母のタイムスリップ日記
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昨夜「こっちは寒いね!」と出張から戻った娘が言った。 こちらだけが冷えているなんて予想していなかったので驚いた。 新聞を改めて広げてみると西の方は30度近かった。 今日もこちらは肌寒い。お天気もはっきりしなくて梅雨かなと思うほどだ。
今日のお天気のように母は機嫌が悪くなった。 原因は私の欲張り虫のせいだ。
最初はニコニコご機嫌だった。 居室で母を畳みの上に横にならせて 足の屈伸運動をして貰った。 辛い 痛いと言わなかったので「頑張るねぇ〜」と言うと「これ位で…?」と返答してきた。 そこで 次のステップへ。 うつぶせになって貰った。(実際はうつぶせにした) 母は骨折以来 腕を立てる事は困難になってきていた。 腕を立てると痛がるのだ。 でも 骨折はよくなったのでちょっとだけ冒険してみようと思った。
隣に同じようにうつぶせになって「出来るかなぁ〜」と腕を立てて身体を起して見せた。 母はそれを見ただけで拒否反応。 見ただけで 自分がどうなるか判るなんて凄いものだわ♪ そして 第一ラウンド。 私は助ける事をせず 母が自力で動くのを待った。 うつ伏せから体の向きを替える事は相当困難。 「助けてあげようかな…」と思った時 母は手をちょっとだけ付いて横向きになった。 「うわぁ〜 凄いなぁ〜 頑張ったね♪」と褒めると「○△◇…」 起してあげ 椅子に座りなおしてもらう。
母は とても不機嫌で下を向いていた。 私に目を合わせようともしないのは怒っている時だ。 落ち着くまで 居室に掃除機を掛けた。 窓を空け払って ぬいぐるみたちの埃をとって掃除機を掛けた。 人形に手をかけると「私のだ」と言う。 こういう言葉を吐く事は滅多にない。かなり怒っていると感じた。
暫くして「頑張らなくともいい」とポツリと言った。 「はい。そうでした。無理させてごめんなさい」と頭を撫でてから 手を拭いて 文旦の皮をむいて母に上げた。 すんなりと食べ始めるが…落ち着きがなくて食べる事に集中できない様子だった。
文旦の後にチョコレート菓子とお茶を上げた。 これも 普段なら上手に食べるのだが今日は不安定。 やはり 感情に逆らうと良くないなぁ〜。
おやつ後お散歩に誘うと「行く」と言う。 そこでテクテク散歩。 お散歩は調子良かった。畑の傍の道では「あれは?」と矢車草を指したりした。花屋さんの前で人がいたら「もう 行こう」と花を愛でることもなかった。ドラックストアの近くまで来たら「こっちでしょ」と道を渡ってドラックストアに行こうとした。 母の気の向くまま お店をクルクル。こちらも必要な物があるのでワゴンに詰め込む。母はワゴンを押している。 会計を済ませて店を出て「帰る?もっと歩ける?」と聞くと「歩ける」と言うので野菜スタンドの方に更に歩いてみた。 シランの花を売っていたので購入。母に持ってもらう。 それから公園まで歩く。 「休みたいね」と声をかけた。すると母は 公園の中の椅子を目指してテクテク。(勿論両手介助です) ここまで30分余り 腰を下ろして休息してない。母もかなり疲れた様子で背中がまあるくなってきた。同じ身長の筈が 30センチ近く縮んでいるように見える。
ベンチに座ってから バックを探るとひとつだけ飴が入っていたので母の口に放り込む。 一息ついたところで また歩き出した。 次のベンチまで200メートルくらいだ。 何とか歩いてまた休息。だが ここで休む事は殆どないので見慣れない景色にキョトキョト。この場所は通過するだけなので記憶に留まっていないのだろう。 「もう直ぐよ」と立ち上がって信号を渡った。 見慣れた景色に安堵の表情が戻った。
施設に入るとホッとしていた。 が玄関で靴を脱ぐ時になって また不機嫌になった。 上履きを履かせている時つま先が入っていなかったのだ。 「ごめん」と謝ると「ごめんと言われても…!!!」と目をむいて怒り出す。普段 こういう場面は幾度もあり「ごめん」と言えば「いえ」と言う感じで怒る事はないのだが…。
「排泄か?」とトイレ誘導した。拒否はなかった。 しばし待って小水。 始末しようと立って貰う。が「大」の気配を感じたので座りなおして貰った。 ここからが第二ラウンド。トイレでの格闘編だ。
いきんで貰おうとお腹をマッサージしてみるが 今日はその気配は全くなし。少し強めに押すと「もうたくさん」と言い出す。 押したり引いたりしても進展の気配がないので「やめようか」と言うとどうも納得しないのだ。母自身も気持ちが悪そうだ。 また 最初から マッサージのやり直し。 嫌がると承知でオイルを塗った。これで敵便でもしようものなら更に怒り心頭となるのは目に見えている。 押したり引いたり 放置したり…と格闘の末出てきたのは赤ちゃんの拳ほど。未だきっと残っているだろうけれど 仕方ない。 母も諦めているように見えた。30分以上格闘した。
母をいつものようにホールのソファーに座って貰おうと誘導したら…。 ソファーの前で「何するの!」と大きな声で怒りだす。 「ごめん ごめん」と母の好きなようにさせようと見ているとテーブルに伝って歩き出した。自分の椅子に座ると思いきやそこは通過して行く。 押さえつけられた反動だろう。 職員が母の名前を優しく呼んで「こちらにしましょうか?」と椅子を引いてくれたら御辞儀をして座っていた。
焦る気持ちはなかったけれど 夕刻となって帰宅時間を気にし始めていたかも知れないなぁ〜。
「あと少し良くなったら…」と思う時がある。 無理は禁物と覚えていても ついつい 気持ちが走ってしまう。 おそらく 今日は そういう日だったのだ。 母は偉く迷惑だったろうなぁ〜。
明日はどんなお天気となる事やら…。 リハの部分は療法士さんにお任せしようっと。
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