OH GREAT RABI RABI

ぼくはけしてとりちがえたりしないよ、
2002年03月28日(木)



ぼくはけしてとりちがえたりしないよ、



と ドラゴン・キッドは云った。

ぼくは全てを透きとおす眼をもっている。
そのまえに世界はすみれ色だ。
水滴は飽和物、
月は紙粘土で出来ている。
電車は夜明け、
天使は五本足、
ポストはチョコレートのかたまりだ。
地面は育ちすぎた胎児が支えている、
猫は物質化された時間だけど
色によって役割がちがう、
たとえば三毛はひだまりというふうに。
隕石はぼくも見たことがない、
けれどもロケットは突きぬける、
なかでも月ロケットは記憶まで。
鳥はホメロス叙事詩を謳っている、
歩きかたはさざなみ、
お皿は永久凍土、
舗装道路は物語のはじまりへと続いている。
標識は細かい縦線の集合体、
信号は砂嵐のなかの一点、
灯台は細い旗と、一人の人間。
雨は幻のように降る、
温度は下がりつづける。
きみは静かな溜まり色をしている。
ぼくはその色がとても好きだ。

僕は、君を美しいと思うのに
本当の色はちがうのだね。
いつからか触れなくなった、

とっくに気づいているよ。
ぼくの名前にはスカイが含まれている。
触れなくても思いだして。
握りかえす。
ぼくはいるよ。
ぼくはいるよ。














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