母のタイムスリップ日記
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歯科予約の日である。 今朝は みんな早く家を出る筈だったが 娘の用向きがキャンセルとなったようで 通常出勤。 食事の支度のみ済ませて家を出た。
母は割りにご機嫌。 先週より少し遅い時間なので 朝食は済んでいた。
手洗いを済ませて 職員に排便の有無を確認をとってから トイレ誘導。 トレパンは汚れていなくて 便座に座りお腹を少しマッサージしたら ジャストミート。 しかし 出かける寸前で介護者としては ホッとするやら慌てるやら...非常に微妙な心理状態となった。 「遅れてたら遅れた時の事だわさ」と気持ちを切り替えた。 こちらがゆったりしていると 母の顔も緊張感がなく ニコニコ。 全て終えるまで 十数分経過。
万が一を想定して パットを1枚追加してバックに詰めた。2枚あれば 緊急も何とか凌げるだろう...。母のミニバックはパンパンになった。
寒さ対策の着替えを済ませて 施設を出た。 信号待ちとバスのタイミングが悪ければ 遅れるだろう。 大通りを見れば 今日は 大学からの戻りタクシーが多いようだ。 こりゃ 間に合うかも...。 バス停まで着いて 空車を待つ。 配車してもらえば 料金も高くなるもの...できれば出費は抑えたい。
運良く タクシーを拾えた。 今日の母は 外の景色に矢鱈反応。 ビルの高いこと 車が忙しく行き交う等 あれこれおしゃべり。 タクシーを降りて 歯科医への階段を上り始めたら「いやだ」と言い始める。 歯医者が嫌という事ではなくて タクシーを降りる時少しせかしてしまったから 拒否反応を起したのだ。 「ごめん ごめん」と謝っても機嫌直らず。
階段の上に立って 母の両手を引いて一段一段上った。 いつもは 母が両手で手すりに掴まり 私が腰を上げて上る力を介助しているのだ。上り終えるまでには 母の機嫌も治っていた。
待合室で待っているとドアに表示されている「診察室」をじっと見て「あなたでしょ」と言う。 「今日は入れ歯作るから痛くないのよ」と言うと「そんなことない」と言う。診療所を忘れてもらうため 紙風船を取り出して母に渡した。 畳んであるのだが 紙風船と判るようで 広げて息を吹き込もうとした。 うまく入らないので バトンタッチして膨らませ 母に手渡す。 暫く 紙風船で遊んだ。
順番がきて診察室に入る頃には さっきの不安は消えてしまった様子だ。
今日は新規の入れ歯を作る第一歩の歯型をとる日。 先に先週のメンテの不都合はなかったか聞かれた。 入れ歯を外す回数は減り ご飯も食べられると伝えた。 すると「それでも入れ歯を作りますか?」と聞かれた。 「これから先の事を考えると不安なので作っておきたい」と申し出た。 今の入れ歯は 歯が抜けた後 ソフトな素材で加工して貰っている。 これが 磨耗するのが早いのだ。 出来れば 今の歯茎の状態に合う入れ歯があったほうが安心できる。
母の口の中を点検し前回あった傷が快復している事を確認していた。 それから 型とり。 医師は 手順を母に説明しようとした。 そこで母は 嫌がった。 医師は障害歯科ではないので 手順通りに行おうとしたのだ。 それは 有る意味で正しいと思う。 前振りをして 不穏がたかまるので直ぐに始めてもらって良いと伝えた。 「興奮してお母様がダメージを受ける事はないですか?」と聞かれた。 「一時拒否はあると思うけれど 痛くないと判れば 大丈夫の筈です」と伝えて 型どり開始。 最初は お約束通り嫌がったが痛くないと判ったら 型をとる数分間は何とか我慢できた。 耳元で「偉いぞ」「頑張れ」と幾度も囁く。 「頑張れ」の声には緩く頷いていたから理解していたと思う。
2度目に母の抜けた歯の跡に合うようにと再度型を取る。 2度目も 口の中に型をとる道具を入れる時だけは 嫌がるが後は平気だった。医師は 「唾液の量が少なくなって来ていますね。でも年齢から考慮して仕方ないのでしょう」と言っていた。 そうか 私は唾液の量までは 見ていなかったわ...。 でも 最近 口に溜まった唾液をごくりと飲み込む音がするんだわ。 そういう事も関係あるのかな? 今度 聞いてみようっと。
口すすぎも上手に出来た。 口の周りは 歯科助手さんが綺麗に拭いてくれた。
次の予約をして歯医者を後にした。 それから バスに乗って我が家へ。 家で昼食。 お腹が空いたようで 箸も進んだ。介助と自力の5分5分と言う所。 味噌汁は大きく切った蕪。美味しそうに自力で口に運んでいた。 母の場合 小さく切ってあるより大き目の方が食べやすいようだ。 柔らかければ...の話だが...。 ご飯をよそったら「漬物は?」というので我が家の沢庵を出す。4分の1の大きさにしたら 噛み切って食べていた。 ハンバーグや野菜の煮込みも自力で食べていた。 ご飯だけは 自力が少ないかなぁ〜。
ご飯の後お茶と蜂蜜レモン。 蜂蜜レモンは 少しずつ瓶に残った蜂蜜を集めてレモンを切って漬けて置いたもの。それをお湯で薄めて飲んでもらった。
陽射しもありポカポカしている。 日のあるうちに...と帰り支度を始めた。 トイレ誘導は空振りに終わった。 駅まで歩くつもりだけれど 持つかなぁ〜。
外に出ると歩く早さは程よく姿勢も保たれていた。さて 駅まで持つかな? 気持ちはある様子で 歩くのも楽しそう。 でも気持ちに追いつかないのが体力。 半分ほどのところで前のめりが強くなった。 ちょっと腰を下ろして休息した。 まだ気力が勝っていた。 でも それから先は 気力も追いつかない状態になった。 2.3回休んでようやく駅前に。 15分の道のりを40分経過。よく頑張りました。 と言う訳で 珈琲ショップで一休み。 飲み物とお菓子で...休息。
それから トイレに立ち寄った。 トイレは 間に合った。良かったワイワイ!
バスに乗って施設へ。 降車する停留所に来た時 母が降車拒否してしまった。 これには 参ってしまった。 が 仕方がない。他の乗客に迷惑は掛けられないので 「次で降りますから 発車してください」と運転手さんに頼んだ。 「終点まで行ってもどうって事ないわ」と居直った。 次のバス停で母は降りてくれた。 が 疲労度も高い。ベンチもない。 唄ったり 手を繋ぎ替えたりしながらようやく施設に辿り付いた。 母も私もホッとした。私には余力はあるけれど 母の疲れはねぇ〜替わってあげられないもの...。
疲れはあったものの 復帰も早い母。 着替えを済ませ トイレ誘導をしてからみんなとホールのソファーへ。 テレビに見入っていた。 そろりと施設を後にした。
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