母のタイムスリップ日記
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2007年04月01日(日) 家の感覚


昨夜は ぐっすり眠っていた。
寝室は 母と一緒。
私の就寝時にオムツを点検。濡れていなかった。
眠る時は「たらこ」の抱き人形のほっぺを摘んでいたが 上がっていくと抱えていた。きっと1度目覚めたのだろう。

人に拠って違うとは思うが 母は抱き人形が嫌いだった。
友人からアドバイスされて 試してみたが「何故 こんな事するのか」と怒った。
母は もともと 人形に依存する事を嫌っていた。
子育ても 依存しないような使い方をしていた。

でも人形が嫌いと言う訳ではない。
人形は あくまで人形と言う扱いであった。

が認知症が進行するに従い 人形への接し方が変化してきた。
最初は 話しかけることもなかった。
ただ「可愛い」と言う表現。
これが 基本的な母の人形とのスタンスだった。

要介護2あたりから 徐々に変化して目覚めた時に 布団の周りを囲むように人形を並び替えるようになった。
夜間 目が覚める事が多くその時に常夜灯の灯りの中で並び替え その後安心して寝入ったようだ。
人形は 布団の傍にあったが 低い棚の上に置いていたのだった。
夜間目覚めて 騒ぐ事は迷惑だろうと思う母の配慮でもあったと思う。
初期の頃は 安定していればそれくらいの配慮は出来ていた。

私はといえば 最初は「目覚めてしまったのに放置してしまった」という後ろめたさでいっぱいになった。

人形の話は またオイトイとします。

抱き枕と眠る母の姿に 母の病の進行を感じたし いとおしいと思う気持ちが残っている事が嬉しくもあった。

布団にもぐりこむ気配で 母が目覚め 目が合って直ぐ安心したようにまた眠りに落ちた。
「おかちゃん」と呼ぶ声もなかった。
状態的に安定しているのだろうという事だけは判る。

明け方「あ〜っ おかちゃん」と幾度か声を上げたが こちらは深い眠りに落ちていて起きられなかった。
きっと「排尿だろう」と思った。
トレーニングパンツにパットを入れているので心配はない。
ただ 母に我慢を強いる事になる。

目覚めて視線が合うと母は涙ぐんだ。
嬉しかったのかパットの濡れが嫌だったのか どちらかは判断が付かなかったのだが...。

早めに起きてトイレ誘導しぐっしょりのパットを替えた。
トイレでも排尿できた。

それから 朝茶。
母の昨日の尿量が少ないと感じていた。
明け方の量がズシッと重かったのでさほどの心配は要らないだろうが 足の浮腫みがも気になっていた。
お茶は 昨夜の内に小さな保温ポットに淹れておいたのだ。
母はおいしそうに 飲んでいた。

着替えて階下に下りる。
「階段だよ」と伝えると一瞬驚いていたが ゆっくりと嫌がらないで下りられた。
食卓テーブルに着いて ほんとの朝茶を飲んでもらう。
お茶を飲んでいる間に 昨夜 洗濯した母の衣類をベランダに干した。
衣類は家にも置いてあるが 昨日丁度良い着替えがなかったから。

戻るとお茶は半分以上飲み干していた。
「家に帰りたくない」とポツリと言った。
昨夜「ここは家よ」と言ったら「ここは家ではない」と言っていたのだ。
聞き違いかと思って 行く度か聞きなおしたが 答えは同じだった。

朝から鼻水が幾度か出て「鼻が出た」と訴える。
その度にティッシュを渡すと 自分でしっかりかんでいた。

この言葉も半信半疑であった。
母の言葉足らずは 最近多いのでその辺の判断は微妙なのである。

朝食は夫と3人で食べた。
夫に「あそこにいるよ」と私を指差した。
言葉では表現できないけれど 私と夫との関係や何故ダイニングに夫が来たかをボンヤリと理解できていると感じた。

食後 家族の分の洗濯を済ませた後 母に入浴してもらう。
今日は 昨日洗い切れなかった足や頭を洗った。
酷い拒否はなくて 機嫌の良い状態で入浴できた。

お風呂から上がった後 脱衣室に準備した椅子に座って貰って その間風呂掃除をした。
母は 静かに見守っていた。
湯上りなので 汗も滲むようでタオルを一枚渡しておいたら 自分で汗を拭いていた。

風呂掃除が終わると そのタオルを綺麗に畳んで私の汗を拭けと渡してくれた。「ありがとう♪」と言うとコックリと頭を下げた。

その後 娘が母にアロマセラピーを施していた。
また 水分補給に 母の口に合うようにジュースを飲ませてくれていた。

程なく 昼食。
昼はスパゲッティーなので 口まで運ぶのに苦労していたが 歯でしっかり噛み切って 食べやすいように自力で工夫できていた。

夫が母にプリンを買ってきてくれたのでデザートはプリン。
他に生のアロエと文旦。

昼食後 そろそろと爪切り。
嫌がることもなく手足の爪きりが出来た。

母は 鏡に向かうと自分の身なりを点検する。
直す事は出来ないが気になっている所に手が延びるので そこを直してあげて「どうですか?」と聞くとこっくりと頷く。
自分を客観視できる能力は残っているようだ。

コートを着て帰り支度を始める頃から 母の機嫌が悪くなって押し黙ってしまうようになる。
言葉で言わなくとも判っているように感じる。

車に乗っても「あっち向いてほい」と言う感じ。

施設の駐車場に着いて車のドアを開け 下りるように促すと「ここには行かない」と拒否。
いや 初期の頃のような強い拒否ではない。
だが でんと座って微動だにしない。

娘が「私も一緒に行くから行こうよ」と言うと暫くして下りた。
機嫌は悪いままである。

戻っても 何時帰られてしまうかとキョトキョト。
トイレに物を運んで私の姿が見えなくなると不安がったと娘は言っていた。

落ち着くまで 暫く傍にいて おやつを食べ始めて気持ちが緩んだ頃にそうっと施設を後にした。


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