母のタイムスリップ日記
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2006年06月08日(木) 続きの話

続きです。

さて 編み物に夢中になって行く○さん。
少し前から「あら 今日はお風呂のお掃除当番だわ。お掃除得意じゃないのよね」と職員がウロウロ。
職員がお風呂掃除が嫌いなんて事はこれまで言った事もない。
職員は ○さんのお風呂に誘導する前段階に入っていると感じた。
「あらら お掃除嫌だなんて…誰かに手伝っていただいたら?」と言ってみた。施設長が「お手伝いしましょうか?」と答えた。
「いえいえ 怖くて 恐れ多くて結構ですわ」と職員。
「誰か 優しい人居ないかしら…○さん」
「お風呂掃除は 主人の仕事でしたわ。私は夕食の支度があるので 主人がいつも『僕がやるよ』といってくれましたもの」と○さん。
「それに 私が手伝う必要性はありませんよ」手厳しい。

○さんはお風呂に入る事はかなり強く拒否される。
在宅でも デイでも無理だった。
病院では3人がかりで何とか入浴できたそうだ。
ご主人は入浴が気がかりの御様子なので 出来る限り希望に応えられる様に施設側も鋭意 努力中。

編み物の途中で「○さんの洗濯物仕上がりましたので 取りに入らして頂けますか?」と職員が誘導。
入浴の言葉はやはり今は禁句かな?
15分近く 職員と脱衣室で押し問答。別の職員が助っ人に入る。
離れていたので 会話までは聞こえないが…。
強行突破をする様子はない。

暫くして 怒りながら浴室から○さんは「なんて事なの」と出て入らした。
「大変でしたか?」と声をかけると「ありがとう 助かったわ」と。
私は 何も関っていなくて単に声をかけたに過ぎない。
入浴はかなり嫌な様子だ。

落ち着いた頃 ○さんを私に紹介してきた包括支援センターの方が見えた。
「○さん お久しぶりです。私を覚えておいでですか?」
「ぇ 勿論」しかし 顔はわかっていても何処の方かは判らない様子。
暫く談笑しているうちに 断片的に思い出された様子。
「髪の毛 短くなさったのですね」と包括の方が言うと
「私 もともと短髪です」と言い切った。
包括の方は さらりと出身地のお話に変えて行かれた。

当たり障りのない話しは食べ物の話。
出身地の名産品等の話しになった。
「なんだか食べ物の話ばかりになってしまって 私食いしん坊で恥ずかしいです」と言うと
「あなた 名言。そうよね お腹が空いてきたわ」と○さん。
母は ニコニコしながら聞いている。

職員がキーボードを持ってやってきた。
「○さん 歌がとてもお上手なんですよ」と包括の方に伝えた。
包括の方は「知りませんでした。聞かせてください」という事で入所者みんなで歌える歌を選び唄い始めた。
高いソプラノの歌声に 包括の方は また驚かれた。
「初めて知りました」と。

程なくして おやつの時間となった。
○さんは 私におやつがないのを見て分けて下さろうとしたので 
「美味しい珈琲を入れて貰ったので十分です」と伝えると「そう」と自分のおやつを召し上がっていた。

そこにご主人が見えた。
ご主人は ○さんが編まれた物をみて こんなこともう随分なかったなぁ〜と感慨深げだった。
そして 思いもかけない奥様の笑顔にも驚かれた御様子だった。
母と包括の方と○さんと4人の会話。そして職員の様子。

おそらく帰宅願望と徘徊で大変だろうと思っておいでだったのだ。
「こんな笑顔 もう久しく見ていないです。病院でも見せた事のない表情です。安心しました」と深々と頭を下げられた。

未だ3日目。
貼り紙効果もあり 玄関まで行っては 貼り紙を読んで戻られる。
母の居室も気になるようで時折覘かれる。
「どうぞ」と言うのだが 未だ入ることはしない。
心の内は見えないけれど 戸惑いもいっぱいなのだろうと思う。

カバーする職員は 実に丁寧にフォローなさっておいでだ。
「大変でしょ」と声を掛けたら
「入所して間もないですからね。病院内を激しく徘徊なさっていた事を思うと随分落ち着いておいでだと感じます」と言われていた。

母をお散歩に連れ出そうと思っていたが 出そびれてしまった。


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