忍足がシャワーを浴びて部屋に戻ると、ちょうど見計らったかのように携帯が鳴った。(否、正確にはバイブレーションにしていた携帯が、机の上で震えて音をたてたのだが) 「…何やろ」 髪を拭きつつも手を伸ばして携帯を取り、受信したメールを読む。 『明日暇?』 内容はたった一言。差出人は向日。忍足は一瞬考えたが、すぐに返事を送る。 最初はメールを打つ事も頻繁ではなかったので、別に早くなかったのだが、向日とのメール交換を繰り返すうちに、自然と忍足もメールを打つのが早くなっていった。お陰で通信料で親に怒られた事もあるようになるぐらい、頻繁なメールのやりとりは増していった。 同じ学校にいても、会えない授業中や中休み、休日には会ったりもするがやはり会わない時のやりとり。そして分かれ道から帰宅するまでのやり取り、さらにその後での寝るまでのメールのやりとり。 はっきりいって異常な量だ。しかし内容は大したものではない、一言づつの、取り留めのない会話。会って話せば五分もかからないような短い会話だ。 しかしそれをわざわざメールでやりとりする事が、2人とも楽しくてしかたなかった。 メールが届くまで待つ時間も、相手が返事を打っているのを待つ時間も、どちらも歯痒く感じる事がないとは言い切れないが、その感覚すら楽しかった。 『暇やで』 返事はすぐに返ってくる。 『じゃあ遊ぼうぜ、何時がいい?』 『何時でも』 『なら二時に"セブン"な』 『ええよ、待っとるで』 セブンというのは2人の家からの中間点にある、紅茶が美味しい喫茶店だ。 向日が好きで、よく行くので一緒に行く忍足もなじみである。 『じゃあ、明日』 直接顔が見えないのは寂しい。 直接声が聞こえないのも寂しい。 それでも電話でなくてメールなのは、声を潜めるようなやりとりが楽しいからだ。 声を潜める、何かを誰かから隠すように、身を隠すように声を出さない会話は面白い。 いや、やはり直接会える事よりも嬉しい事などないのだけれど。 -- なんかイマイチなんで没。 イイ設定かと思ったが私携帯もってないから説明とか書きづらいだけだった。
|