えーと、あれです、以前描いたBR in 山吹(ものすごく描き直したい)。 小説に、しようと思いたったわけです。 微妙な部分ばっかかなーとか思うけど。 もうさ、絵のほうにネタバレ書いてあるからどうしようかなーとか思うけど、とりあえず、とりあえず微妙に。 ていうか今気づいたけどここに室町っておかしいよね、彼奴二年生だよ。(大笑) 気づくのおっそー!!アッ しかも私、壇も書く気だった!(爆笑) …………………………あ、なんでか解った、これ山吹でっていうかテニス部内でっていう設定だったんだ…(しかしそれって人数少なそうだね…) 暗い話。ていうか誰も幸せにはなれない話。 なんつうか弱(?)パラレル。 -- 『残ってるのは―…亜久津君…と、千石君ですね。残り時間はあと二時間です、2人とも頑張ってくださいね、』 ブツッと乱暴に放送が途切れた。伴田の声を聞いて相変わらず嫌な声をしている、と思いながら千石は、立ち上がった。 先程まで弱く降っていた雨が止んだ。 その雨水が、地面の凹凸にたまっていて歩く度にパシャパシャと水滴が跳ねる。すこし、赤い血が混じったその水滴が、白い制服のズボンにかかる。 赤い血の流れ出る先―…室町の腹の辺りは大量の血で染まり(どうやら切腹したようだった)、左胸には彼に支給された武器であるサバイバルナイフが深々と突き刺さっていた。彼自身の両手にしっかりと握りしめられたまま。 それは彼自身が、彼がとても尊敬している千石清純を生き残らせる為に、彼自身が自害した証拠だった。 彼のトレードマークのサングラスには雨のおかげで水滴がまばらについていたが、最後までサングラスの中の彼の表情はわからなかった。 「………ばいばい、室町君」 千石は室町に背を向け、そのまま森を進んで行った。足取りはふらついているが、楽しそうだ。無闇やたらに振っている左肩からはマシンガンをぶら下げ、右腕には一丁のピストルを。今にも落としそうな持ちかたで持っていた。 そして一度も振り向く事は無かったが、その坂道の、千石の足下にはしばらく赤い雨水が流れていった。 -- ガサガサと音をたてて亜久津は草をかき分けた。 とにかく、森は出た。あとは… ふと、亜久津はそこで思考を一旦停止させた。 あとは…何だ。 残っているのは、自分と、室町(しかしどうして彼もこのゲームに参加しているのかが亜久津にはわからなかった、何故なら彼はこんな馬鹿げたゲームなんて放棄するのでは、と思っていたからだ)、そして…千石。 もう他は誰もいない、実は意外と生き残るかと思っていた南(いや、だがやはりあいつは優しすぎた。こんな馬鹿げたゲームには向いていなかった、可哀想だが、本当に、こんなイカレたゲームは向いていなかった。)だって死んだ。 あとは、自分と千石と室町だけ、どちらも殺せば俺の勝ち、逆にどちらかに殺されたら俺の負け、と亜久津はそこまで考えて、目を閉じた。そして深呼吸。落ち着け、落ち着けばやられる事は無い。 俺は誰だ?俺は―………人殺しだ、そうだ、人殺しだ、イカレたゲームにつきあったイカレた人殺しだ。 亜久津自身、自責の念などあるとは思わなかったがどこかで悔やんでいるような罪悪感に似た感情にずっと抱きかかえられているような感じだった。 -- パララララ、とタイプライターのような音を立てて(どこかで見かけた表現だが、本当に似ている音なのだな、と悠長に亜久津は思った)千石のマシンガンが火を吹いた。 亜久津はとっさに右の大木の影に走った。 が、足に二発程あたり、大木の影に入ると倒れこんだ。 ―…健のあたりだ、クソ、やられた! 影にはいった亜久津には姿こそみえないものの、千石が微かに笑い声をあげながら近付いてくるのがわかった。 「亜久津ー?どーしたの、隠れてないで出ておいでぇー?」 ザクザクと、土を踏み締める音が近付く。亜久津の心音は高まるばかりだし、出血も止まらない。傷口が熱を帯びてきて熱く感じる。 「…亜久津、ほら、…出ておいで、」 大木の、ちょうど亜久津がいる裏あたりで足音がとまった。 しばしの沈黙。 沈黙に不信感を覚えた亜久津がそっと気の影から顔をだすと、瞬間、前方から千石にとびかかられた。 衝撃でそのまま千石に押し倒されるような形になった。亜久津は元から鋭い目をより鋭くさせて、自分の体に乗るようにすわりこんだ千石を睨んだ。 「やっとみつけた、久しぶり、亜久津」 千石はいつものような締まりのない笑顔をうかべると、亜久津の額にキスをし、次に瞼、そして唇にキスをおとした。 「……探したよ」 「………何で、」 「……………………会いたかったんだ、すごい、会いたかった」 そしてそのまま亜久津の体に擦り寄るように体を寝かせると、腕を回して亜久津の体を抱き締める。 「……何のマネだよ……」 「………………一回、だけ…だめ?」 「…嫌だ」 「…じゃあこのままちょっとだけ、それもだめ?」 「……………………」 「…………………………亜久津が、俺今でも好き、ていうか、愛してるよ」 「……お前何人殺した?」 「………俺はあんまり殺して無いよ、室町君が殺してくれたし」 「………室町…そういやあいつは…」 「自殺しちゃった」 「………自殺、だと?こんな土壇場で」 「こんな時だから、だよ。だって自分がいたら俺が生き残れないでしょ、って腹かっ捌いて、心臓指して、さ」 「何も感じねぇの?」 「…だってしょうがないじゃん、室町君の選んだ終わりに俺は文句なんか言う権利ないし」 「……最低」 「…別に、最低でいいよ、亜久津、ねぇ、大丈夫だよ。他のやつとは違って一発だから、すぐに楽になるから、ね? ごめんね。」 「は、」 亜久津が言い終わる前にドンッ、と鈍い音と共に亜久津の体は震えた。千石の手の中にある拳銃の、熱くなった銃口は亜久津の生暖かい血液に浸り、かすかにジュ、という音を立てた。 少しだけ跳ねた血が千石の制服と顔についた。千石はその血を指で拭い、舐めた。 「……………ごめんね、亜久津、でもさ、俺おまえの事一等大好きよ?」 ―…だってさ、亜久津、こんなのは死んだほうが楽だろ? 現実に絶望したりするより、俺の事を殺すより、俺が殺した方が、死ぬ方が楽だろう? 千石は亜久津の制服から、彼の煙草の箱から煙草を一本取り出して一緒に入っていたライターで火を付けて吸った。紫煙が立ち上る。 溜め息をつくように煙を吐き出し、また吸い込む、その作業を繰り返しながらも、千石はパタパタと無意識の内に流れ落ちる涙を拭う事も無く、目をふせて上を向いた。 もう日は傾いている、夕焼けも終わりかけだ。 -- 書きたいと思ったのは最後のほうだけなのであとは書かずに。
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