母のタイムスリップ日記
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重ねた歳月は 全ての人の平等である。 母が認知症と診断を受けてから経た歳月。手探りで今日まで共に歩んだ歳月は同じ。 母を見て年を取ったなぁと感じれば 例外なく私も年を取ってきているのだ。
数年前の母の写真を見たという職員の方が 「お元気だったのですね」と驚かれていた。 施設で出会った時には 介助なしでは過せなくなりつつある頃。 施設に入所した頃だって 84.5歳の頃だ。充分年寄りだった筈。
今は 更に年寄りになった。 家族は 病のない元気だった母の姿も記憶されており 年取ったなぁとしみじみ思うのだが…。 他の方が見ると母は若く見えるようだ。 93歳というと「若くみえますね」と言われる。
実は 最近の俯き加減の母を見ると 顔の筋肉が緩んで目元から口元までに顔の表面の皮膚だけが垂れ下がる。 顔をあげているときには 特別痩せたとも感じないのだが 俯くと脂肪がそぎ落ちたという感じがする。
今日は 殆ど言葉らしきものを発することもなかった。 でも目や表情や頷きで 母の状態が察知できた。 意志の疎通が出来ていたということである。
残念なことに食事前の母のサインを感じたが「大丈夫そう」と決め食事介助を始めた。 きっと我慢していたのだろう。そして我慢できていたのだ。 が食事があと少しで終わるという頃 再度母のサインがあった。 「出るの?」と聞くとじっと目を見て深く頷き 困った顔をしていた。 判っていたが どうする事も出来ずに続行。 しばらくすると 多少の臭いも生じた。
食後 「ごめんごめん」とトイレに誘導。 少量付着していたが座って直ぐにドドーッと。 我慢の限界を越え堪えていたのだと判った。 やはり母自身はちゃんと判っているのだな。 サインを受け止める人がいて介助できる人が必要なのだと感じた。 手当てをする私の顔や腕をそうっと撫でてくれた。 失敗したらから 判る事だなぁ。
その後 口腔ケア。360度歯ブラシは 舌や歯茎と頬の間に残った食べかすも綺麗に取れる。 気になっている口の中もすっきりするのが判るようだ。
撫でてくれるといえば 先日泊り込んでいた家族が 早朝母の居室に入って隣に横になった時 その方の頭をそうっと撫でてくれたと話してくれた。 その方が 暫く隣で母の頭を撫でてていたら再度眠ったそうだ。 我が家にいても同じ。また他の職員からも同様の話をお聞きする。
そうは言っても 認知症の後期の言葉を発せられなくなる症状は不憫だ。 数日前 友人からガン闘病の末亡くなったというお父様のお話を伺った。 ぎりぎりまで会話が出来て食べ物を口にしていたという。 父の事を思い出してみても 口数の少ない父だったが会話は可能だった。 そして少量でも美味しそうに食べていた。
母は話できなくとも 人の話はじっと聞いていると感じている。 今日も母の昔のお話を職員としていたら 母はニコニコと笑顔で聞いていた。
そうそう 今日も日曜恒例のNHKTVののど自慢。 みんなでワイワイ見た。
話せる人に話を振れば その時感じた事を言葉に出来る。 毎日「歯を磨きましょう」「食事ですよ」等日常の会話は用件のみ。 でものど自慢を見てると共通基盤で会話が弾む。 その雰囲気を話せない人も穏やかに楽しまれる。 今日もみんな充分に楽しみ笑いあいました。
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