スカーレットの心のつぶやき
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2006年01月06日(金) 足音��

Kのことについて思い出すことはあまりない。

確かに私の高校三年の時に

私にとって影響があった人ではあるけれど

それはただそれだけの存在だったに過ぎない気がする。

あれから30年の月日が経った。

同窓会に出ることのないK。

彼は警察官になり公安として隠密裏に動いていると聞く。

彼にそんな才能があったことを今でも信じられない。

警察官になったKは、

今ではもう私の存在などすっかり忘れてしまっているに違いない。

あのドライブの危うい瞬間も

コタツの中での危うい時間も

すべて記憶の外であるに違いない。

私も同じだ。

ただ、真っ暗闇でコツコツという足音を聞くと

何故か私の過去からKが私に迫ってきているような

そんな気持ちになっただけだ。

過去を消すことは出来ないが

現在の生き方によって

過去を変えることは可能だ。

今のKにとってあの過去の一年間は消し去られているだろう。

そして私自身の心の中でも

嫌な思いや鬱陶しい感じが消え、

妙に懐かしさを感じるようになってきている。

あの足音さえ聞こえなければ

Kのことなど思い出すことはなかったはずだ。

記憶とは時に残酷ではあるけれど

ある意味では有り難いものではないかと思う。

私の今までの50年間の人生の中で

一番存在していたRとのことも

記憶の風化により

今はもう完全に私の中では過去のことになっている。

でも、反対に

私の人生を狂わせた張本人であることも間違いはない。

そんなRのことが

真っ暗闇の中であのコツコツという足音を聞くたびに

私の記憶の中で鮮明になって

時に狂おしいほどの切なさと

思い出したくないほどの嫌悪感を伴って襲ってくるのだ。


スカーレット