イエロウ・ドレス ちぎれてゆく ちょうの きいろ つまさきから なかゆびまで りんとした くものいとをとおし くうきの きまったばしょにとめる そうしてできた ひょうほんは そよかぜにふられて ぶらんこのように もどってくるんだった、 たしか。 (あなたは いま どこかでおどりつづけていて その ようふくのこすれるおとが ふしぎに みみにさわるのです) ちょうをむしっていた きみのては しだいに とうめいになって やがて ちょうは しぜんにちぎれてゆく そんな きおく。 そのとき ちるようなはなは さいていなかった なのに よわいかぜがくると いっせいに はなびらがちゅうにまって そのなかで ひときわ ぎこちなく あおられている (おどりばの ひとつひとつに おどりこがいて ぼくは かいだんをのぼりながら いくつものおどりを おぼえた) おくじょうの じめんには むすうの ちょうのひょうほんがとめてあって あしの ふみいれるすきまもなく つまさきだちになっても とても たどりつけなかった よわいかぜがくる いっせいに ひょうほんから りんぷんがまう ぼくはせきこみながら めをこらす むせぶような こなのおくに ほんものの きいろ。 かだんのよこで ないていたきみの ちいさく くちずさむうた それにあわせて ぼくは でたらめにおどりだす おどりながら ちかづいてゆく ゆれるようふくのはしに てを のばす ふれる と どうじに あなたは ちぎれて きいろだけが ぼくのてのひらに のこった (あなたは しぜんにちぎれていった いろ と おとだけを ぼくにこすりつけて) きみは りんぷんで きいろにそまって ひょうほんのように ぼくをまっていた そして とうめいでなくなったてで ひたすらに ぼくのてを にぎった。
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