六月一日にぼくは死のうと思った 同じ日に紙飛行機を飛ばすための塔が建てられた +++++ 彼は霧のなかを出航する。 わたしがはりさけそうな眼で手を振るのは 艦船の名があの人の名前だからということに 彼は気づかない。 +++++ まっしろな虎はちりぢりに この国を細々と占めていく、 +++++ ハーメルンの笛がきこえたとき 両足をそこなし沼にとられていた少年は 世界を背負って歩きはじめた。 +++++ 家がくらりと揺れたとき、 少年の妹は靴下を解く手を止めて顔をあげた。 彼女は一昨日産まれたばかりだったが その耳はもう笛の音をとらえない。 ほどかれた靴下の毛糸は、 明後日産まれる彼女の娘の為に編みなおされる。 +++++ 紙飛行機のための塔が建てられた日 ぼくは死のうと思った ++++++++++ 「ビニイルハウス」 まくらをやぶって そのなかに とじこめた の、 食虫植物のイメージ。 つるからつるへの幻想 さばく、 光合成 と呼んだ あなたのては うすみどりをしていて わたしのてのひらからすりぬけてゆく たいようはえいえんに沈まない、 いろの果てのいろをした はなびらを すくっては すくっては ひざに積もらせて (楽器をつくろうとしていたの、) リリー と発音できなかった いつも リギー、リギー せばまったのどのおくで わたし、 まよなかに目がさめて、 ゆめのつづきで 三月の朝と六月の池の共通点について かんがえた。 ぬるいひえこみ しめりけ 水仙、 かぜはない。 乾いたはなは どうぶつのおとをたてる けれど あなたは植物だった、 (笛でひまわりはこちらを向く?) けれど、 はなはもう おとをならさない かぜはしんでしまった まくらがないので ゆめは もう みない ねえ、リギー まぶしくて 匂いしかみえないよ。
うみ + home
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