「うわ…煙草くさ…ッ!」 「文句あんなら来なきゃいーだろーが」 亜久津は乱雑に、コンビニのビニール袋を置いた。南は続いて部屋に入る。部屋はとにかく物が必要最低限にしかない、そうとしか言えないぐらいだった。 「いや、折角のお誘いだし…」 「はっ阿呆らし…。」 「そう言うなって…で、どこ写させて欲しいんだ?」 「…あー……っと……ルートだかなんだかの…」 「何、√わかんないの?」 「ンな事言ったって出てねぇ授業の内容なんざ知らねぇよ、貸せ」 「…ったく……授業出ろって言ってんじゃんか…」 「めんどくせぇんだよ…」 「でも俺にわざわざノート借りるのも面倒だろ?」 「千石よりマシだ」 「なんでそこで千石が出るんだよ、大体彼奴は小言も言わずによろこんで貸すだろ?」 「あのバカは条件出すから………おい、お前これなんか抜けてるぞ、単語」 「え、どこ」 「ほら、ここの…」 「あ・あーあーあーー!これは千石がいきなり手紙なんか投げてよこしたから聞き逃したんだよ」 「チッ…何やってんだ彼奴は…」 「はは…でもそんな重要じゃねぇとこだって」 「………………」 亜久津は黙り込み、しばらくシャーペンを走らせていたが、ふと、動きを止め、煙草を取り出すとライターで火を付け、吸い始めた。そしてテーブル上のシャープペンの横に、ライターと煙草を置いた。 「何、いきなり」 「…口寂しくなっただけだ」 「うわジャンキーってかんじだねー」 「うっせぇ」 「………………亜久津さ、いつも吸ってる煙草違くない?」 「……よくわかんな」 「だって匂いとか違うじゃん」 「…同じのずっと吸ってと飽きちまうからな、」 「…飽きたら困るの、亜久津は」 「……ああ」 「へーぇ…中毒だねぇ、ほんと。お前肺癌で死んじゃうよ」 そう言って苦笑する南を見、亜久津は手を止めてニヤリと笑った。 「それより先に殺されんじゃねぇの?」 「…………誰に、」 「…誰かに、…ンな事わかんねぇよ、もしかしたらお前かもしれないし、」 「……………千石かもしれない?」 「…さぁ、な」 亜久津はシャーペンを再び走らせ始めた。 亜久津の字は綺麗だけど、なんだか少し神経質に見える、と南は綴られていく字を見ていた。 「…………でもそういう事言う奴に限って長生きするんだって知ってる?」 「……知らねぇよ……ん、サンキュ」 「どういたしまして、」 -- 続かなかったので没。
|