2003年11月06日(木) |
<睡眠改善薬>「ドリエル」、都市部で販売好調←これは抗ヒスタミン薬であって、睡眠のための薬ではないのです |
◆記事:<睡眠改善薬>「ドリエル」、都市部で販売好調
処方せんなしで購入できる睡眠改善薬として、4月の発売開始からヒットしているエスエス製薬の「ドリエル」について、同社は4日、都市部の販売が好調という調査結果をまとめた。「都市生活のストレスや、都市の24時間化に関連がある」とみている。
ドリエルは、大衆薬として初めて「不眠」に対する効能を認められた。作用は医療用より緩やかで、寝つきが悪いなどの「一時的な不眠」の症状を改善する。
9月までの人口10万人当たりの販売個数は、東京都が1460個で首位。1000個以上は大阪、愛知、神奈川、鹿児島、石川など計13都府県で、都市部が目立った。一方、最も少ないのは、秋田県の474個。
同社は当初、年間販売目標を6億円としていたが、4月の1カ月で達成し、5月に目標を15億円に修正した。しかし、9月までに13億円を突破したほか、テレビCMを10月から始めたこともあり、再び上方修正するのは確実だ。
◆所感:医者に眠剤を処方してもらったほうが安くて安全で、よく効く。
このドリエルという薬の成分を見ると、「塩酸ジフェンヒドラミン」となっているのに驚く。これは、抗ヒスタミン薬である。鼻炎用の薬などと同じです。アレルギーのための薬。アレルギーの発症にはヒスタミンという体内物質が関係している。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの受容体、レセプターですね。本来ヒスタミンがくっつくところに先にくっついて蓋をする。それによってアレルギー症状を抑えるためのくすりなのです。
この「抗ヒスタミン薬」の副作用として、「眠気を催す」という作用がある。鼻炎用カプセルとか飲むと眠くなるでしょう?あれですよ。ドリエルはあれと同じ薬。それを睡眠改善薬として、しかも、6錠1,000円で売っている。暴利ですなあ。
何故、暴利であるかというと、「ドリエル」は1錠25mg。1回2錠飲むことになっている。だから、1箱は3回分でしかない。それで、1,000円で売っている。これと全く同じ薬でアレルギー用として市販されている「塩酸ジフェンヒドラミン」は、10mg錠が80錠で500円なんですよ。
つまり本来アレルギーの薬である「塩酸ジフェンヒドラミン」を、本来の使い方ではない、睡眠改善薬として売り出すときには10倍以上の値段にしている。それが「都市部では販売好調」。新聞記者ももう少し勉強してから記事を書いてもらいたい。
一般市民の医学・薬学的知識の無さ、「不眠だからといって、安易に精神科には行き難い(不眠は精神科や心療内科の領域ですからね)」という心理につけこんでいる、と言わざるを得ない。
3回分で1,000円・・・・・。
私は、精神科で抗うつ薬のほかにずっと睡眠薬を処方されているけれども、睡眠薬だけなら、14日分で700円ぐらいしかかからないですよ。しかも、こちらは本来の睡眠薬。眠るための薬であるから、効き目は確か。アレルギー薬の副作用で眠るなんて邪道ではないかな。
ちなみに、現在処方される睡眠薬はベンゾジアゼピン系といって、大脳辺縁系や視床下部といった、脳の一部にのみ作用するもの。「睡眠薬自殺」なんてミステリーにしばしば出てくるが、あれは昔の話で、昔の睡眠薬はバルビツール系という種類の薬で脳全体に作用した。だから、大量に飲むと呼吸中枢にも作用して生命の危険があった。
今の睡眠薬は安全なのである。精神科の薬は恐ろしい、というのは完全な偏見である。以前、某掲示板で、精神科の薬(向精神薬という)を飲んでいると廃人になる、などというデタラメの発言を見たことがあるが、いい加減な事を言ってはならない。
私は、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などをすでに5年以上飲んでいるが、特段の異常は認められない。私は自分の文章が名文だと自惚れるほどのバカではないが、一応、私の言わんとするところは、読者諸氏に伝わる筈である。
この程度の文章を書ける人間が「廃人」に分類されるということになったら、日本人のかなりの部分は廃人になっちゃいますね。
話が横にそれたが、要するに結論は、眠れないのならば、高くて、本来、睡眠薬ではない市販薬を買って、製薬会社にボロ儲けさせるよりも、専門家の診断を仰いだ方が結局は安全であるし、得ですよ。ということになる。
2002年11月06日(水) マスコミのいい加減さ