小説の構想やら更新予告やら短い話やら。
誤字脱字やら単語が中途半端に途中だとか色々あるけど気にしない。

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足りない、足りない。
2003年01月20日(月)

 久しぶりに部活に亜久津が出ていた日曜日。
彼の異質な雰囲気に、部員達はナイショバナシのようにこそこそと隠れて何事かを囁き、早めに部活を切り上げていった。部長の南までが、千石に鍵を押し付けて帰ってしまった。
日はまだ高いというのいん、コートには、亜久津と千石しかいなくなった。
 一足先に部室に入って行った亜久津を、木陰でその姿を見ていた千石は追った。

「おっつーあっくんv……さてところで問題です。俺に足りないものってなーんだ?」
「…………てめぇに足りねぇのは常識だろ」
亜久津は嫌そうに顔を顰め、扉を閉めかけたが、千石の腕力がそれを阻止した。
「えー!!…ていうか閉めないでよドア、俺も着替えんだからさー」
「…じゃあ外で着替えろ」
「やだやだやーだー!視姦されちゃうよ!」
「されねぇよ!」
「なんでよーこの清純君はこれでも人気なのよー?生写真一枚500円なんだよ?」
やっぱ俺ってかっこいーからさーvと、首をかしげるついでに、組んだ両手を頬にあてるようにして笑う千石に、亜久津は冷たい視線を送った。そしてすぐに、鉄製のドアを閉めた。連続動作で鍵も閉めた。
「は、馬鹿らしい」
「あッ!閉めないでってば!ちょ!開けてよ!何鍵なんてしめてんの?!」
「うるせぇよ、少しは黙れ」
「むー……あ、で、さっきの続きなんだけどー…ヒントはねー……俺が、愛の狩人って事かな?どうよ?わかった?」
「知らん、ていうかお前煩すぎ」
「えーえーえーかまってよー寂しいよーあっくーーん!!」
「あっくん言うな!」
「じゃあ仁君」
「却下」
 制服を着込み、溜め息混じりに亜久津が扉をあけると、鈍い音と共に千石の悲鳴が聴こえた。
「ッ痛!」
外で、痛そうに額を手のひらで覆い、頭を抱えるようにしゃがみ込んだ千石の頭を、亜久津は軽く蹴る。
「ばぁか」
「〜〜っあっくんのばかー!」
「てめぇよりは馬鹿じゃねぇ」
つきあってられない、と言いたげな視線を千石に向け、歩き出そうとしたが、すぐにズボンの袖を捕まれてしかたなしに亜久津は立ち止まった。
「あッまってよー一緒に帰ろうよーー!」
「………一分以内なら待ってやる」
「わかった!ほんとにまっててよ?!」
千石はそう言うと慌てて部室に走り込んだ。部室に、派手な音が響いたりしはじめたのを聞いて、亜久津は顳かみを抑え、コート脇のベンチに座った。
「………あと十秒……」
首をコキリと鳴らして、半ば呟くようにそう言った途端、勢い良く部室の扉が開き、千石が学ランを着込みながら走ってきた。
「わーまってまってまってーー!」
「チッ……間に合ったか」
「なーにそれ、嫌みたいじゃん」
「嫌だからな」
「あっくんのう・そ・つ・きー」
「はぁ?」
「嫌だったら待たないでしょ、フツーは。 はい、行こっか」
「つくづくマイペースだなテメェは」
「そうでもないよ、あ!」
「何だ」
「……答えわかった?さっきの。」
「……知らねぇよ」
「………ほんとに?」
「ほんとに」
「……じゃあ教えてあげる」
「教えてくれなくて結構だ」
千石はクスリと笑い、呆れ顔の亜久津の首にしがみついた。
「……真面目に聞いてよ?」
「別に言わなくて良いっつってんだよ」
「…………あのね、」
そして千石は亜久津の耳に、触れるぐらい唇を寄せて、ゆっくりと、感情込めて囁いた。

――俺には君が、足りないんです。

暫く、亜久津の表情が固まり、動作も止まった。
徐々に赤くなり、表情を動かし始めた亜久津を見て、千石はクスクスと笑う。
「アイジョウ、も、もっと欲しいけどね」
「……………ッ!知らん!」
亜久津は忌々しげな表情で、離れろ、と千石に尻餅をつかせて歩き出したが、すぐに千石に呼び止められた。
千石はニヤリと笑みを浮かべ、煙草とライターを握った右手をひらひらとふった。
「忘れ物!……この煙草とライター、亜久津のでしょ?」
「……いつの間に……ったく手癖の悪い……」
仕方なく戻ってくる亜久津に、千石は左手を差し出し、起こせと要求した。
「まぁ、愛故になせる技ってやつヨ?」
「馬鹿ばっか言ってんな、さっさと返せ」
「はは、一緒に電車に乗ったら返してあげるよ」
そして亜久津によってぐいと引っ張られた手を、握り返す。


――俺にとって欠けているのは、空の色でなく、君である。


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はい。続き書き終ったのはうっかり23:30です。ヒィ!
君が足りない、ってのを書きたかっただけ……
もー何がなんやら……。




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