スカーレットの心のつぶやき
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母は強しと言うけれど
まさにその言葉の通りだった。
私の体重は依然として増えなかった。
最後のひと月の間に二キロは増えたけれど
それでも38キロか39キロを行ったり来たりしていた。
あの下腹部の痛み、
排尿の時の痛みの原因は
お腹の赤ちゃんへ母体からカルシウムが取られて、
私の恥骨が骨折していたのだ。
婦人科の医者も分からなかった。
あの何とも表現できない鈍痛の原因が
骨折によるものだたとは!
意外だけれど、これで良かったのだと思った。
お腹の赤ちゃんは私の体の栄養を全て
吸収して育って行っていたのだ。
私が弱るのは当たり前だ。
それでも、私は頑張って十ヶ月を持ちこたえることが出来た。
娘が生まれたのは四月、
桜の咲くとてもいい季節だった。
桜がちらほら咲き始めると
私は大きなお腹をかかえて
毎日毎日桜を見に出かけた。
私の目に映るものは
薄ピンク色の桜の花びらと
その花びらがそっと風に揺れる姿、
満開の桜の木から覗く青空、
そして花びらの絨毯。
本当に綺麗だった。
胎教など全くしなかった私が
唯一お腹の赤ちゃんに見せてあげることの出来た
美しいものが桜だった。
あの頃の私にとって
桜を見ることは
私の未来を見ることだった。
桜の花は春の訪れと共に綺麗に咲き、
そして満開の花で皆を楽しませ、
そして潔く散っていく・・・
そんな桜の生き様に心惹かれるものがあった。
心とは本当に不可解なものだ。
心の中で色んなことを思い、
それを頭の中で理解しようとしても
出来ないことが多い。
私の場合は本当にその通りだ。
頭では分かっているつもりでも
心の中で納得していない限り
理解しているということではないのだ。
私の人生で
一番辛いことはこのギャップに悩む時だ。
過去も現在もそして未来も・・・
ずっとずっと私はこのギャップと闘うのだろう。
娘の誕生に寄って
私の人生は180度変わった。
本当にそれまでの私では考えられないことが
いっぱい起きた。
まさに奇蹟だとしか言えないことも起きた。
娘の誕生は私を生きる道へ誘ってくれた。
それからの私はただ娘を育てることに必死になり
いつの間にかあの我儘だった私が
娘を一番に思えるような人間に変わって行ったのだ。
スカーレット
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