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JIROの独断的日記
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2003年09月23日(火) 総裁選、内閣改造で大騒ぎして、大事なニュースをすぐに忘れるマスコミと世間。

◆ 先週末から、今週初めにかけてはもっぱら自民党総裁選と、それにつづく内閣改造のことばかりをマスコミは報道して、世間もそちらに気をとられているが、世の中では、その間にも重要なことが行われたり、起きたりしているのである。

◆ 1つは、先週末に金融庁が発表した大手銀行の業務改善計画である。5月半ばにりそなホールディングスへの公的資金注入が決まってから、マスコミは他の大手金融グループの経営状態はどうなのか、金融庁が特別検査に入ったがその結果はどうだったのか、大騒ぎをしていたはずである。

 りそなへの公的資金注入が決まった後でも、金融庁が監査法人に圧力をかけて、「自己資本は十分にある」という、監査報告を出させようとしていた事が、ほぼ明らかになったが、なんとなくうやむやになってしまった。それどころか、実はりそなは債務超過だったのではないか、という疑惑がしきりに国会でも問われたのだが、竹中平蔵金融・経済財政担当相は、「プロの監査法人が『債務超過ではない』という結論を出しているのであるから債務超過ではない」と、監督官庁の長としては、あまりに頼りない答弁で誤魔化した。

 誤魔化した竹中大臣、すなわち小泉政権は結果的には正解だった。いまや、りそなの問題を取り上げるマスコミも無いし、世間も忘れている。僅か2、3ヶ月で。

 金融庁はしかし、その後、銀行との癒着体質を問われるのを怖れ、8月1日、「今年の3月末における大手金融グループの収益状況が悪すぎる。収益改善計画を作成して1ヶ月以内に提出せよ」との業務改善命令を出した。これも茶番で、銀行に対して「お上」は厳しいスタンスを崩していないぞ、というポーズを示すのが目的だったのである。なにしろ、今年の3月末の日経平均大引は7972円71銭だった。銀行は株式の含み損だけで大赤字になったのは当たり前である。

 各銀行は8月29日に業務改善計画を金融庁に提出した。金融庁はそれらを全部点検して、先週の金曜日、9月19日にホームページに掲載した(これがまた、いかにもお役所の発表の仕方で、見た瞬間に、詳細を見てみようという気をなくさせるような形式である)。

 このような重要な動きがあったというのに、マスコミは全く、とは言わないが、もはや殆ど無関心である。理由は簡単だ。最近、株が上がって銀行が保有する株の含み益が大幅に増大して、とりあえず、金融危機が訪れる心配がなくなったからである。

 しかし、これは軽率だ。今は株がたまたま上がっているから、銀行が潰れる心配もないけれども、来年3月の本決算のときに、株価が今と同じ、またはそれ以上の水準を保っている保証は全く、無い。相場に「絶対」ということはありえないからだ。

 だから、今の株価で一喜一憂していないで、マスコミは各銀行の収益改善計画が妥当なものなのか、きちんと分析して見解を示す義務があると思うのだが、どうやら、やる気はなさそうだし、世間も関心がなさそうだ。いい加減なものである。

◆もう一つは、8月19日に続き、バクダッドの国連事務所に乗用車が突っ込んで爆発した。自爆テロである。イラク人警官と車を運転していた犯人が死亡。他の警官ら少なくとも12人が怪我をした。前回よりも規模的には小さいが、国連ですら、イラク人武装勢力のテロの標的になっている。どうしようもなく治安が悪い。

 私は、既に何度も書いたが、自衛隊が派遣されようとしているのは、こういう場所なのである。それなのに、自衛隊に対して「周到な準備をするように」と述べたのが、小泉内閣総理大臣である。一体、どういう準備をしろというのだ?

 小泉内閣総理大臣には、自衛隊員を殺傷する未必の故意がある、といっても過言ではないと思うのである。

 内閣改造よりも、本当は、このような世の中の動きの方が重要なのだ。マスコミはうわべの派手さだけを追いかけて報道していてはいけないし、国民も本当に大事なことを忘れるべきではない。


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